
日本で言うなら大正から昭和にかけての話。
一応年老いた釣り師の思い出話の形をとっているのだけれども、親子・兄弟の葛藤を描いた作品・・だろうか。似たような作品で、J・ディーン主演の「エデンの東」なんていうのもあるのだが(これの元ネタというかアイデアは旧約聖書の中に出てくる「カインとアベル」で「悲しよこんにちは」のエリア・カザンの作品)
以下ネットからのあらすじ引用
・・年老いたノーマン・マクリーン(アーノルド・リチャードソン)は、故郷の川でフライフィッシングをしながら、若き日を回想していた。1912年、アメリカ、モンタナ州ミズーラ。10歳のノーマンと8歳のポールは、父親のマクリーン牧師(トム・スケリット)にフライフィッシングと勉強を教わっていた。ノーマンの夢は牧師かプロボクサーになること、ポールの夢はプロのフライフィッシャーである。19年、ノーマン(クレイグ・シェーファー)は東部のダートマス大学に進学し、7年後、ノーマンがやっとミーズラに戻った時、父は歓迎の言葉のかわりに将来の進路を決めかねているノーマンを批判する。一方ポール(ブラッド・ピット)は地元の大学を卒業し、地方新聞の記者をしている。ノーマンは、弟が酒と賭けポーカーにのめり込んでいるのを知る。兄弟は早速川に入り、釣りをする。ノーマンは、弟のほとんど芸術と化したフライフィッシングを見つめていた。独立記念日のダンス・パーティで、ノーマンはジェシー(エミリー・ロイド)と出逢い、恋に落ちる。ある日ノーマンが家に帰ると警察から電話が入り、ポールが留置所に保護されているというのだ。ポールの哀れな姿を見たノーマンは、彼がトラブルに巻き込まれていることに気づく。どうやらポーカーで莫大な借金を背負っているらしい。ジェシーの兄ニール(スティーブン・シェレン)がハリウッドから帰ってくる。キザな彼をノーマンはひと目で嫌いになるが、釣りに誘う破目になる。ノーマンはニールと別れると、ポールを訪ね、釣りに誘う。そんなある日、ノーマンはシカゴ大学から教授職のオファーを受け取る。彼はジェシーにプロポーズする。ノーマンは酒場でポールに会い、ジェシーのことを話すが、ポールは素直に喜んでくれない。翌朝、フライフィッシングに現れたポールに、ノーマンは一緒にシカゴに行かないかと誘うが、ポールはそれを辞退する。そして川に入り、今まで誰も見たことがないような大物を見事に釣り上げる。ある日ノーマンは、警察に再び呼び出された。彼は家に戻ると、ポールが殺されたことを両親に報告する。そして父にだけはポールがイカサマをして右手を潰されていた事実を告げる。その後も死の様子を詳しく知りたがる父親に、ノーマンが「少なくとも、僕たちの知っているポールは素晴らしいフィッシャーだった。それで充分じゃないか」と言うと、父は「それだけじゃない。ポールは美しかった」と答えるのだった。回想していた老いたノーマンが、黄昏の川でフライフィッシングをしている。彼は今、川の流れのなかに、人生の本質を見るのだった。
教会の牧師をしている厳格な父親と優秀な兄と自由奔放な少しばかりヤクザな弟の話なんだけれども、解説とか巷で言われているほどの葛藤が有るようには思えないのだけれども。
観たことの有る方ならわかると思うが「エデンの東」は殺伐として「刹那」という言葉が合うようなくらいでジェームス・ディーンの演じる出来の悪い弟がかわいそうになってしまうようなかなり意図的な演出だった気がするが本作でそんな雰囲気は感じられなかった。
確かに牧師をしている父親は厳格ではあるが、子どもたちとの会話を進んでして、日曜の礼拝の後に子どもたちを川に連れて行ってルアーフィッシングを教える。そのことを通じて意思疎通をするように努力している、文字通り「父親」という人生の教師であるし、母親は優しさにあふれて入るけれども子供の個性を認めいい意味で適当な距離感を持っている人だし。(私から見れば理想的な両親に思えるのだが)
兄弟は全く違う道を歩いているのだけれども(兄は大学の教師で弟は地元の新聞記者)少なくてもお互いの存在は認め合っている(内心は多少の嫉妬心のようなものは有るにせよ)
舞台となった1920年台のモンタナの自然は人生そのもの。見ているだけで心を癒せる緩やかな流れがある時には一転して急流となり人の命さえも奪ってしまう川の流れ。その中で精神を集中してあるポイントにルアーを投げ込みマスを釣り上げる。そしてその動作はまるで芸術のように美しい。そのマスが大きいか小さいかはさておき、それは人生においてもいくつかある転機に遭遇することにも似ているし、多分にそのことをダブらせているのではないか。
特に弟の心の中には他人では計り知れない屈折した思いがあるのだけれどもそれは個々では描かれていないしそのことは本筋ではないように思えるのでそこまで踏み込まなくて正解。本作は個人的な葛藤の話ではないような気がする。それに「回想」という形をとっているのでなおさらだと思う。
総ては走馬灯のようにさらりと流れていくものだと思う。
喜びも悲しみもみんな一緒に飲み込んで時間は流れていく(そういえば美空ひばりの歌でそんな歌詞の歌があったな)・・様々に形を変えながらも本筋から外れずに海に辿りついて人生を終わるもの。途中で別れて迷路に流れ込み、色々な「ゴミ」を投げ込まれ、濁って汚れて、淀んで一生を終わるもの。様々ではあるがみな人の一生。
これが本題・・・であると思う。
監督はロバート・レッドフォード
それにしても若い頃のBピットは存在感が抜群だ。
Posted at 2013/04/16 00:27:13 | |
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