
いまやインターネットの普及は、家庭や職場という単位から、完全に個人一人一人が単位となるところまでやって来ています。その原動力となっているのがスマートフォン、これによってデスクトップやラップトップのパソコンと同じようにインターネット上の情報を手軽に呼び出すことが出来るようになり、さらには音楽や動画も楽しめるようになりました。
これにより、例えばスマートフォンをカーナビゲーションとして活用している人が増えてきていますし、ドライブや旅行で観光スポットの情報を閲覧したり、外食の際に店を選ぶといった行為でもインターネットを利用するのが当たり前になってきています。
また、店の情報に限らず、ちょっとした調べ物をするという場面においても、インターネットが有効な味方になってくれています。特にサービスでも商品でも、何かを利用したり購入する前には、インターネット上に溢れている“口コミ情報”を参照するというケースも珍しくなくなってきました。
しかし、やはり危惧していたような問題も表面化してきています。
●ヤフー知恵袋でもやらせ投稿…揺らぐ信頼性
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YOMIURI ONLINE (読売新聞) 2012年1月16日 14時30分
飲食店の情報を掲載する「
食べログ」に続いて、「
YAHOO! 知恵袋」においても、やらせ投稿が行われていることが発覚しました。企業などの依頼を受けて有利になるような書き込みを行う“やらせ投稿”の存在は前々から噂されていましたが、その事実が明白になったのです。
こうしたニュースはいつか出るものだと思っていましたが、個人的にはひとつ違和感を覚えたのは記事のタイトルに「揺らぐ信頼性」とあったことです。たしかに“やらせ投稿”はビジネスマナーの面でもあってはならないことだと思いますが、そもそも匿名での投稿に信頼性を寄せても良いものなのでしょうか。
もちろん、投稿の大半は純粋な個人によるものであり、その内容や評価が良いものでも悪いものでも、情報を共有したいという思いが根底にあっての投稿であろうと思います。ただ、匿名で投稿できるということは書き手にとっては責任を負う必要が非常に少なくなるということであり、だからこそ本当の事を書けるという側面もありますが、中には無責任な発言に終始するような内容も見受けられるわけです。
同様のことは「
Wikipedia」にもいえるわけで、私も利用しないわけではないですが、あくまでもこれら匿名投稿による情報については参照する程度に留めており、信頼性という面では全く無いに等しいというスタンスで接しています。「
Wikipedia」は思っている以上に利用し、信頼している人が多いのが驚きですが、時に自分が得意としているジャンルの掲載内容を見ていくと、間違いが多いことにも気づくはずです。
だからといって新聞や雑誌、テレビなどの既存媒体が発信している情報が正しいというつもりもありません。
インターネットが普及する以前から、私の場合は例えばニュースはひとつのソースで判断するのではなく、いくつかの新聞やテレビを見比べて各媒体の報道内容や報道姿勢もチェックするように心がけていました。
インターネットの普及が進む現代だからこそ、巷にあふれ返っている情報を精査し、しっかり見極める力が情報の受け手側に求められているといえるでしょう。その上で例えば“口コミ”についても信頼に値するような情報は必ずありますから、多角的に検証しながら正しい情報を判断出来るようになりたいものですし、情報の出し手側としてはしっかりしたものを造り込んで発信する姿勢を改めて保っていきたいと思った次第です。
ところで自動車業界でいえば、“やらせ投稿”は全く珍しいことではありません。いわゆる“ジャーナリスト”や“評論家”を称している諸氏が書いた情報、そこに果たしてどこまで真実が含まれているのかといえば、疑問を抱かざるを得ません。
そもそもこうした肩書を称する人は、評論や報道の対象となる相手とベッタリの関係になることは許されず、広告や広報としての情報発信を明確に謳った上での内容であればまだしも、雑誌などの記事という報道を謳う記事を書くのなら、相応のスタンスをしっかり守ることが求められるはずです。しかし残念ながらその実態は、報道を謳いながらも実態は限りなく広告や広報と同じレベルのスタンスで作られた内容であることが多いのです。
例えば特定の自動車メーカーやインポーターの仕事を多く請け負っていながら、対外的にはジャーナリストとして情報を発信している。その仕事もメーカーやインポーターのウェブサイト上に試乗記を載せるといったわかりやすいものならまだしも、営業研修を引き受けていたりと一般読者には見えない部分で大きな仕事的関わりを持っているケースも珍しくありません。こうした人が仕事の請け負い先から出される商品について、仮に致命的な問題点があったとして大きな声で指摘できるものでしょうか。
残念ながらこの状態は、紙からインターネットに媒体が変わった今日でも、書き手や作り手が大きく変わっているわけではないので、旧態然とした状況が続いてしまっています……。
※写真は本文とは関係ありません。
Posted at 2012/01/21 03:56:32 | |
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