MiniCar|TRUE SCALE 1950 ロールス・ロイス シルバーレイス 御料車
投稿日 : 2012年07月10日
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日本において天皇陛下が乗られるために用意されている、公式な車両は「御料車」と呼ばれています。宮内庁には管理部に車馬課というセクションがあり、ここが御料車をはじめとする自動車、さらには馬車や馬に関することの維持管理など全般を担当しています。
現在の御料車は2006年から納入されているトヨタ・センチュリー・ロイヤル。その前は1967年から納入が開始された日産プリンス・ロイヤルが使われていました。
そして、今回リリースされたミニカーは、さらにその一世代前の御料車。数台のロールス・ロイスが使われていた時代ですが、その中からシルバーレイスの御料車がモデル化されました。
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箱書きでは1950年式とされている同車。しかし、小林彰太郎氏の著書によれば、第二次世界大戦前に採用されたメルセデス・ベンツ770に代わって、1957年にシルバーレイスのフーパー社製リムジンが導入され、次いで1961年型のファンタムVマリナー・パークウォード・リムジンが使われるようになった、とありました。
戦前に導入されたメルセデスと、戦後導入の御料車における最大の相違点はボディカラーにあります。
戦前の御料車は深い赤、溜色と呼ばれるボディカラーをまとっており、この色は皇室専用の色と定められており一般車にペイントされることは許されていませんでした。
しかし、戦後になってその縛りもなくなったことから、御料車も漆黒のボディカラーをまとうようになったのです。
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小径化された2灯式丸形ヘッドライトから、シルバーレイスとして後年のモデルであることがうかがえるフロントフェイス。もちろんパルテノン神殿をモチーフとした威風堂々たるグリル、そしてその頂部に誇らしく飾られるスピリット・オブ・エクスタシーのラジエターキャップは、世代を超えてロールス・ロイスらしい威厳を見せています。
グリル前に備わる十六八重表菊の紋章はナンバープレートのようにも見えますが、これは公務中であることを示す標識。皇室用のナンバープレートは別に設けられますが、道路運送車両法施行規則で定められたのは1958年のことでした。
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クラシカルなリアビューでは、小さなテールランプに対して、大きなトランク部が対照的な印象です。
このトランクに荷物を満載することは無かったと思いますが、上下分割式で開くユーティリティスペースは容量こそ決して大きくないものの、スクエアで使いやすそうな空間となっています。
なお、内装は総本革シートとなり、前席がベンチシートの3座、後席は玉座を含めて2座仕様。前後の室内はガラスパーテイションで仕切られ、一般市販仕様ではピクニックテーブルが仕込まれているキャビネットには、収納式のシートが2席用意されていました。
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歴史を紐解くと、日本で初めての御料車は1912年のダイムラーだったそうです。その後、2代目としてロールス・ロイスのシルバーゴーストが1920年に導入されるのですが、当時の日本は日英同盟をイギリスと結んでおり、かつ皇室がイギリス王室と良好な関係を築いていたという背景もあっての車種選定なのかもしれません。
その後、第二次大戦前にメルセデス・ベンツへと代替されたのですが、この頃の世界情勢として日本は日独伊三国同盟を結ぶに至る流れの中にありました。
そして戦後、再びイギリス車を使った後、自動車産業を中心に驚異的な躍進を遂げた日本を象徴するように、御料車も国産車となって現在に至っているのです。
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