
私の業務のひとつに、写真撮影があります。もっとも、業務として携わってはいますが、技量的な面も含めて本格的な“プロ・カメラマン”ではありません。特にモータースポーツの撮影には経験と技術が必要であり、多くの素晴らしいプロフェッショナルの方々がご活躍されています。当然ですが仕事ではこうしたプロフェッショナル諸氏の写真を使うことの方が多く、かつ仕事を依頼することも珍しくありません。
ただ、例えば競技会の現場を取材で訪れたとき、その昔であればカメラマンとライターは明確な業務分掌が存在していたかと思いますが、昨今はデジタルカメラの発達・普及に伴って両方を兼務するスタイルで携わっている人も増えており、私もそんな中の一人なのです。
ここ最近はシーズンを通じて全日本ラリー選手権と
スーパー耐久シリーズの全戦について現場に足を運んでおり、写真撮影とレポートの執筆を行っています。さらに加えてスピード行事やスプリントレースも取材する機会があり、これらは一口に同じ“モータースポーツ”と言っても取材のスタイルやフォーマットも異なります。
写真撮影にしてもラリーとレースでは似て非なるものという感じがあります。そもそもサーキットレースとラリーではフィールドが全く異なるため、取材側の動きも大きく違う部分があります。なによりラリーはレースに比べて物理的に取材範囲が広く、アイテナリーに合わせて撮影するポイントの選定やシチュエーションを選ぶ自由度が圧倒的に高い。これは逆に難しい部分も多く、一度「ここで撮影しよう」と決めてスケジュールを組んでSS(スペシャルステージ)が設けられている場所に赴くと、仮に「この場所は撮影に適さない」といっても後戻りすることがほとんど出来ません。
ゆえにラリーの場合は仮に毎年開催されている場所での大会であっても競技本番前に取材陣が下見をすることが一般的で、撮影環境を確認した上でおのおのがスケジュールを組み立てて本番に臨む、というスタイルになります。
逆にレースの場合はある程度のフォーマットがあり、例えば耐久レースでは決勝レースを撮影する場合、スターティンググリッドでスタート前の雰囲気や選手の表情をおさえた後、スタートシーンは1コーナーで撮影、その後は主にレース中盤までをコースサイドで過ごして一旦ピットまわりに戻り、ドライバー交代などのピット作業風景を撮影します。そしてチェッカーのシーンはそのレースやシリーズの展開に応じてストレート周辺のコースサイドでチェッカーを受ける瞬間を撮るか、ピットまわりで優勝の喜びに沸くチームの様子を抑えて、そのまま暫定表彰式へという流れが一般的かと思います。
こうして色々なシーンを撮影してきましたが、個人的にはなんとなくですが「撮りやすいクルマと、撮りにくいクルマ」というのが出てくるものです。
もちろんプロフェッショナル諸氏はどんなクルマであっても確実にその姿を捉えていらっしゃいますが、私のような未熟者では特にマシンのカラーリングに撮りやすさを左右されてしまうことも少なくありません。
まだまだ未熟な自分の撮影技術を恥じるばかりですが、そんな中で最近特に撮影しやすいクルマの一台が
スーパー耐久シリーズのST-2クラスに参戦している「RSオガワ ADVAN ランサー」。2011年のST-2クラスを制して2年連続のシリーズチャンピオンを獲得した、山形県を本拠とする名門チーム・
RSオガワから出場している、ゼッケン20をつけるエースマシンです。
RSオガワと言えば、“オガワ・ブルー”とも呼ばれるダークブルーのカラーリングがお馴染みの存在でした。このダークブルーには面白いエピソードもあるのですが、それはまた機会を改めてご紹介するとして、近年は
YUKE'Sのフルカラーをまとって速さを見せています。
このカラーリングがピントを合わせやすいことに加えて、大橋正澄選手と阪口良平選手、2011年はここに松本武士選手が加わったドライバー陣のドライビングがスムーズなことを理由として、私にとって非常に撮影しやすい一台になっているようです。
事実、ドライビングスキルの不足している選手がステアリングを握っている場合は、どうにも撮影が巧くいかないケースの方が多いように感じます。その点、「RSオガワ ADVAN ランサー」の場合は誰がドライブしていても安定した走りを見せてくれるので、自分の中で納得いくショットを抑えられる確立も高いようです。
2011年のモータースポーツシーズンも終了しましたが、果たして来シーズンはどんな名場面をカメラにおさめることが出来るのか。
オフシーズンの間には一年間働いてくれたカメラ本体やレンズのメンテナンスも施して、2012年シーズンの開幕に備えていこうと思っています。
Posted at 2011/12/19 09:10:05 | |
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