
雨の中国自動車道で12月4日(日)の朝に発生した多重衝突事故。関係車両のほとんどが高級スポーツカー、中でも8台ものフェラーリが含まれていたことはニュースでも大きく取り上げられましたし、その内容は海外にも報じられました。
そもそも、事故発生の原因も1台の高級スポーツカー、20台の愛好家が運転するクルマは九州から広島に向かっていたそうですが、雨中での無謀な運転が発端になったのではないかと事故発生当初から憶測をよんでいました。
そして、「やっぱりか……」という報道が出てきました。
●世界で最も高額な自動車事故…“日本のうぬぼれ屋”世界的に報道
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msn産経ニュース(産経新聞) 2011年12月7日 11時32分
警察による事故捜査の結果ではなく、あくまでも報道機関の取材に目撃者を称する人が答えた内容ですから、100%これが事実だとは言い切れません。ただ、その上でも記事にあるように、制限速度が100km/hの雨の道を「時速140km/hから160km/hで走行」していた上に、「先頭の運転者は、恐らく遅い車を追い越すため“右から左へ車線を変更しようとして”、スリップしてガードレールに衝突」とありますから、追越車線を制限速度を大幅に上回るスピードで集団暴走を行ってきて、さらに違法行為である走行車線側からの左側追越しをかけようとして事故に至ったということになるようです。
大変失礼な言い方ですが、この集団は「大馬鹿者の集まり」としか言いようがありません。
事故の発端となった先頭車両は60歳の自営業男性とありますが、そのほかの車を運転していた37歳から60歳の間とされる全ての関係運転者についても、なぜこのような幼稚な真似を行ったのか聞いてみたいものです。
記事の見出しには「うぬぼれ屋」とありますが、実に的確な表現だと思います。30年前ならいざ知らず、平成も20年を過ぎた今のご時世において、派手で目立つ高級スポーツカーで公道を猛スピードで走っていたとしても、誰一人としてその姿を見て「格好よい」と憧れを抱くことは無いでしょう。むしろ、「馬鹿がいる」と冷やかな視線を送られるのがオチではないかと思います。
実はここ4~5年で、特に週末や連休には、こうした“集団暴走”を見かける機会が増えたように感じていました。いわゆる古典的な暴走族ではなく、同じような車種が連なって制限速度を超えるスピードで走っていたり、駐車場などを占領していたりする風景を目にするのです。
これらはいわゆる“オフ会”の風景なのかもしれません。昨今は“みんカラ”をはじめとしたSNSなどを通じてオーナー同士の輪が拡がることも多く、組織的に運営されている“オーナーズクラブ”的なものに限らず、何かと同好の士が集まってドライブをする機会が多いようです。
しかし、その過程において法令違反や他人に迷惑を及ぼす行為を行っている集団も少なくありません。
特に移動については“街道レース”のような状態になっていたり、無理に隊列走行をしようとして一般車を排除するかのような危険で我が儘な走行を繰り返している輩も見受けられます。
私自身、シトロエンBXに乗っていた時代には、この車がユーノス店扱いであったことから初代のロードスターを中心としたクラブの運営に携わっていました。
最大で50台以上が参加するツーリングも開催しましたが、それこそ参加者(=運転者)の年齢や性別、技量などはバラバラでしたから、事故防止を最前提として何度も目的地や経路の下見をしたり、無理のないスケジュールを組み立てたり、参加者への注意喚起を徹底して実行したものです。当然ですが遵法運転を基本としつつ、全体の参加者をいくつかの小さいグループにわけて、先頭と最後尾には運転経験の豊富な人や地理に明るい人を配置。さらに各グループの最後尾車両には共通周波数の無線機を用意して、できる限りの安全策を講じました。
さらに経由地や目的地には一度に集団で訪問することになってしまうため、事前に現地を訪れて協力を依頼したり駐車場の確保に努めたりもしました。私もこうした運営メンバーの一員だったのですが、参加者の皆さんにご理解とご協力をいただいたこともあって、一度も事故やトラブルの発生はありませんでした。
自動車というのは個々が自由意志で移動出来る便利な実用品です。ただし便利さと裏腹の危険性も潜んでおり、普通の一般市民が交通事故を引き起こすことによって殺人者になってしまう可能性もあるわけです。そこで悲惨な交通事故を防ぐために法規が定められており、その定めを基本としつつ個々のドライバーには相応の技量や注意力、判断力が求められるのです。
モータースポーツに仕事として携わっている私ですが、考えの根底には「自動車はそもそも道具」というものがあり、決して遊び道具だとは思っていません。その上で例えばサーキット場のような専用のフィールドであったり、公認競技会のような場であれば、それは健全に自動車を遊びやスポーツの道具として使うことが許され、本当の意味で“モータースポーツ”が発展できると考えています。
これをはき違えて、高性能な車を駆って一般公道で“遊ぶ”ということが如何に危険であるか。乗用車から大型車まで全ての自動車のステアリングを握るドライバー、中でも高性能なモデルを愛好する方々には、改めて見直していただきたいのが“自動車の本質”です。
少なくともその“本質”を理解せずに今回のような事故を起こす輩に自動車を運転する資格は無いと思いますし、第一当事者を含めて状況が確認出来るのであれば共同危険行為の適用すら視野に入れるべきではないかと思います。
Posted at 2011/12/18 22:03:08 | |
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