
本日は、先に取材で触れる機会のあった新型車「
トヨタブレイド」のご紹介。
一足先に誕生している世界戦略車「
トヨタオーリス」のコンポーネンツを巧く使いながら、より上級にポジショニングとされる新しいハッチバックです。
位置づけ的にはハッチバックボディをまとうラインナップの頂点。
キャッチコピーは「大人しくない大人に、ショートプレミアム。」。
エンジンは「
オーリス」が排気量1800ccと1500ccであるのに対して、「
ブレイド」は2400cc。
スリーサイズは全長4260mm×全幅1760mm×全高1515mmの"3ナンバー専用ボディ"で、「
オーリス」よりも全長が40mm延長されています。
ミッションは「
オーリス」の1800cc版と同様に7速シーケンシャルモードを備えたSuper-CVT iとなります。
「
ブレイド」は自ら"プレミアム"を謳うだけあって、内外装ともに素材などに拘った部分を訴求しています。
グレードは標準仕様と上級の"G仕様"の2種類設定されますが、標準仕様でも装備レベルは十分以上のものが備わっています。
特徴的な部分では全車にスエード調インテリアが奢られ、ステアリングホイールやシフトレバーも本革巻き。
"G仕様"では本革&アルカンターラシートが備わり、運転席は8ウェイパワーシートとなります。
"G仕様"にはルーフに大型のイルミネーションを装備。今どき流行しているLED光源を採用しています。
ただ、個人的には少々冷たい感じがして、あまり好ましいとは思えません。まぁ、この辺は好き好きでしょう。
話をメカニズム面に戻すと、自動車雑誌などでは「
オーリス」との大きな違いとして、リアサスペンションにダブルウィッシュボーンを奢っていることを訴求しているかと思います。
ただし「
オーリス」でも4WD仕様はダブルウィッシュボーンが採用されていることは、余り大きな声では言っていないかもしれません。
乗ってみた印象は、やはり静粛性能は高いレベルにあるという感じです。効率のよいCVTと大排気量エンジンの組み合わせゆえに、そんなにアクセルを開かずとも心地よく加速してくれます。
パワー差は「
オーリス」の1800cc(2WD)に対して23kW(31ps)、1500ccに対しては42kW(57ps)ものアップになりますから、その走行性能に余裕がたっぷり感じられるのも当然といえば当然のこと。
ただし、乗り心地についていえば、個人的にはリアまわりがヒョコヒョコと落ち着かない印象がありました。首都高速の継ぎ目などで特に感じられ、少々残念な部分です。
トヨタ自動車の発表によると、「
ブレイド」は月販目標台数3000台に対して、発売からの1ヶ月で7500台の受注を集めたそうです。
これは新車効果もあるでしょうし、数字には販売会社の登録分(試乗車など)も含まれるかと思いますので単純に凄いという感じはありませんが、まずまず好調な出だしという表現は使ってもよいかと思います。
しかし、私自身が誰かに「
ブレイド」を買おうかと思う、と相談されたら、積極的に無条件で勧めることは出来ません。
なぜならこの車、私の眼から見るとパッケージングがおかしいのです。
私は身長184cm(胴長体型=座高が高い)ですが、そんな私が運転席に座って適切なドライビングポジションをとっても、車体左前コーナー付近は全く見えません。
どうにも車両感覚を掴みにくく、ちょっと狭いところに行くと相当難儀するであろうと想像できるからです。
最近はミニバン系車種を中心にAピラーの付け根が前身して車両感覚を掴みにくいものが増えていますが、コンベンショナルな2BOXや3BOXカーでここまで掴みにくい車も珍しいかと思います。
先にも記したように、全長こそ4260mmとコンパクトながら、全幅は1760mmということで、「
先代・トヨタクラウン」と大差ありません。
さすがにメーカーもそこは気になるのか、「プレミアムコンパクト」とは言わずに「ショートプレミアム」と表現しています。
いわゆる"小さな高級車"というカテゴリーを狙ってきた日本国内専用車が「
ブレイド」ですが、この"小さな高級車"というカテゴリーは日本車では成功事例がありません。
思えば
トヨタ自動車も「
ブレビス」や「
プログレ」といった車種を投入して市場開拓を図りましたが、結果は成功とは言えないものでした。
そして今回の「
ブレイド」。
恐らくは大型セダンを持て余すようになった高齢層や、大型セダンまでを要求しないが高級感は欲する層へのアピールとなるでしょうが、逆に言えばそういった層は実用性がきちんと確保されている上で上質だったり、高級な作り込みの車を求めるでしょう。
その場合、果たして「
ブレイド」の訴求点とは?
決して市街地での取りまわしが良いとは言えないパッケージング&運転視界。これは自動車として致命的な欠点ではないかと思います。
もちろん近年はライバル的な位置づけになる輸入ハッチバック車も拡幅が進んで、決して「
ブレイド」だけが際立って幅広いというわけではありません。
しかし持てるブランド力などは輸入車の足元にも及ばないのが実際の現状。
価格的には圧倒的に「
ブレイド」が有利ですが、車を短期間に入れ替えることが美徳であった時代とは異なり、じっくりと長く付き合える一台を選ぼうというユーザーにとっては、多少の価格差は長い目で見るとそんなに気にならないかもしれません。
ただ、輸入車はどうあがいても販売/サービス拠点数で日本車と肩を並べるところまでは至っていません。
勝手な予想ですが、恐らく都市部以外、要するに近くに輸入車ディーラーやメンテナンス拠点がなく、必然的に日本車しか選択肢が無いような地域では注目されることになるのかもしれないという印象です。
Posted at 2007/02/01 00:09:58 | |
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