
愛知県長久手市にあるトヨタ博物館を訪問してきました。(なんと2回!)
一番のお目当ては3月1日から8月3日まで開催のクラウン誕生70周年記念展でしたが、その記念展とそれ以外の博物館の様子に分けて記録しておきたいと思います。
はじめにクラウン誕生70周年記念展を。
入口はこんな感じ。
クラウン誕生70周年記念展開催を案内するポスターには「世界初!全16代がここに集結!」とあり、全世代の実車が見られるとの事。
こんな展示はトヨタ自動車以外では出来るはずもなく、故にトヨタ初の展示であれば、当然、「世界初」でしょうね。
また、クラウンはほぼ国内専用だった歴史からすると、「世界初」という言葉に違和感を感じます。
展示場所の入口はこんな感じ。ちょっと手狭で、クルマの後ろが見えないのが残念!
左側手前から奥に初代から8代目まで
右側手前から奥へ9代目から12代目まで。
そして13代目から15代目は実車が別フロアに展示されているため、この場所では精密な模型で展示。
会場正面には16代目となる現行のクロスオーバーが鎮座。
(16代目にはあまり興味がなく、全身画像を撮っておりませんでした)
さて、ここからは各世代について、非常に個人的な思い出や各車系への拘りを中心に記述したいと思います。
カタログ的な全景写真や解説はいろいろな本も出ていますので・・・
【初代】
リアルタイムで現役車を見たことがないので、語るネタが御座いません(笑)

実車を見ると当時の国内市場には相応しくない赤色で、左ハンドルという事から、輸出された、あるいは輸出しようとしたモデルだと思います。
輸出先の米国ではヘッドライトの照度基準が厳しく、当時の日本製ではこの基準をクリアできない事から、ヘッドライト無しの姿で船積みし、米国内で現地製を取り付けたとか。
【2代目】

こちらも現役車を見た記憶がありませんで。
歴代クラウンの中では、非常に地味は存在ではないかと思います。
実車をまじまじと見ると、フロント部のメッキのボリュームが目を引きます。また、グリルも繊細な造形です。

初代からわずか5年で、車全体のデザインや構成する部品の意匠がここまで進化した事に驚きを感じます。
【3代目】

こちらも現役車を見た記憶がありませんで。
実車に注目してみると、
フェンダーミラーの正面や各ランプ類の取付にビスが多用されているのに目がいきました。

プラスチックや樹脂類の成型技術が向上し、現在は「嵌め込み」が主流ですが、当時はそこまでの技術や精度がなく、ビス留めしかなかったんでしょうね。
ただ、電球の交換は簡単そうです。
車両側面を見ると、クラウンと言えど三角窓が存在。エアコン装着は次の世代からでしょうか。
一方で、クラウン伝統(?)の側面エンブレムがもう誕生していますね。
そして、後方にはロッドアンテナが。
運転席から離れたこの位置にあるという事は電動式と思われます。
車両を構成する部品1つ1つが、各々のペースで進化し始めている事を感じます。
【4代目】
通称「クジラクラウン」の4代目。
実車の思い出はありませんが、リアルタイムで見ていた「Gメン75」で、夏木陽介さん扮する小田切警視正が乗り回す黒塗りの警察車両を鮮明に覚えております。
また、赤と黄色に塗り分けたタクシー仕様のトミカを持っていた記憶があります。
最近では、竹野内豊さん主演の「素敵な選TAXI」で主役として登場しました。
この代はなんといっても「売れなかったモデル」として有名ですね。
スタイルの不評さに加えてオーバーヒートしがちでタクシー業界から敬遠されたとか。その原因であろうフロント周りですが、極端に通気性が悪い様には見えないのですが・・・

全体のスタイルが良くない事の他、当時では当たり前のメッキバンパーではなく塗装仕様である事も一因。時代の先を行き過ぎていたんでしょうね。
一方で、「私の中の高級車の証」アイテムの1つであるメッキのアーチモールがこの代から装着されています。

以降、2000年代になるまで、クラウンをはじめマークⅡなどにも装着された高級車の証と思っております。
側面から後方に目をやるとついに三角窓が廃止されています。Cピラーには後にクラウン伝統となるエンブレムを装着。
そして、当時は他の車種でも見られた、リアフェンダー部への車名エンブレムも装着されています。パワーアンテナも先代に引き続き健在の様です。

車両全体のデザインはともかく、個々の部品が益々進化している事に加えて、クラウンらしいアイテムが固まりつつあり、伝統の始まりを感じる世代だと思います。
【5代目】

この代はトヨタの販売店で実車を見た事を覚えておりまして、トヨタの高級車がクラウンであることを私自身が認知したモデルです。
後に調べてみると、父が1977年登場の2代目カリーナを購入検討し、その際に訪問した販売店のこのクラウンが展示されていたと思われます。
はっきりと覚えている事はこの「隠れたワイパー」です。

フロントガラスとボンネットの収まりが、我が家のクルマ(カローラサンマル)とは違う形状で、ワイパーが見えないデザインになっています。これが衝撃的でした。
大きく角ばったデザイン。

取付ビスも目立たない工夫が施されています。
この代のヘッドライトとグリルの構成比やグリルのメッキ感が、後のクラウンにも継承される「クラウンらしさ」を確立した様に思えます。
サイドのエンブレムも後の代に引き継がれるこの位置へ。そして、車名ではなくグレートになりました。この「R」と「S」が目立つ書体のエンブレムが、ロイヤルサルーンの、そしてクラウンの象徴。
フェンダーミラーはそれまでの代では高級感のかけらもなかったですが、この代より塗装とメッキパーツにより加飾されました。

今回の展示では車両後方を見ることが出来ませんでしたが、この代では、テールレンズの中に小さな王冠マークが貼り付けられておりました。そんな遊び心とクラウン=王冠マークの主張がとても心に響いたのを覚えています。
この代でゼロクラウン登場前までの「The CROWN」が形作られたと思います。
【6代目】

6代目の登場は1980年、ソアラやクレスタが登場し、DOHCやターボ、4速オートマ、4輪独立懸架、エレクトロニクスアイテム等々、のちの世代まで続くアイテムが出そろい、私の中では、トヨタが一番伸張した時期と認識しています。
6代目クラウンは4ドアハードトップが登場し、代表モデルがそちらに移行しつつありました。
が、今回の展示は4ドアセダン。歴代クラウンの中で、私が一番好きなモデルであり、最上位セダンの展示に感謝、感謝です。
なんといっても4灯式ヘッドランプと神殿の柱を思わせるグリルの構成。
そのグリルのメッキも高品質な輝きを放ちます。
3ナンバー車に限定してではありますが、クラウン初のカラードウレタンバンパー。

中央が出っ張ったこの形状、そして人が座れる様な出幅と水平面。これに高級感と特別感を感じます。
同じ3ナンバーのハードトップが2灯式で少し「優しい顔つき」に感じる事から、一層、セダンの威厳さが強調されている様に感じます。
側面の装飾類はもう確立されています。
(ピラーのエンブレムはセダンにはありませんが4ドアハードトップには付いています)
アンテナが見当たりませんので、この代からリアガラス埋め込みになったと思われます。
フェンダーミラーはこの頃、しきりに「タルボ型を採用」と言っておりましたが、ググってみると流線形ことを言う様で。この形が高級車の標準的な形になりました。

尚、この「タルボ」はこの形のミラーを開発したフランスのメーカー名との事。今になって初めて知りました。
こんな調子で各車型の思いなどを綴っておきたいと思いますが、ちょっと長くなりましたので、ここまでを「その1」としたいと思います。
私見ばかりの内容ですが、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。