
自動車の祭典にもいろいろありますが、新型車や最先端技術が一同に揃う「モーターショー」は、やはり世界的な注目を集めるビッグイベント。
4月25日からは中国で「上海国際モーターショー」が開幕、1985年から開催されているこのイベントは急成長を遂げる中国の自動車市場規模に比例して世界中の自動車メーカーや部品メーカーが参入規模を拡大。いまやジュネーブやデトロイト、パリ、フランクフルトなどと並ぶ世界有数のモーターショーとして認知されており、個人的には日本の東京を抜いて世界五大モーターショーの一角を占めるに至っているという印象です。
2011年の実績を見ても、約2,000社が出展し車両展示は実に1,100台あまり、75の新型車がワールドプレミアの舞台として上海を選びました。展示会場は浦東の上海新国際博覧中心で会場面積は23万平方メートルという大規模なもの、ここに10日間の期間中におよそ71万5千人もの来場者があったそうです。単純計算で1日あたりの入場者は71,500人となりますが、実際には会期終盤の週末には一日の入場者が15万人を超えた日もあり、まさに会場はすし詰め状態になっていたとのことです。
当然、この背景には前述の通り、中国における自動車市場の拡大基調が続いていることがあります。
各国メーカーの積極的な進出に伴い、2009年には世界最大の自動車生産国となった中国。その台数は1,826万台ほどで、世界の23.5%という大きな割合を占めています。もちろんこれは国内需要に支えられているものであり、生産数の95%以上が国内市場で販売されています。さすがにまだアメリカを抜くには至っていないものの、国内販売市場規模もすでに世界2位となっており、日本と比べて2倍近いものがあります。
その昔は庶民へのモータリゼーション普及に呼応して、安価なコンパクトセダンが注目を集めていた中国市場。しかし昨今では経済発展と改革開放路線による恩恵を受けた富裕層の増加に伴い、高級車の市場も急速な拡大傾向が続いています。
その高級車ですが、当初は「ブランド」と「見栄え」が重視され、アウディのA6やBMW・5シリーズあたりでも、大柄なボディの割りには小さい排気量のエンジンを組み合わせたモデルに人気が集中しました。例えばA6のロングホイールベース仕様などは中国の富裕層から高い人気を集めていますが、そもそもこのボディ自体が事実上の中国市場専用車。しかし最近になって価値観の熟成も進んだのか、走行性能への要求も高いレベルになりつつあるそうで、各自動車メーカーの中国市場を見据えた高級車戦略にも変化が生じてきているようです。
もちろん中国という国情を考えると、その特殊性から果たしてこの好況がどこまで安定的に継続するのかには不透明さも拭いきれません。また、民族資本メーカーを中心とした商標権や特許に関する意識の低さは、今後は国際的な経済紛争の火種にもなりかねない懸念が残ります。
ただ、いずれにしても現代の自動車メーカーや部品メーカーにとっては無視できない市場であることに変わりなく、各社の経営陣が「チャイナ・リスク」も意識しながらいかに中国市場と向き合い、成果を上げていくことが出来るのかは注目していきたいところです。
ところでモーターショーと言えば、我々のお膝元である「
東京モーターショー」について、次回開催に関する発表がありました。
●第43回東京モーターショー2013 -東京ビッグサイトにて2013年11月に開催-
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東京モーターショー・プレスリリース 2012年4月13日
第43回を数える「
東京モーターショー」は、来年の秋に前回と同じ「
東京ビッグサイト」を会場として開催されることが発表されました。
1989年の第28回から会場となっていた「
幕張メッセ」から舞台を移したのが前回の第42回。その前の第41回、メッセで最後の開催は海外メーカーの出展がほぼ皆無に近い状態となり、取材で訪れた会場は閑散とした寂しいものでした。
これを契機に会場を移した前回は、規模こそ縮小されたものの海外メーカーの出展も概ね復活し、一応は国際ショーの面目を保てる内容になっていました。ただ、それでも正直なところ往年の勢いは感じられず、やや旧態然とした“匂い”がどこか漂っていたような印象も残っています。
若い世代を中心に自動車への価値観も変化を見せる中、これからどのような展開を見せていくことになるのかも気になる「
東京モーターショー」。昨年はアジア圏や中東方面からの取材陣や関係者も多く見かけた記憶がありますので、こうした地域の市場への情報発信も強化する必要がありそうに思えます。
Posted at 2012/04/25 19:36:15 | |
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