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2011年02月23日 イイね!

私が選ぶ“名車”の終焉

私が選ぶ“名車”の終焉なかなか明るい話題の少ない日本の国内自動車市場ですが、社団法人日本自動車販売協会連合会社団法人全国軽自動車協会連合会が去る正月明けに発表した内容によると、2010年の国内新車販売台数は前年比7.5%増の495万6136台となったとあります。
エコカー補助金制度などの効果もあって6年ぶりに前年実績を上回りましたが、数字的には2年連続で500万台を割って低調な推移となりました。バブル経済の影響でピークとなった1990年の777万7493台と比べると30%近い減少となっています。

国内市場は景気の低迷もありますが、少子高齢化の急速な進行も今後の需要予測に影を落とすことになるでしょう。運転免許人口は年々増加していますが、新規の運転免許交付件数は近年で見ても減少傾向。警察庁の資料によると2005(平成17)年の1,450,787件に対して2009(平成21)年は1,230,134件と、実に15%も減っているのです。こうした流れにより指定自動車学校の減少が続いていることは、2008年8月20日付のエントリに記した通りです。

一般社団法人日本自動車工業会は2011(平成23)年の国内需要見通しについて、景気に対する不透明感とエコカー補助金終了による反動から、前年比90.1%の4,46万5千台という厳しい見方をしています。
このように国内需要の先行きに明るい要素が無い中、各メーカーは国内販売モデルの整理・縮小を進めています。そんな中でひとつ、こんなニュースがありました。

●トヨタが「ラウム」生産終了へ
中部経済新聞  2011年2月15日

報道によるとトヨタ自動車は「ラウム」の生産を3月いっぱいで打ち切り、販売も4月に停止するということです。

ラウム」のデビューは初代が1997(平成9)年。“ヒューマン・フレンドリー・コンパクト”を掲げ、左右リアにスライドドアを採用、ハッチゲートは横開き式として背の高い2ボックスデザインは広い室内空間を実現。その源流は1993(平成5)年の第30回東京モーターショーに参考出品された「ラオムⅡ」であり、最終的にドイツ語で“部屋”を意味する「ラウム」というネーミングでデビューしました。

そして2003(平成15)年に二代目にバトンタッチ。背の高い2ボックススタイルやスライドドア、横開き式ハッチゲートはそのままに、左側面はBピラーをドアに内蔵した“パノラマオープンドア”を採用。今では「アイシス」でも展開されているこのドアは、圧倒的な開口面積の広さが自慢で、乗降性能や荷役性能に優れています。
ボディサイズは若干の拡大を受けたものの、5ナンバー枠の範囲内。ゆえに駐車場の狭いユーザーでも抵抗なく、広い視界と比較的スクエアなボディデザインから運転に不慣れな人でも取りまわしがしやすく、全高もタワーパーキングの入庫に支障が無いという利便性の高さが光ります。

一方で室内はさらに広々さが増して、Lクラスサルーンをも上回るカップルディスタンスを実現。前席はもちろん、後席でも大人が余裕を持って寛げる広さであり、かつ5人乗車時でも日常ユースには充分な広さのカーゴスペースが残ります。
さらに使い勝手の向上では、セレクターレバーが初代のコラムシフトからインパネシフトに変更されて、誰でも抵抗なく使えるようになりました。また二代目は“ユニバーサルデザイン”の具現化を標榜しており、地上からの着座位置高を適正化したことで足腰の弱い高齢者などでも身体に大きな負担をかけることなく乗り降りが可能。アウタードアハンドルの位置も初代より高められて自然な姿勢で開閉操作が出来るように改善されています。
また室内では、例えばフロントシートバックの肩口の位置をはじめとして多くのアシストグリップが配されており、これも高齢者の乗降ではとても利便性が高いもの。

このように、道具としての使い勝手を徹底的に追求した「ラウム」ですが、一方で動力性能的には搭載エンジンが排気量1.5Literの4気筒で、4速オートマチックのみを組み合わせた内容ゆえに、とても平凡なもの。もちろん日常的な使い勝手においては充分な内容ですが、特に際立ったポイントは見当たりません。

もちろんコンセプトとしては動力性能よりも室内空間の拡大や使い勝手の向上を目指したものゆえに問題ありませんが、エクステリアデザインも比較的プレーンだったためか一般ユーザーへの商品力訴求という面では弱いものがあったのも事実。
よりスタイリッシュなミニバンなどに押される形で地味な存在であり続け、国内専用機種であったことも災いして今回の生産終了に至ったというのが流れのようです。

私はこの「ラウム」、二世代を通じて非常に高く評価している車種のひとつでした。
なにより道具としての使い勝手に優れ、かつ乗る人の基本的な快適性を追求した開発姿勢には共感を覚えました。それは車の中にいるときの快適性だけではなく、乗降という根本的な部分から徹底的に検証を重ね、高齢者から子供まで誰もが便利で安心して使える車を具体化してくれたものだからです。

そして私自身、友人知人から車の購入に関するアドバイスを受けたときに、何度かこの「ラウム」を推薦して、実際に4人がオーナーとなりました。購入後も4人の全てが大変気にいっておられ、中には初代から2代目に代替したというオーナーもいらっしゃいます。
その4人に共通しているのは、高齢の親御さんと同居しているという生活形態であったこと。通院などで乗せる機会が多いというので、「ラウム」の特徴である乗降性能の良さが皆さん気にいっており、親御さんからも大変好評だと聞いています。
また高齢者のみならず、背が高くBピラーが無い左側の開口部からは、小さい子供をチャイルドシートに乗降させる場面で、お父さんやお母さんがアシストしやすいという大きなメリットが存在しています。同様にこの広い開口部は、高齢者や足腰の悪い方に嬉しい助手席リフトアップシート装着車でも大いにメリットがあります。背が高い、Aピラーが比較的起きている、Bピラーが無い、ということで、シートが上下しつつ車外に展開するリフトアップシートでは、乗降動作中に無理な姿勢の変化を強いることなく、自然な着座状態のままで乗降出来るのです。

今後、このようなコンセプトの車が登場するのかは判りませんが、「ラウム」の販売終了は非常に残念に感じました。高齢化社会の進行に伴い、これからの日本市場ではこのような本当の意味での使い勝手の良い車を求めるニーズも増えてくるような気がします。
確かに百万単位の買い物としては見た目などが地味すぎた嫌いもありますが、より商品の本質を見極めて賢い買い物をする消費者も増えているだけに「ラウム」には期待していたところでした。三代目になっても5ナンバー枠は堅守しつつ、2列シートの2ボックススタイルを活かせばハイブリッドモデルの追加も難しくないのではないかと勝手に想像していたものです。また二代目は設計年次やトランスミッションという要因からエコカー減税の対象になっていませんでしたが、より進化した効率の良いエンジンとミッションのCVT化により、環境性能や燃費性能も大幅に向上させられると思っていました。

とても地味で、滅多に自動車メディアにも採り上げられることのなかった「ラウム」。このままひっそりとこの春には短い歴史にピリオドを打ちますが、私にとっては非常に印象深い車で“名車”のひとつに数えても良いと思っています。
ぜひトヨタ自動車には、このコンセプトを時代にあわせてさらに進化させたモデルを開発してほしいと、切に願っている次第です。
 
2011年02月22日 イイね!

ロールーフの4ドア

ロールーフの4ドア去る2月18日、メルセデス・ベンツから二代目となる「CLSクラス」が発表されました。
初代は2004年に登場。4枚のドアを有しつつも低い全高でクーペを彷彿とさせるスタイリング。実用性よりもデザインを優先、居住空間は通常のセダンに比べて狭いものの独特のスポーティな佇まいで人気を集めています。

二代目も基本的なコンセプトは変わらず。実用性の高いセダンのお手本ともいえるEクラスをベースに、全く異なるキャラクターのモデルとして生み出されています。その全高は1416mm
。初代のフラッグシップグレードだった「CLS63AMG」が1415mmとほぼ同じ数値でしたから、やはりこのロールーフが最大の特徴となります。
バリエーションは2種類。3.5LiterのV6エンジンを搭載する「CLS350 BlueEFFICIENCY」は225kW(306ps)の最高出力で930万円、5.5LiterのV8ツインターボエンジンが386kW(525ps)を生み出す「CLS63 AMG」は1,625万円というプライスタグを掲げています。

近年になり、この「CLSクラス」をはじめとして、ヨーロッパでは背の低い4ドアセダンをリリースするメーカーが増えてきました。そしてこれらたコンベンショナルな4ドアセダンに対してハイパフォーマンス&ハイグレード版という位置づけになっており、スポーティなデザインも付加価値のひとつという仕立てになっています。

思えばその昔、日本では4ドアハードトップという独特なスタイルのボディが主流だった時期がありました。サッシュレスのドアを4枚有し、セダン形状でありながらルーフは低く実用性よりもデザイン性を重視したコンセプト。クラウンやセドリックといったLクラスから、マークⅡやローレル、インスパイアといったアッパーミドルクラス。さらにはコロナ・エクシブやカリーナED、エメロードといったミドルクラスのみならず、カローラ・セレスやプレセアなどの小さいサイズの車種にまで展開されました。

これらは当然、ルーフが低いので4ドアでありながらコンパクトなキャビンとトランクルームゆえに実用性はかなりスポイルされていました。しかし一般的なセダンボディに対してワンランク上という感じの高級感、そして若々しいスポーティさが支持を集め、車種によっては一般オーナー向け需要は4ドアハードトップボディが主力とされて、4ドアセダンは高齢ユーザーや法人需要を賄うというマーケティングが展開されたりもしたものです。

私自身は当時から、この4ドアハードトップというボディ形状に対してはあまり肯定的ではありませんでした。やはり実用性能が大きくスポイルされてしまうことがどうしても気になり、ミニバン全盛の今日とは異なりファミリーカーの主流が4ドアだった当時では、セダンに対して背の低いハードトップを買うことのメリットが小さいとしか思えなかったからです。
しかし当時は自動車でのある種の“見栄の張り合い”もあり、自動車に対してそのような価値観も蔓延していました。故に商品戦略の巧みさもあったのでしょう、消費者の心理を巧くくすぐることに成功して主流の座を占めていました。

それがミニバンの登場で実用性能が重視されるようになって状況は一変。次々にサッシュレスドアのハードトップボディは姿を消し、真っ当な4ドアセダンが復権を果たしています。
対してヨーロッパでは背の低いセダンが増えていますが、これは“自動車のクロスオーバー化”という流れに沿ったものでしょう。自動車市場の競争が世界的に厳しさを増す中、各メーカーは生き残りをかけてブランド戦略や商品戦略を展開しています。
昨今は古典的なボディ形状などによるカテゴライズの枠を超えたクロスオーバー化も、商品の価値を高めるために一般的になりました。昔は業務用というポジションが強かった4輪駆動のクロスカントリーモデルですら、乗用車との“クロスオーバー”を遂げた新しいモデルが次々に誕生。特に北米などでは富裕層から支持を集めており、自動車メーカーにとっては高い利益を出せる重要な位置づけにまでなりました。
こうしてみると、セダンとクーペの“クロスオーバー”として誕生した背の低い4ドアも、メーカーにとっては利益率の高い商品になり得るので力が入るところでしょう。こうした流れがどの程度拡がっていくのか、日本のメーカーが追従していくのかは今後気になるところです。

ちなみに私は、過去の車歴で一度だけ4ドアハードトップのモデルを所有していたことがあります。
それが前・社用車1号機だった三菱ディアマンテ 30M-SE。サッシレスドアで、ヒドゥンBピラーの典型的な国産4ドアハードトップでしたが、幸いなことに背が比較的高かったのでユーティリティはそれほど犠牲になっていませんでした。サッシレスドアの剛性感には不満を覚えた部分もありましたが、実用性がそれほど悪くなかったので購入に至った次第です。
 
Posted at 2011/02/26 17:43:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年02月21日 イイね!

今一度、自戒を込めて

今一度、自戒を込めて2011年2月17日付のエントリとして記した「危険極まりない目玉装備」に大きな反響が寄せられています。みんカラ版では気に入った記事を示す“イイね!”という機能を使って、多くの方々からご支持をいただきました。
そこで、もう少し自動車の運転とカーナビゲーションやオーディオの操作性について記してみます。長文ではありますが、ぜひお付き合いください。

今回の内容は2009年1月11日付のエントリでも記したことに似るのですが、こちらも掲載から2年を経た現在も一定のアクセスがある内容です。それだけ交通安全に対して関心のある方も多いということなのでしょう。

自動車を運転する人はもちろん、子供から高齢者まで交通社会の一員である以上は、交通事故に遭遇するリスクがあります。このリスクを如何に小さなものにするかは、個々が細心の注意を払うこと、道路交通法などへの遵法意識を高めること、そして特に自動車の運転者は“事故を起こさない・事故に遇わない”運転を心がける必要があります。
残念ながら交通事故がこの世から無くなることは現実問題として難しいでしょうが、少なくとも日本において死亡交通事故の発生件数は減少傾向にあります。警察庁の発表によると、2010(平成22)年の交通事故による死者数(発生から24時間以内)は4,863人となり、実に57年ぶりに4千人台となった前年の数値をさらに下回りました。また死者数がワーストとなった1970(昭和45)年の16,765人に対しては、70%以上の減少となっています。

この死者数については都道府県別の数値も発表されていますが、単純な数の大小だけを見ることの危険性については2010年12月10日付のエントリにも記した通り。いずれにしても個々のドライバーは自らが交通事故の当事者とならないように、ステアリングを握ったらしっかり安全運転を自覚しなければなりません。

ところで57年ぶりに低い値となった交通事故死者数ですが、死亡交通事故の発生要因については細かく検証する必要があります。
そこで大切なのは死亡交通事故が発生した理由。それを示すひとつの資料として、警察庁が集計している「第1当事者の違反別死亡事故件数」というデータを見てみましょう。なお項目には各違反内容のほかに「その他」というものがありますが、今回は「その他」については除いて解説します。

まずは、史上最悪の交通事故死者数となった1970(昭和45)年の資料から。これを見ると第1当事者となった車両側が犯していた違反は「わき見運転(11.7%)」がトップ。これに「最高速度違反(8.7%)が続き、以下「酒酔い運転(8.0%)」「追越し違反(7.0%)」「徐行・一時停止違反(4.7%)」となっています。

次に1989(平成元)年のデータ。バブル経済を背景に自動車の高性能・高出力化が進んだ時代です。この年のワーストワンは「最高速度違反(23.1%)」。10件の死亡事故における車両側の過失について、実に2件以上がスピードの出しすぎだったということになります。2番目は「わき見運転(8.8%)」で比率は1970年よりも若干小さくなっていますが、わき見が如何に危険な行為であるかを理解できます。以下、「酒酔い運転(5.7%)」「運転操作不適当(5.6%)」「徐行・一時停止違反(5.0%)」と続いています。
この時代はやはり最高速度違反が突出して多いことが特徴的。運転操作不適当というのも、想像ですがスピードの出しすぎによって運転操作を誤った事案を多く指しているように思えます。自動車の高性能化、道路基盤の整備がもたらした負の一面を窺い知ることができます。

続いては2008(平成20)年。街を行く自動車のほとんどが衝突安全ボディとなり、エアバッグやABS(アンチロックブレーキ)といった安全装置の普及も進みました。
この年のワーストワンは「漫然運転(15.3%)」。この項目は2002(平成14)年の統計資料から新たに加わった項目ですが、居眠りや漠然とした状態での運転を指しているようです。つまり運転操作に集中していないということで、ひとつの背景としては“クルマの家電化”や“高齢運転者の増加”があるように思われます。
次いで2番目に多かったのは「わき見運転(13.6%)」。漫然運転とわき見運転を合わせると28.9%にもなり、死亡事故の3割りの要因となっていることがわかります。そして以下「運転操作不適当(10.3%)」「最高速度違反(7.1%)」「徐行・一時停止違反(5.4%)」となっています。

このように約40年で、というかここ10年ほどで死亡交通事故の要因には大きな変化が見られます。
最高速度違反が減少傾向を見せる一方で、漫然運転やわき見運転の増加が顕著なのです。事実、2009(平成21)年の統計でもワーストワンは「漫然運転」で割合は15.3%に増えてしまっています。これに次ぐのはやはり「わき見運転」で、こちらも13.8%に増加。一方で「最高速度違反」は6.9%に減少しています。

資料をさらに検証していくと、2003(平成15)年に第1当事者の違反別死亡事故件数では、「最高速度違反」の割合を「漫然運転」と「わき見運転」のそれぞれが上回る逆転現象が生じました。この年、総務省によるとカーナビゲーションの普及率が初めて30%を超えて30.6%となりました。これが2009(平成21)年の時点では51.4%にまで伸びていますが、前述の「漫然運転」や「わき見運転」の増加が比例していることは間違いありません。

つまり近年は自動車のダウンサイジング指向や安全装備の充実化、スピードに対する価値観の変化などに伴い、最高速度違反を主に要因とした死亡交通事故が減少している一方で、カーナビゲーションや携帯電話の普及、高齢運転者の増加などにより漫然運転やわき見運転による死亡交通事故が増えていると結論づけられるように思います。
こうした背景があるからこそ、個々の運転者が安全運転をしっかり意識して励行することを大前提とした上で、辛口の批評になりましたが運転中の操作性に問題のあるカーオーディオを自動車メーカーが設定することには、激しい憤りを感じた次第なのです。

“自動車の家電化”という言葉を近年は耳にする機会が増えています。
この言葉を最初に使った人が何を意図していたのか知る由もありませんが、私自身はこの言葉に否定的ではありません。“家電”を便利な道具を象徴しているフレーズだとしたら、自動車は耐久消費財である限り、その利便性を追求するのは当たり前のことだからです。冷蔵庫やテレビとは異なり嗜好性が強い面もあるため、走りの性能などに拘る人が多いのは承知の上でいえば、自動車の基本は“個人が自由意志で安全かつ迅速に移動できる”ための道具であるはず。その上で走行性能やデザインなどで商品の個性を出したりして現在に至っているわけです。

しかし当たり前のことですが自動車は家電とは決定的に異なる点があります。
それは運転者が自由意志において一般交通社会の一員に加わって走行させることが目的の道具であるということ。そこには最初に記した様に交通事故のリスクが必ず存在しており、動力性能や快適性能の以前に安全性能が追求されるべきです。
それは何も最先端の電子デバイスを全ての車に装備することだけではなく、もっと基本的な操作性能や視界などを徹底することが大切でしょう。しかし残念ながら運転中の操作が危険な装備を平気で用意してみたり、デザインを優先しすぎて視界に難があったり、着座位置調整機能をコスト優先で省いた結果として正しい運転姿勢を採りにくいといった車が存在していることも事実です。

堅実な消費者が増えている現在だからこそ、見た目やカタログスペックに踊らされない車選びを多くの方々にしていただきたいと思いますし、自戒を込めて交通事故の現状を知ることで安全運転の励行と普及にもつながればと思っています。
 
Posted at 2011/02/23 21:45:44 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年02月20日 イイね!

LED化

LED化数日前、自宅の階段を照らす照明が切れてしまいました。ここには電球型の蛍光灯を使っていたのですが、さすがに何年も経っているので寿命を迎えてしまったようです。
そこでヨドバシカメラを訪れたついでに、交換用の電球を購入。今回はPanasonicのLED電球「エバーレッズ(EVERLEDS)」にしてみました。
それまで使っていた電球型蛍光灯に比べて、売価は2倍以上と高価。しかし消費電力の少なさはもちろん、定格寿命が3倍近いスペックという長持ちなので購入してみました。なにしろこの階段部の電球、非常に交換しにくい高所についているので、寿命が長いというのは大きなメリットになるからです。

ところで近年、自動車の世界でもLEDが広く普及しています。テール&ストップランプへの採用例はコンパクトカーでも珍しくありませんし、一部の車種ではヘッドライトへの採用例も出てきています。また、欧州車を中心にポジションランプとしての純正採用も増加中。このほかにもライセンスプレート灯やウィンカーランプ、室内灯など、自動車用電球のLED化が急速に進んでいるといえるでしょう。

もちろん自動車用も家庭用と同じく、通常の電球に比べればコスト的には割高になります。
しかしそれでも採用が増えているのは、ひとえに高い燃費性能を求める市場の声に応えた結果でしょう。消費電力の少なさは結果的に燃費性能の向上につながります。もちろん電球のLED化だけで変化する割合は微々たるものですが、エンジンやミッションなどの高効率化、空力性能の向上など、あらゆる面で徹底的に突き詰められてく燃費性能においては、この微々たる差も決して無視出来ない部分になっているからです。
その集大成としてカタログに掲載される燃費数値ですが、最近では最高出力数値よりもこちらが最も消費者が気にしているスペックになってきました。そういう状況ですから、例え0.1km/Literでもライバルに劣る数値を載せるわけにはいきません。ゆえに電球のLED化が進んでいるのも必然的な流れといえるのではないでしょうか。

ところでLED灯火については今から5年前、2006年2月12日付のエントリの記事でも指摘したのですが、ちょっと気になる部分があります。

LEDの特徴としては反応の速さがひとつ挙げられます。これは街中でブレーキが点灯する瞬間を見ればわかりますが、通常の電球に比べてLEDは“パッ”と明るく光ります。この特徴は特にストップランプにおいて後続車への注意喚起を明瞭かつ迅速に行なえるという大きなメリットになります。
もうひとつの特徴としては寿命の長さがあるでしょう。冒頭で家庭用電球のことにも触れましたが、通常のフィラメント電球より圧倒的に長い寿命はメンテナンス性の向上につながります。特に近年はランプの交換をするのにも手間がかかる車種が少なくないので、これも大きなユーザーメリットに数えられます。

そして三つ目の特徴として挙げたいのが発熱の少なさ。これこそがLED電球の高効率性を示す部分であり、エネルギーを無駄にしていないので燃費性能にも寄与することにつながる点です。しかし、これが雪道では大きな落とし穴につながってしまいます。
雪道、特に乾いた新雪などの積もった道では、自車が巻き上げた雪が車体の後面にはりついてしまいます。この時、従来のフィラメント電球であれば発熱効果のためにテールランプを点灯してさえいればランプ周りの雪は溶けて後続車からの被視認性がある程度は保たれていました。
しかしLEDは発熱量は非常に少ないためにレンズ越しに雪を溶かすことは無く、ランプ面全体を白く雪が覆ってしまう結果になります。

こうなると後続車からはテールランプの灯が相当接近しない限り視認できなくなってしまいます。今ではもうひとつ、ハイマウントストップランプの存在もありますが、これも車外にむき出しで装着されているものは表面が雪に覆われる可能性がありますし、室内装着のものはしっかりリアウィンドゥの雪を除けておかなければやはり点灯状態は後方から確認しにくくなってしまいます。
このように雪道で後方からの被視認性が低下するというのは、非常に危険な状態になります。渋滞や何らかの理由で停車していた場合、後続車の発見が遅れるとそのまま追突される危険性が高いわけです。路面凍結などの恐れがある雪道ですから、なるべく自車の存在は早めに相手に認識された方が良いというのは、推して知るべしです。

実はヘッドライトについてもフィラメント式の電球よりHID式は発熱量が少ないので、前方視界についても同様のことがいえます。この点、ウォッシャーやワイパーなどをヘッドライトに備えている車が欧州車では多く見られますが、残念ながら日本車ではかなりレアな装備という位置づけになってしまっています。

対策としては、雪道では頻繁に前後ライトやウィンドゥ、ルーフなどについている雪を除けることに尽きます。この冬は全国的に豪雪が続き、例年はあまり大雪被害のないような地域でも交通が寸断されるなど混乱を生じていました。
小さな接触事故であっても、それがきっかけとなって交通網が大きく乱れる可能性もある雪道の運転。周囲から“見られる”ことが安全運転につながるということも十分に認識しておく必要があるでしょう。ただし、リアフォグランプの利用については、後続車の有無や気象状況などを随時判断して、適切に使うことが求められます。
 
Posted at 2011/02/22 23:06:55 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年02月19日 イイね!

嬉しいような、悲しいような

嬉しいような、悲しいようないきなり私事ですが、私が自動車の運転免許証を取得したのは18歳になって間もなくのことでした。最初に購入したのはS13型の日産シルビア。これを皮切りに、これまでにセカンドカーも含めて13台の車を所有してきました。

その一台一台に色々な思い出がありますが、印象に深く残っている一台が「ランチア・テーマ turbo 16v」です。北海道に住んでいた1995年に、埼玉県のマツダディーラーから中古車として購入。僅か3,000km程度しかオドメーターに刻んでいない個体でしたが、左ハンドル+マニュアルミッションということもあり、とてもお買い得なプライスで手に入れました。
当時はマツダ系列のオートザムでランチアを取り扱っていたこともあり、北海道の片田舎でも正規ディーラーがあるというのは購入の大きな動機になりました。
以来、北海道在住時代は冬を除いて毎日のように往復100kmの通勤をこなし、東京に転居する際も津軽海峡経由のルートで自走を敢行。しかし残念ながら年数や走行距離を重ねたことに加え、首都圏の猛暑は車に容赦なく襲いかかり東京で1年半ほど使った段階で冷却系が故障して廃車になりました。

この「ランチア・テーマ turbo 16v」、なによりもその“佇まい”が気に入っての購入でした。ボクシーな4ドアセダンのボディは気品と格調を感じさせるものですが、実はCd値が0.32と空力性能もなかなかの優れもの。私が所有していた個体は直列4気筒のインタークーラーターボエンジンを搭載したもので、最高出力は175ps/5500rpm、最大トルクは29.9kg-m/2500rpm。2レベル・オーバーブースト・システムが備わり、通常の2/3までのアクセルワークでは0.65バールの過給圧ですが、一度フルスロットルをくらわせてやると0.9バールまで上昇して30秒間保持されるのです。当時勤めていたサーキットコースで試してみたのですが、あっと言う間にスピードメーターの針は200km/hに到達してしまいました。

しかし一方ではFF(前輪駆動)の弱点であるトルクステアが過大であったり、リアシートに分割可倒式が採用されていることからと特にリア周りの剛性感が不足していたりという面もありました。もっともこの車はキャラクター的に全開加速を頻繁に使うようなものではありませんので、ことさらに目くじらを立てることはありませんでしたが。
それよりも内外装の上質な雰囲気が素晴らしいものでした。インパネは今では古さを感じる“L型デザインの絶壁スタイル”ですが、ドアトリムとオーディオカバー、さらに灰皿のカバーにはアフリカンローズウッドが採用されて、室内の良いアクセントになっています。
フルオートエアコンやシートヒーターなどの快適装備も充実しているかと思えば、メーターパネルには240km/hまで刻まれたスピードメーターとレブカウンター、これらに挟まれるかたちで燃料・水温・油温・油圧という4つのメーターが備わり、ここにランチアらしいスポーティさを見いだせたりもします。

ボディサイズは全長4590mm×全幅1750mm×全高1435mm、ホイールベースが2660mm。駆動方式がFFであり、かつ比較的高めのルーフと角度の立ったピラーによって、室内はとてもルーミー。仕立ての良い内装と合わせて、ドライバーはもちろんパッセンジャーも快適な移動を楽しめる空間が用意されています。もっとも位置づけ的には相当なハイレベルにあたるモデルであり、イタリア本国では政府高官などの公用需要も少なくありませんでした。中にはストレッチド・リムジン仕様も存在しており首相専用車に使われていたくらいですから、ラグジュアリーサルーンとしての高い完成度は言うまでもないのかもしれません。

イタリア車ということでトラブルを心配しての購入だったのは事実ですが、思いのほか深刻なトラブルはありませんでした。唯一、クラッチペダルに不具合が生じて踏み込んだペダルが戻りにくくなったということはありましたが、せいぜいトラブルと呼べるのはこの事例くらい。あとはメンテナンスの面ですが、帯広のオートザムディーラーに良くしていただいたこともあり、特に困るようなことはありませんでした。もっともタイミングベルトの信頼性という欠点に対する不安は拭えなかったので、3万km毎の交換をしましたが走行距離が多い身にとっては、これだけは少々厄介な問題でした。

この「ランチア・テーマ turbo 16v」では北海道内の海岸線を全て制覇したことがあります。1997年、この年をもって転職で北海道を離れると決めたので、思い出作りとして当時の北海道内にあった「道の駅」を全制覇することにしたのです。今よりは数が少なかったものの、それでも立地は全道各地になりますので、休みごとにあちこち走り回りました。
なにしろ日本ではマイナーな存在、聞いたところでは北海道内には10台もいなかったと言われた「ランチア・テーマ turbo 16v」。ゆえにドイツ車に間違われたり、逆に知っている人からは興味深く見つめられたり。北海道内では8万km近くを走りましたが、その間に同じ型のモデルと遭遇したのは僅かに1回だけでした。


こんな思い出を記したのも、次のようなニュースがあったからです。

●2011 Geneva Preview: 2011 Lancia Thema, Flavia, Flavia Convertible, Grand Voyager Revealed
egm CarTech  2011年2月14日

ランチアは3月に開催される「第81回 ジュネーブ国際モーターショー」に、新しいテーマを出品すると発表しました。

●LANCIA AT THE 81ST GENEVA INTERNATIONAL MOTOR SHOW
ランチア・プレスリリース  2011年2月14日

私も所有していた初代のテーマは1984年10月にデビュー。フェラーリのV8エンジンを搭載したモデルをリリースするなどの話題もありましたが、モデルライフ中に3度の大がかりなマイナーチェンジを受けて、1994年に後継となる「κ(カッパ)」にその座を譲るまで販売されていました。ちなみにこの「κ(カッパ)」もなかなか魅力的なモデルであり、特にテーマには存在しなかった2ドアクーペなどは上質かつ流麗な存在感が特徴でしたが、残念ながら日本には極僅かな数しか輸入されませんでした。

つまりテーマの名前が17年ぶりに復活することとなったのです。これは元オーナーとしても非常に嬉しいニュースであり、どのような形で復活を成し遂げるのかには自然に興味が湧きました。
ところがこの“二代目 ランチア・テーマ”は、少々残念なものでした。ランチアは1969年からフィアットの傘下にあるのですが、2009年からのクライスラーとの提携関係を改めて知らされる内容となっているのです。この提携は今年に入って両社の経営統合の可能性も高いと報じられるほどに深まっていますが、“二代目 ランチア・テーマ”は2011年モデルの“クライスラー・300C”をOEM供給されて作り出されたものになるのです。

そもそも初代も“ティーポ4プロジェクト”として、サーブ9000/フィアット・クロマ/アルファロメオ・164という3ブランドのモデル達と兄弟関係にありました。しかしそれぞれのオリジナリティはとても強く、車に詳しくない人であればこの4車種がひとつのプロジェクトから生み出されたものだとは思わなかったことでしょう。
それに対して今回の二代目は完全なOEM供給モデル。写真を見れば一目瞭然、メカニズムはもちろんのこととして、エクステリアなどのデザイン的にもベースである“クライスラー・300C”と大差のない内容です。一応、インテリアについてはイタリアを代表する高級家具メーカー「POLTRONA FRAU (ポルトローナ・フラウ)」が手がけていますが、内外装の造形が全く共通とあってはイタリア車ならではの味わいを感じられることも少ないように思えます。


世界的に厳しい“生き残り戦争”が繰り広げられている自動車業界。そんな中でブランド、企業の歴史を途絶えさせないための企業間提携や合併が行なわれることは、時代の流れとして致し方ない部分といえるでしょう。特にこれからは環境性能など、技術開発のスピードアップがますます加速しそうですから、資金も含めた開発体制の強化が生き残りには必須。そうなると“スケールメリット”を求める状況は止めることが出来そうにありません。
既に国際商品となっている自動車。ヨーロッパ圏もEUの発足以降、自動車については国ごとの個性が薄まりつつあります。しかし逆に長年にわたる伝統や歴史に支えられていることも変わりは無く、やはりどこかに生まれた国の香りを感じる部分があるのも事実。
しかし、ここまで共通項の多いOEMモデルでは、そんな香りはほとんど感じられないことでしょう。

2011年1月26日付のエントリでも記しましたが、特にそのブランドのフラッグシップに位置するモデルが他社からのOEM供給というのは寂しいものです。比較的潤沢なコストを用いることが可能で、サイズや販売価格の制約も小さいフラッグシップサルーンは、各ブランドの車造りに対するポリシーを具現化しているケースが多いのですが、OEM供給車ではそういった見どころがほとんどありません。
結果的には私がこれまで所有した車のうち、「三菱ディアマンテ」に続いて「ランチア・テーマ」も、後継はOEM供給車になることが決まってしまいました。元オーナーとしてはなんとなくブランド復活が嬉しいようで、実際にはちょっと悲しいニュースなのでした。
 

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