
そういえば、このネタを紹介することを忘れていました(笑)
ズバリ、”インチアップのときのタイヤ選び+適正空気圧は?”のお話。
意外と知らない人もいるかも?と思って紹介します。
…え?当たり前で面白くない? そういう方はサクッと読み流してください(笑)
あ、トビラ写真は何もなかったので手持ちのデジタル空気圧計を載せてみました。意味はありません、ははは。
ただ…説明が面倒くさいんです、この話。
計算や数字の羅列がたくさん出てきます。皆さんついてきてくださいね!
ワタシのブログ説明が下手でわからないよ~という方はタイヤメーカーのHPやもっと説明が上手な方のブログに行ってみてください。”タイヤ、空気圧、ETRTO”なんかのキーワードで検索すればたくさんヒットします。
【基礎編】
さて、まずはタイヤに記載されているサイズ表記の説明から。
”そんなこと知っているよ!”と言わず、ついてきてくださいな。
身近な例で、我がV35の標準設定のタイヤ18インチの記載を使いましょう。
サイズ表記は
”235/45 R18 94W”となります。
・前半の235/45は皆さんわかるでしょう。割愛。
・次の”R”、これはラジアルタイヤを示します。
・18、これはインチ数ですね。割愛。
・94。今回のブログの主役です。ロードインデックス値といいます。これは後で説明します。
・最後のW。これも意味があります。
そのタイヤで保証できるMAX速度を示します。
Sが180km/h でその後 H:210 V:240 W:270 Y:300km/h の保証をしています
今回のお題だと”W”ですので270km/hの保証となります。出ないけどね(笑)
ちなみにそれ以上の速度まで保証できる場合は(Y)の表記をします。
例:(94Y)という風に表現します。超高性能タイヤのみに存在します。
…はい、基礎勉強はここまで。
【ロードインデックスの話】
さて、問題のロードインデックスです。
英語で書くと”Load Index”です。Roadと間違えないよう。
Load=荷重です。 全体で”荷重指数”というのが日本語訳です。
タイヤがどれぐらいの荷重まで耐えられるか、を示したものです。
さて質問。タイヤは主にどの部分で荷重を受けているでしょう?
答えは…空気です。
なぞかけではなく本当です。
実際にはタイヤの中の空気が車両重量を支えているのです。タイヤゴムはただの入れ物。
極言すれば風船みたいなものです。
空気が多い方が高荷重に耐えられます。
ロードインデックス値というのは言い換えればタイヤに入る空気の体積量のことです。
同じタイヤサイズであれば”特別な場合を除き”ロードインデックス値は同じです。
タイヤメーカーや銘柄で変わるものではありません。
(”特別な場合”も重要な話です、後で紹介します)
さて、ロードインデックス値は空気の体積量、と言いましたが、もうひとつ耐荷重に必要な変数があります。それが、”空気圧”です。 お、出てきましたね。
同じ体積でもぎゅうぎゅうに詰め込めば耐荷重は上がっていきます。
よって、そのタイヤの耐荷重は記載しているインデックス値とタイヤ空気圧が分かれば判別できるのです。
ではどうやれば耐荷重が分かるか?
タイヤ規格に対応表があるのです、これを見ればOK。
【タイヤ規格の話】
日本で販売されているタイヤに適用されるタイヤ規格は”とりあえず”下の2つがあります
①JATMA (ジャトマと呼びます)
②ETRTO(エトルトと呼びます)
それでは詳しく説明しましょう
①JATMA:Japan Automobile Tyre Manufacturers Association の略です。
あら? 組織の名前ですね。規格っぽい名前じゃないなあ(笑)
基本的に日本で販売される自動車に標準採用されているタイヤはこの規格にのっとっています。
また、ほとんどの有名なアフタータイヤでもこの規格に合致しています。
最高空気圧
240kPa(約2.4kgf/cm2)まででその性能を保証しています。
(実際はもっと高い空気圧を入れても問題ありませんが、グリップや乗り心地は保証外となります)
ロードインデックスと空気圧の組み合わせで出来る耐荷重一覧は
こちらの通り
(出典:タイヤショップAUTOWAY HP)
②ETRTO:European Tyre and Rim Technical Organisation の略です。こちらも組織名だ。
クルマのタイヤだけでなくバイクや自転車のタイヤまで規定しています。
名前の通り欧州の規格です。
この規格に合致しているタイヤは、サイドウォールに○に”E4”のマークが浮き文字で
打たれていますので分かりやすいです。
最高空気圧
250kPa(約2.5kgf/cm2)までその性能を保証 しています。
同じくロードインデックス&空気圧で出来る耐荷重の関係は
こちらのようになっています。
例で使ったV35標準18インチのタイヤでいえば、ロードインデックス94+指定空気圧は230kPa(2.3kgf/cm2)で、国産車標準タイヤですからJATMA規格にのっとって、耐荷重は655となります。

ここで良く間違われているのが、これがそのまま"655kgまで保証"と書かれているモノがあること。
実際はこれも指数で、ダイレクトにkgではないということです。
まあ、参考にこう思ってください。
もし同じサイズのタイヤを交換するとして、そのタイヤがETRTO規格にだけ合致しているとすれば、表から逆算して、同じ耐荷重655に近い空気圧にしようとすると、それは240kPa(2.4kgf/cm2)となります。

ミシェランやピレリなどの海外タイヤはこちらに合わせましょう。
…ここまでは、普通のHPに良く書かれていることです。
しかし!実際には海外のタイヤメーカー製でも日本に輸入しているものは大概JATMA規格にも合致しているのです。ということで、同じサイズであれば標準の指定空気圧で問題ないです。
ただし、アジアンタイヤなどJATMA規格に本当に合致しているのか?という心配なものもあります。
ETRTO合致はE4マークで判断できるので、ここは指定空気圧+10~20kPa(0.1~0.2kgf/cm2)高めに入れましょう。ただし、保証最大空気圧2.5kgf/cm2を超えぬよう。
JATMA規格も合致しているタイヤになにかマークを付ければ分かりやすいのに、特に規定がありません。面倒だなあ。
【インチアップした場合はどうするの?】
やっと本題です(笑) ついてきていますか?
標準設定にないサイズのタイヤホイールにした場合、そのサイズ選び+空気圧設定はどうするのか?
その1)同等以上のロードインデックス値のタイヤを選ぶ
…理論的にはその通りなのですが、うまくいきません。
参考にワタシが今回入れたタイヤサイズでいえば
225/40R19タイヤの場合のロードインデックス値は…あ、89だ。標準の94よりはるかに小さい。
あきらめないといけない?
いえいえ、次があります
その2)同等の耐荷重になるように空気圧を上げる
そういうことです。
ロードインデックスは89でも、空気圧を上げたら耐荷重がアップするじゃないか!
ということで表を改めてみましょう
JATMAだと、ロードインデックス89で耐荷重655になる空気圧は…あら、最大240kPaでも580だ

じゃあETRTOだ!
ETRTOでは…同じ組み合わせで考えると、あら、最大250kPaでも同じく580じゃないか!

これじゃダメじゃん。
あきらめないといけないなあ、けいぞおさん無理して選んだんだなあ、と思わぬよう。
ここに裏の手があります。そんな大げさな話じゃないんだけどね
【裏の手:エクストラロード規格】
さっき、”ロードインデックス”の章で”特別な場合を除き”と書いたり、”タイヤ規格”の章で”とりあえず”と書いた理由があります。
実はETRTO規格の中に、”ETRTOレインフォースド規格”または”ETRTOエクストラロード規格”と呼ばれるものがあるのです。意味は同じです。
レインフォースド:つまり”補強”ですね、エクストラロード:追加荷重 となりますね。
今までの説明で書いたように、同じタイヤサイズ(インデックス値)で耐荷重を上げようとしたいなら、ガンガン空気圧を上げればいいのです。
しかし、通常のJATMAではmax240kPa、ETRTOでもmax250kPaまでしか保証できない。
もっと空気圧をあげたくてもタイヤの強度が足りない。
ということで“追加の荷重”に耐えられるよう、タイヤに”補強”を入れたものが出てきたのです。
これを規格化したのが”ETRTOエクストラロード規格”となるわけです。
保証空気圧はぐぐっと上がって
290kPaです。
また、同じタイヤサイズでもロードインデックス値も、インデックス&空気圧でできる耐荷重対応表も専用のものになります。
タイヤに”REINFORCED”や”EXTRALOAD”という浮き文字が入ります。その他の表記になっている場合もあります。 またサイズも最後にXLの文字が入ります。
JATMAにはこの規格がありません、よって耐荷重はこの特殊規格でしっかり考えなくてはいけません。 対応表は
こちらです。
同じくインチアップの例であげたタイヤ 225/40R19 において、エクストラロード規格になるとそのロードインデックスは”93”になります。
対応表で耐荷重655前後になるための空気圧を調べてみると… あ、ぎりぎり290kPa(2.9kgf/cm2)で耐荷重650になる!

つまり、ワタシが選んだハンコックタイヤ evo V12タイヤはこのXL規格のタイヤだったわけです。
これで安心。
【でも、それだけでもないんだよなあ】
いきなりこんな題名で、ガクッと今までの理論を覆してしまいます(笑)
通常タイヤのHPや色んなブログで表記しているのはここまでです。
じゃあ、今回のタイヤ交換ではタイヤ空気圧はmaxである290kPaに絶対しなくてはならない?
…そうでもないんです。
ここに”自動車メーカーにおける指定空気圧の設定方法”の話が出てくるのです。
自動車メーカーは純粋に耐荷重を合わせるように空気圧を設定しているか?そうでもないんです。
例をあげましょう
V35セダンには上記の18インチ以外のサイズもタイヤ設定があります
205/65R16(250GTなど)、215/55R17(300GTや前中期の350GT系、後期の350GTでもPremiumじゃないものはこれ)です。これらの空気圧指定値は200kPa(2.0kgf/cm2)なのです。
同じくロードインデックスと耐荷重を並べてみましょう。
・205/65R16 95S : 耐荷重 620
・215/55R17 93V : 耐荷重 585
あれ?おかしいでしょう。
車両質量は当然250GT<300,350GTです。なのに耐荷重は低いときたもんだ。
中期にあった最重量の350GT-8でもこれです。これに17インチのタイヤが付いていたんです。
つまり…メーカー指定空気圧は単に耐荷重だけで決まっていないのです。
その他の理由は以下の通りです
①値をそろえる:ユーザーが間違えないように同じ値にそろえる
②耐荷重以外の目的で空気圧をあげる:
V35 18インチのタイヤ空気圧はおそらくこの目的で上げたのでしょう。
タイヤ空気圧をあげると、燃費が良くなったり、タイヤのヨレが抑えられて操縦性が良くなります
特にスポーツタイプのクルマは最近意図的に高めの空気圧を指定しています。
クーペの18インチ、19インチ、Z33の17インチ18インチすべてJATMA最大の240kPaが指定圧です
Zの17インチなんてインデックス値はV35セダンのそれとほぼ変わらない&車重軽いのに。
…と、そういうことなんです。
なので、耐荷重を合わせて2.9kPaを絶対に守る必要はないのです。
上記のように350GTにも設定されていた17インチの耐荷重585に合わせても問題ないでしょう。
念のため、車両質量がそれほど変わらないCV35 19inchタイヤ、まさに225/40R19 89W タイヤの指定圧240kPaのときの耐荷重は580です。
ということで、XL規格&インデックス値93の我がフロントタイヤで同じぐらいの耐荷重を満足する空気圧は…
うん、250kPa(2.5kgf/cm2)だ。

そういうことです。リアについては245/40R19 XL規格のインデックス値は98、もっと余裕があるので空気圧を下げてもいいのですが、ここは同じく250kPaにしましょう。
(通常車両軸重は フロント>リアなので、リアについてはフロントが決まればそれほど気にする必要はありません。あくまで簡易化するための一般論ですよ。真剣に走りを考えている方はフロント/リアの空気圧を意図的に変えます)
あとは、この値250kPa~規格max290kPaまでの間で、前後を調整して自分のフィーリングのいいところを探せばいいだけ。ワタシの場合は260kPaぐらいが良いなあ、と感じたわけです。
もちろん250kPaより下にしてはいけません。
…ふう、皆さんついてきましたか?
ほとんど自己満足の文章になってしまいました。”達成感”ありまくりです、個人的には(笑)
最後まで読んでくれた方はありがとうございます。
こんな感じで空気圧やタイヤサイズを決めていけばいいわけです。
わかりました?
もちろん、ワタシのつたない知識で書きだしたものなので間違っている部分もありますので、いつものことながら”全面的に信用しないよう”です(笑)
さあ、皆さんも自分の車の標準タイヤサイズや指定空気圧、インチアップしている方はそのタイヤサイズをチェックしてみましょう。面白いですよ。…面白くない? ワタシだけかなあ、こういうの好きなのは(汗)
…久しぶりに講義調の長文を書いてしまった。
”全くわからんぞ!説明下手すぎ、ゴルァ”という方はコメントやメッセージで質問してください。 ちゃんと答えられるか保証はしませんが(笑)
おそらくもうひとつ【ちょっといい話】ホイール編を書くつもりです。
もういいって?そう言わないでください(汗)。