
最近はサーキットレースのみならず、ラリーも私の仕事の中では大きなウェイトを占めるようになってきました。
個人的にも“モータースポーツ”という広い括りで見たときに、日本でよりモータースポーツ文化が定着するためにはラリーの活性化も欠かせないという思いに至っており、仕事のみならず個人的な領域を通じても、特にインターネットを使った情報発信という分野を軸にして、ラリーについての普及活動を行っています。
そんな中、ちょっとした記事を作るために調べ物をしていて発見したことが。
6月初旬に開催される全日本ラリー選手権の第3戦「
がんばろう!福島 MSCCラリー2012」について、開催の中心となるホストタウンは
福島県の
棚倉町。この町には1625年に棚倉城が築かれたのですが、1817年に第3代の藩主だった小笠原長昌が、唐津藩へと移封になりました。
そう、唐津藩の中心だったのは
佐賀県の
唐津市。この地では去る4月に全日本ラリー選手権の開幕戦「
ツール・ド・九州 2012 in 唐津」が開催されており、ラリーを開催している二つの町に歴史的なつながりもあったことを初めて知りました。
もちろん、このちょっとした“小ネタ”は、私が運用しているインターネット上のラリー情報にも記事として掲載してみました。
残念ながら日本ではサーキットレースに比べて、さらにマイナーな存在となっているラリー競技。中でも全日本選手権は、全国を転戦している割りには知名度も低く、クローズドの民間施設で行われているレースに対して、地元自治体の協力を得て一般公道も利用しての競技であるのにも関わらず、開催されている地元や周辺地域でさえも大会の開催を知らないという人が少なくないという残念な状況も見られます。
これはサーキットレースと異なり、ラリーはあくまでも愛好家団体としてのクラブ主催によるもので、競技そのものを行うので精一杯という実情もあるでしょう。つまり、レースであればシリーズを統括するアソシエーションや、各主催者が広報や宣伝活動を展開、地元自治体や報道関係企業の後援なども取り付けて開催しているのに対して、ラリーは広報・宣伝の分野が非常に物足りないと言わざるを得ません。
昨今はインターネットが発達したことで、主催者やアソシエーションはその気になれば、かなり充実した情報発信を行うことが可能です。事実、ラリーでも有志による動画のアップや、ライブ中継なども行われていますが、こうした競技中および競技終了後のコンテンツ配信ももちろん大切ですが、より重視したいのは事前の告知PRという部分。競技をギャラリーステージまで足を運んで観戦するだけではなく、ラリーの場合は無料でサービスパーク見学もできますし、リエゾン区間の沿道にいれば次々とやって来る競技車両に声援を贈ることも可能です。
つまり、サーキットレースはあくまでも観客が足をサーキットまで運び、お金を払って入場しなければ何もできません。対するラリーは競技の方から町へとやって来るので、お金を払わなくてもモータースポーツに子どもからお年寄りまで誰でも触れられるという大きな特徴があります。これこそがモータースポーツを文化として定着させるために効果的なことであり、レースとラリーの両方に色々な立場で関わってきた者の一人としては、日本ではもっとラリーを“地域のお祭り”として広め、定着させることが必要ではないかと思っています。
何度かこれまでにも記してきたかと思いますが、熱心なモータースポーツファンだけを相手にしていたのでは、モータースポーツの社会的な存在は確立されません。ラリーの場合は、競技会全体を“祭り”、競技車両は“山車”、選手は“山車の引手”としても置き換えてみればわかり易いように、年に一度の地域のお祭りに仕立て上げることも難しくないように思えます。
特に昨今は地方活性化のきっかけにラリーを活用する事例もありますが、モータースポーツ競技会は人の動きも小さくないので、地元への経済効果も決して小さくはありません。また競技会開催による知名度向上や、競技会をひとつの目玉とした上で周辺観光地への集客を図るなど、相乗効果も期待できるのです。
その為には、主催者や関係者、地元行政や経済界が一体となって動く体制作りが必要です。競技主体はアマチュア愛好家のクラブであっても良いと思いますが、イベントの確立や情報発信については、モータースポーツの狭い世界だけではなく広い視野を持って動ける人材の育成と確保が必要になってきていると思います。
Posted at 2012/06/17 16:26:56 | |
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