2023年09月30日
ビッグモーターとジャニーズについての感想と妄想
業界の実情も経済も全く知らないおっさんの、単なる感想と妄想である。
元クルマ好きに言わせると、最初は正直それほど驚くようなことではないと思っていた。
が、ここまで大きな問題となった理由は、それが一つの話ではなくいくつもの問題が重なりあっているからであって、ニュース等ではそれがごちゃごちゃのままなので、やはり元クルマ好きとして一応整理しておこうと思う。
そもそもことの発端は、修理代金を水増しして請求していたという事である。言うまでもなくビッグモーターは不当に利益を得ていたことになるし、修理を依頼したクルマのオーナーは修理代金を騙し取られたということになる。
こうしてみれば話は単純、単なる詐欺罪だ。
が、実際はもっと話が広がる。
クルマのオーナー、つまり客は修理代金を保険で支払う前提だったということだ。だとすれば余計に修理代を支払うのは保険会社だということになり、ここで損保ジャパンが登場する。ここからがポイントだ。
損保ジャパンは、水増しを認識しながらも見て見ぬふりをしたというのである。
これはどういう事かというと、ビッグモーターとは提携関係にあり、保険の新規契約を大量に取ってくれることと引き換えに、保険金を余計に払うことには目をつぶった、ということだ。
つまりビッグモーターは修理代金を、損保ジャパンは新規契約を得るという関係であり、当然トータルでは両者とも利益を得ていたのである。そして客はといえば、保険金で修理したのだから損はしていない。当初から専門家もそう解説しており、それが炎上したりもしていたが、自分もこの段階においては同じ認識である。
もちろん、この分を他のユーザーが保険料という形で負担したのではないかという意見は理解できるし、可能性は当然あるのだろうが、実際のところは分からないということである。おそらく保険会社がそのような資料や根拠など出すハズがないし、実際出しようもないのではないだろうか。まして対外的にそのような企業秘密をバラすわけには到底いかないだろう。もちろん自分には実際のところは全く分からないが、少なくとも保険料を見た上で契約しているのであり、騙し取られたということにもならないだろう。
最も重要なのは、保険を使わない客に対してはどうしていたのだろうかということだ。ユーザーとしてはここが最大の問題である。
もし水増ししていたのなら客にしてみれば単なる詐欺だ。だとすれば個別に犯罪として扱われるハズだが、今のところはそうではないらしい。
正直、ここまでの話であれば個人的には全く問題ないとすら思う。
というのも、車両保険の場合、保険料が高いので入っていても免責10万円などとしている人も多い。
この場合、翌年から3年間の保険料の値上げ分を考えると修理費は15万円くらいにならないと保険の意味がない。
ビッグモーターが修理費の水増しの目安を15万円に設定していたというのもこの辺から来ているのではないかと思われる。
こういう時、昔から、大抵の人は、「ちょっとこっちも一緒に壊れたことにして直してくれない?」と工場に相談するのが自然の流れだ。事故の相手が負担する場合も大抵同じである。ただ工場から返ってくるのは「保険屋の査定員が見に来るのでちょっとムリです」という言葉だ。自分にはホントところはわからないが、おそらく真実だろう。少し古い話ではあるが実際そうだったという知人もいる。
つまりこうしたユーザーの心境からすればビッグモーターは「話の分かる」業者であり、それは保険会社と特別な関係だからできることだった。
今回の話がもしこれだけだったら、不正であること自体否定のしようもないものの、ここまで非難されることはなかったに違いない。
ユーザーも分かった上で、まして新品に取り替えるまたは確かな技術で美しく仕上げた板金塗装であれば、誰も文句はないハズだ。
若干話は逸れるが、そもそも日本の医療システムなどは、診断、治療を誰が査定することもなく、病院は報酬を得、患者は保険金を得ているようなものである。当然限定された範囲内ではあり、さすがにクルマのようにわざと傷つけるなどということはないハズだが、医療機関側は好きなだけ請求できることには違いないだろう。実際無茶苦茶な診断がまかり通っているのも明確な事実だし、また一部の柔道整復師などはビッグモーターと大して違わないというのはさすがに言いすぎかもしれないが、少なくとも患者にとっても医療機関にとってもこの上ない制度ではある。
とは言え、もし客が何も知らずに、壊れてもいない箇所をゴルフボールで叩いて凹ますなどということがあったとしたら、仮に完璧に修理されていても気分は良くないだろうし、そもそもハナから保険会社が見逃してくれる前提ならわざわざゴルフボールで凹ませる必要はないのだろうから、やはり保険の有無に関わらずやられていたということであり、だとすれば到底許せるハズもない。
結局後々出てきた会社自体のヒドさから考えると、修理自体にも問題があったのは間違いなさそうである。
というかこの事はあくまで発端であり、ここから様々な悪行が次々と明らかとなった結果、ビッグモーターはとんでもないブラック企業だった訳であり、客にとって話の分かるいい業者などということは全くなかった。
損保ジャパンについても見逃し云々より、ここまでヒドいブラック企業とズブズブの関係だったということがイメージ的に最悪、ということになるだろう。
ただ、こんな話は、昔から、クルマ好きなら、ある程度は分かっていることである。
整備工場の対応にイヤな思いをしたことくらいフツーにあるし、信頼できる工場がいかに希少かということも重々承知だ。
そしてそれは大手か、町工場か、ディーラーかなどという問題ではない。
というかビッグモーター的な大手全国チェーンというのは昔はなかったように思う。
この手の業態が定着したのはこの15年か、古くても20年間くらいだろう。古いものではカーコンビニ倶楽部とかコバックだと思うが、これらは修理や車検がメインというイメージで、買取販売で言えはガリバーやラビットといった感じだろうか。
確かに買取店は急成長した分野だが、それこそ悪い噂は昔から散々あるし、自分の経験上もイメージはかなり悪いし、クルマを愛する人間などハナからいるハズもないと思っている。
この業態が増えたのはなぜだろう。やはり失われた30年と関係があるのだろうか。
バブル前後の日本車は値段は安く壊れないため部品だけでも途上国では大人気で、大量の中古車が海外に流れていると20年以上前に聞いたことがある。
バブル崩壊後それらの中古が大量に発生しただろうから、それが買取り業界成長の原動力だったのではないかと思ったりもする。おそらくはそれで充分ビジネスになり、そもそも修理や車検には手を出す必要がなかったのではないだろうか。
そして20年後、日本車の、そして中古車の国内販売台数は低下し、タマ数も減り、価格も上昇し、急拡大したこのビジネスモデルはおそらく終わりに近づいているのだろう。結果縮小の一途を辿る国内での販売や整備にやむ無くシフトせざるを得ないということになるのだと思われる。つまりもうビジネスとして先細りなのが目に見えているのである。
戦後日本のクルマ業界は目覚ましい発展を遂げた。日本全体がクルマ産業の恩恵を受けたと言っても過言ではない。言い方を変えれば、手っ取り早く稼ぐのには最適であり、そんな人間が多く集まる場所でもあった。それは社会の仕組みとして当然のことである。
クルマが好きな人間がクルマで商売して儲けているのをあまり見たことがない。あくまでクルマを、そして客を単にカネとして扱える人間だけが、クルマで儲けることができるのである。これは何もクルマに限ったことではない。
そんなことは何度も経験していれば誰でも分かることであり、この歳になればいろいろなことが全て繋がって見えてくるものである。
ただそんなおっさんでも明らかにヒドいと思うことだらけなのがビッグモーターであり、客に対してだけでなく、あらゆる者を裏切りながら巨大に成長したまさに悪の権化だったと言っても過言ではないだろう。
ただそんな組織だからこそ、そんな人間が集まるというのもまた自然の法則なのだ。
これは、今まさに問題となっているジャニーズ事務所と同じである。
テレビやマスコミは、そこから得られる利益を優先し、犯罪行為には30年もの間目をつぶってきた。彼らにとってそんなことは言うまでもない当然のことなのだ。
ただその意味では、NHKの罪は、今回の発端をBBCが担った点からも、他の民放より数段重いことは、誰も指摘していない。日本相撲協会との関係もそうだが、NHK自体が反社まがいとズブズブの腐敗組織であることは明らかである。
そもそもこの件はそれこそ30年前から皆が知っていたことである。どうみてもアイドル顔とは言えないタイプを見ては「ああ、こいつはたぶんそういうことなんだろうな」と冗談を言っていた。まして犯罪だと認識することもなかった。だいたい知っててそんな事務所に所属することが理解できなかったし、そこまでしてアイドルを目指すような人間だけが集まる世界なのだと認識していた。その頃はそんな時代だったのだ。
ただ今となってみれば、被害者の大半が未成年である。ということは既に死んだ犯人のみならず周りの大人達の責任は相当に重いハズだが、彼らにはその意識は全くないようだ。そのような組織の中で選ばれ、這い上がった人間達なのだから、当然である。
ただここまで問題になったというだけでも、とりあえず時代は変わったとも言えるのかもしれない。
が、本当の意味で時代が変わったのであればそれでいいのだが、そうでもない。
BBCより少し前に、あのガーシーが同じことをYoutubeでネタにしていたそうだが、社会はそれを無視したという。がその数ヵ月後BBCが報じたときには、モゴモゴとではあるがようやく動き出したのだ。これは結局、大半の日本人にとって問題の中身や真実などどうでもいいのであり、誰が問題視するのかが問題なのだということをまさに顕している。このことこそ問題の本質であるにも関わらずそれを誰も何とも思ってもいないのである。
これは何もガーシーを称えているわけではなく、このような人間達あるいは社会こそ、ある意味ガーシー以下であると言っても過言ではないだろう。
このこと自体、30年前と全く変わっていない社会の本質なのだ。
それでも犯人が死んだあとにようやくではあるが問題として認知されるようになったのだから、社会は一歩進んだと考えることもできる。
とにかくこれが日本人のレベルだということだけが事実であり、そういうものだと認識することが最も重要なのである。
もちろんそんなのは日本人だけだなどということでは全くないが、取り分けその性質が顕著なのは間違いないだろう。
どこぞ国の女子サッカー代表チーム監督が選手にキスをしたことが問題となり辞任したというニュースがあったが、数年前の日本では橋本聖子が高橋大輔に同じことをしたにも関わらずオリンピック担当大臣を務めたのだから、やはりこの国は他国から見れば異常であることには疑いはないハズだ。
力を持つ者同士は結託し、その力を笠に着る者がそれを取り巻き、忖度と搾取が延々と繰り返されるのである。
全てが破壊された戦後から、全てが組織の論理に収斂することで、日本の社会は成熟してきたのだ。
そしてそれが行き詰まりを見せ始める今を、一部の人が新たな戦前と呼ぶのも、それなりには理解できるように思う。
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2023/09/30 19:40:27
今、あなたにおすすめ