
待ちに待った「
WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)」、日本で初めての決勝レースが行われる日がやってきました。
取材という仕事でやって来た身ではありますが、興奮気味にホテルの一室で目覚めるも空は厚い灰色の雲に覆われてしまっています。
チェックアウト前に情報を集めてみると、明け方から
岡山国際サーキット周辺では雨も降ってしまっている模様・・・。
津山市内からサーキットへと車を走らせると、やはり近づくにつれてフロントウィンドゥに雨粒が。しかし不幸中の幸いなのは"本降り"とまではいえない程度の雨、ドライコンディションでのレースは無理でも、せめて傘をささずに観戦できるようになってほしいと願いながらサーキット入り。
撮影にあたっては完全雨対策も準備をしていましたが、お昼の時点でそこまでの雨にもならず。
取り敢えず雨合羽の上だけを着込み、念のためにカメラのレインカバーをバッグに忍ばせつつ、取り敢えずの撮影はタオルを雨よけにすることで凌げそうな状況に。
サポートレースのシビックチャレンジカップをまずはコースサイドで撮影、観戦しているお客さんも雨が小康状態を保ってくれているので、なんとか傘や合羽無しでも耐えられそうな気配。
そしていよいよ第1レース(シリーズ第21戦)が幕を開けました。
ローリング方式の第1レース、スタート直後の1コーナーにはコース幅いっぱいに4台、5台と横並びになる"フォーワイド、ファイブワイド"で各車が飛び込んでいきます。
案の定、混乱模様となった1コーナー、ポールからスタートしたファルファス選手が後退を余儀なくされ、チームメイトのヨルグ・ミュラー選手がトップ、セアト勢が続くというオーダーに。
その後も各所で激しいバトル、織戸学選手(シボレー)などは無念の結果でレースを終えることになってしまいました。
一方のトップ争いは周回を重ねる毎に熾烈を極めていき、終盤で巧みなドライビングからリカルド・リデル選手がヨルグ・ミューラー選手をパス、見事に記念すべき日本における
WTCCの初ウィナーに輝きました。
一時間ちょっとのインターバルをはさんで、今度はスタンディングスタートで第2レース(シリーズ第22戦)がスタート。
第1レースの上位8台がリバースグリッドでスタートを迎えますが、こちらも第1レース同様にスタート直後から激しい好バトルの応酬が繰りひろげられます。
ポールからスタートしたのは第1レースを8位で終えているセアトを駆るSUNREDのトム・コロネル選手。コロネル選手は今年からマニュファクチャラー登録となりましたが、マシンはTFSI(ガソリン)エンジンを搭載しています。
一時はトップを奪われたコロネル選手ですが、折り返しを前に再びレースリーダーの座を奪還。
これを第1レースで惜しくもスタート直後の混乱に巻き込まれてしまったファルファス選手や、昨年までの覇者・BMW Team UKのアンディ・プリオール選手らが猛追。
最後はコロネル選手とファルファス選手の一騎討ちとなりましたが、ここで勝敗を分けたのがタイヤ選択。
WTCCは
横浜ゴムの
ADVANがワンメイク指定されており、全てのマシンがサイズを含めて同一のタイヤを装着しています。
つまり完全にタイヤはイコールコンディションとなるわけですが、当然ドライ用のスリックとウェット用のレインが全車に均等に用意されています。
今回のレースはスタート前にウェット宣言が出されたため、ウェットタイヤを使うことが出来ます。
しかし第2レースは徐々にライン上が乾くこともあり得る、非常に判断が難しいコンディション。そこでBMWの上位勢はスリックを装着して勝負に出ました。ところがコロネル選手は更に"秘策"を実践、なんとフロントにスリック、リアにレインという前後で異なるタイヤを装着していたのです。
最後まで執拗にプッシュ、時にノーズをインに食い込ませて来るファルファス選手に対して、巧みなドライビングでトップの座を守り抜いたコロネル選手が堂々のポール・トゥ・ウィン。
第1レース、第2レースともに期せずして日本で活躍した経歴を持つドライバーが優勝を飾った「
WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)」。
コースサイドで見ている限り、スタンドを埋め、かつコースサイドに多数ある観戦ポイントに陣取っていたファンの皆さんも、この迫力あるバトルには満足していたのではないでしょうか。
特に好バトルに対して自然に歓声があがったり、チェッカー後に周回してきた全てのマシンに対して手を振ったり声援を送るファンの方がとても多かったこと、さらには純粋にレース観戦を目的とした方々が決して良いとは言えない天候の下で主催者発表2万人も集まったことに驚きました。
この「
WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)」、現状の日本におけるモータースポーツに対して、色々な意味で刺激的なものだったと思います。
それはモータースポーツファンの皆さんにとってよりも、オーガナイザーや色々なカテゴリーのアソシエーション、メディアなど関係者にとって得るものが多く、さらに日本におけるモータースポーツの現状に対するファンの"静かな声"が聞こえてきた様な気もします。
Posted at 2008/10/30 17:12:05 | |
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モータースポーツ | 日記