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2021年06月13日

エンジン内部診断(上半身編)

エンジン内部診断(上半身編)
さて、無事エンジンも車体から降りました。
さらにクラッチまで外したよ…というのが前回のブログでしたね。

改めて台車の上にエンジンを載せた状態がトビラ写真です。
もちろんここからさらに分解、オーバーホール(OH)を行っていかなければなりません。
10万キロ走行のミニのエンジン、中身が楽しみですw

ミニのエンジンユニットは非常にユニークな構造になっています。
上からシリンダーヘッド、クランク含むシリンダーブロック、トランスミッションが縦に並んでいるのです。
普通の車の場合は、ヘッドとシリンダー&クランクは上下に配置されていますが、トランスミッションはクランクの横にあるのが普通です。(これはFFもFRも。中にはトランクアクスルというミッションがリアデフのあたりにあるのもありますけどね、GTRとか。これも大くくりで言えばクランクの隣にあるということになります)

話戻ってミニ。
上記の構造なので、まずはそれぞれを分離していくことが必須です。
今回は”エンジン診断(上半身編)”と銘打って、シリンダーヘッド~ピストントップまでの状況チェック&クリーニングの紹介をします。

早速シリンダーヘッドを外します。
ロッカーアームカバー(シリンダーヘッドカバー)を外し、ロッカーアーム&シャフトユニットをとり、プッシュロッドを外します。(外した部品は元一をちゃんと記録)、ここまでは順調!

で、いきなりの壁。
このような状態なのです。

ヘッド固着!

ミニのシリンダーヘッドは全部で9本のヘッドボルト(スタッドボルト)とナットで固定されています
(昔のクーパーやハイパフォーマンス改造されたミニの場合は11本の場合もあります)

8個のヘッドナット&ヘッドボルトは問題なく取り外せたのですが、黄色矢印のボルトナット。
ナットは取れるのですが、シリンダーヘッドを持ち上げようとしても引っかかる。。
どうやらシリンダーヘッド穴とスタッドボルトが固着しているのが原因なのです。

実はこれは作業前からわかっていました。
以前、ヘッドOHをしよう、とエンジン車載状態でヘッドを外そうとしたことがありました。
その時も同様の固着でどうしてもヘッドを上に持ち上げることができません、
時間もなかったので、あきらめて元に戻したという経験です。

今回は解消しているかも…と期待したのですが、やっぱり同様のことが起きました。
…原因はある程度わかっています。
シリンダーヘッドと、ピストンシリンダーの前後左右の位置合わせは非常に重要です。
水穴、オイル穴が合わなくなったり、バルブが干渉したり…
ということで、普通のエンジンはこの位置合わせをノックピンで行っているのですが(シリンダーに短いピンがついており、これにヘッドの穴:位置精度を高くあけられている、をはめ込む構造)、
ミニの場合はなぜか、この真ん中のヘッドボルトとシリンダーヘッドの穴の隙間を詰めることで位置精度を出すという設計になっています。
残りの8穴の内径は大きいのですが、この穴だけキツキツにしているのです

このためボルトがさびるなどすると、容易に今回のような固着が起きやすいのです…
回避策としては、ヘッド装着時ボルト側にスレッドコンパウンドなどを塗布して固着を防ぐのがいいのですが、以前チューンドヘッド(ジョンクーパーヘッド)に交換した時に、この注意事項を知らずにそのまま組んじゃってたのです…

原因と理由はわかっているのですが、はてさてどう外すか…
結局、”固着したヘッドとスタッドボルトをそのまままとめて回転させてシリンダーブロックから外す”という技に出たのです。
車載ではちょっと難しい大技です 笑

上記の写真その回転の途中の姿だったのですねえ。
でもここでさらに一つ問題が起きました。
シリンダーヘッドを回転させると、シリンダーブロック天面にある原動機番号プレートを止めるリベット(青矢印の2か所)と干渉してそれ以上回らないのです。

プレートを外すと車検に通らなくなる…。
慎重にリベット頭をサンダーで削っていきました。完全にかっ飛ばすとプレートがとれちゃうし、サンダーの操作を誤るとプレートの文字を削ってしまう…なかなかスリルある作業でしたww

結果…ヘッド~リベット頭に隙間をとることができました。で、無事シリンダーヘッド&ヘッドボルトをぐるぐる回して丸ごと取り外すことができましたよ。
それにしてもこの作業ははたから見ると滑稽に見えると思うなあ、ヘッドをぐるぐるだもん 笑

で、外れた状態がこれ

固着解消
(写真上)
固着したボルトごとシリンダーヘッドを裏返し、問題のボルトをハンマー(ゴムや金属)でこんこん叩いて何とか固着ボルトを抜きだした状態です。あーよかった。
穴(青矢印)もボルト(黄色矢印)も見事に錆さび…そりゃあ固着するわなあ。
ボルトを金属ブラシできれいにして、紙やすりを外向きに巻き付け、シリンダーヘッド穴に差し込んでコシコシ中の錆をきれいにしていきました!

ブラシできれいにしたといいましたが、実際ボルトは上述のハンマー攻撃で先端部がつぶれてしまったので再使用はできません。
ここは新品購入で対応です。
とにかく無事固着がとれてよかったぁ
さらにヘッド横にあるインマニエキマニを固定するためのスタッドボルトナットも取り外し。
ここはダブルナットで作業、きれいに取れました。

改めてシリンダーヘッドをじっくり見たのが下の写真。
そこそこカーボンがついていますがひどくはないです
①湿ったオイルが付着したような状態ではない(極端なオイル下がり/オイル上りは起きてない)
②特定のシリンダーだけ白かったり黒かったりしていない(異常燃焼なく均等に爆発していたということ)

よかったよかった、この後クリーニングやOHを行っていきますよ。
あ、この段階で初めてヘッドをさかさまにしたので、中に残っていた冷却水やオイルが流れ出します。とにかくエンジンのOHは何かと残オイル、残冷却水が垂れるので大変!

逆にシリンダーブロック側の画像がこれ

シリンダーブロック
こちらもオイルがデロデロな状態ではないです。
思ったよりカーボンは少ないのですが、オイルが湿っているのがちょっと気になる…
おそらく、ヘッドを外した時に残ったオイルや冷却水が流れ込んだのでしょう。
プラスチックのへらで軽く撫でただけで結構きれいになりました。
こちらもまあまあの状態で一安心。
(あ、右下にリベット頭をぎりぎりまで削った原動機番号プレートが見えますね。リベットはちゃんと残っているので、プレートはちゃんと固定されています)

写真はないですが、シリンダーブロック横のオイルポンプを取り外しています。
その奥に見えるのがこれ。

カムシャフト側面
ちょうどコインでぐるっと回すフタのようなこれ。
実はカムシャフトの端部です。
エンジン運転時はこれが回転し、マイナスの溝にはまったオイルポンプのシャフトも一緒に回転することで油圧が発生するというわけ。
写真がないので意味わかりませんね 笑、これはエンジンを組むときに改めて紹介しましょう。
(ちなみにオイルポンプもエンジンOH時には基本新品交換する部品です)

さてそのカムシャフトの端部、重要なのはその刻印
”KCMD274M"とあります。
最初のKCはKENT CAMの略、有名な社外スポーツカムメーカーの名前です。
あとはカムの名前、MD274というタイプです。
インジェクションミニ用のちょっとスポーツに振られた社外カムが入っているのです。
→ミニを購入した時に、ショップの人から”手持ちのスポーツカムがあったので入れておくよ”と言われたのですが、最初からこれなのでパワーが上がったのかどうかわからなかったわけです。
ということで、初めて本当にスポーツカムが入っていることを確認できた瞬間でした 笑

改めてシリンダーヘッドに戻ります

バルブスプリング外し
以前、ミニのオリジナルヘッドOHやバイクのハイカム装着のために購入していたバルブスプリングコンプレッサが久しぶりに登場、これがないとどうしようもないです。
文字通り吸気、排気バルブについているスプリングを押し込んで、その隙にシャフトてっぺんのコッターを外し、スプリングアッパーシートをとればスプリングやバルブを分離することができます。
慣れれば簡単、1シリンダ当たり 吸気排気各1バルブずつなので、全部で8バルブの作業。
あ、そうそう。このヘッドはダブルスプリングになっています。(純正はシングルスプリング。目的は共振周波数の違う別々のスプリングにすることで共振によるバルブジャンピングを防ぐ…だったかな)

写真下は全部のバルブを外したところ。
各バルブのセット(バルブ、バルブスプリング、スプリングアッパー/ロアシート、コッター)ごとに別々の紙コップに入れて分別。ちょうどコップが4色あったので、シリンダーごとに色分け。INとOUTは明らかにバルブ径が違う (IN>OUT)ので識別は容易。
ヘッドの右にあるのがバルブステムシール。これがヘタるとシール機能が低下しオイルがバルブシャフトを伝ってエンジン内に垂れる=オイル下がり、が発生します。
ミニにはよくある話なのです。今回はこれを新品に交換します。これもまた組み上げるときに改めて紹介しましょう。
…とにかくオイルや冷却水まみれになるので、なかなか写真撮影できないのが難点。

さて、改めてすべて外したシリンダーヘッドをまじまじ見ます

ヘッドを改めてみる
前述しましたが、これはローバーミニインジェクションモデル(1.3i)の純正ヘッドではありません。
”ジョンクーパースペシャルヘッド”というものに交換しています。
たまたまヤフオクに出ていた新品長期在庫品を購入して自分で取り付けていました。もう10年以上前の話です。

スペシャルヘッドの中ではライトな方です。
吸排気バルブはどちらも純正と同じ直径を維持しています。
スペシャルなのは吸排気ポートを削って拡大していること、ポート中もきれいに削って混合気や排気の流れをスムースにしています。これも後できれいにしましょう

外したバルブがこれ

吸排気バルブ
上が吸気、下が排気のバルブです。ね、吸気の方が直径が大きい。
さっきシリンダーヘッドやシリンダーブロックを見たときは”4シリンダーとも均等に燃焼している”と書きましたが、バルブの傘を見るとそうでもないようです。

並びは吸排気とも左から1番(ラジエタ冷却ファンがある方)~4番(クラッチがある方)です。
排気は4つでそれほど大きな差がないものの、吸気側は2番と4番にカーボンがごってり付着しています。特に4番がひどい
つまり…オイル下がりがこれらのバルブでより多く発生し、流れ込んだオイルでこうなったのだと思われます。爪でひっかいたぐらいじゃ容易に取れないレベルです。

さーて、これらをどうしよう。

こうします
バルブ傘部クリーニング
これまたご家庭に必ず一つはある(しつこいww)ボール盤。
このチャックにバルブを固定し(シャフト傷つき防止のためにテープを巻いてから固定)、シャフトを回転。
ここに真鍮ブラシや耐水ペーパーやすり、最後はコンパウンド(ピカール)まで使って鏡面仕上げをします。

くれぐれも傘の部分の上下だけ。シャフトを削るとがたが出てしまうし、傘のフチはバルブ閉時の密閉性に影響が出るため触ってはダメ。
(傘のフチはあとでタコ棒とコンパウンドを用いたすり合わせ作業を行います。後日紹介)

で、吸気バルブを全部クリーニングした結果が写真下。
同じく左から1番~4番の順番で置いています。
ほーら、きれいになったでしょ! 後でもう少し鏡面にしてからすり合わせをする予定です。

うーん順調順調
次回はエンジン下半身編(クランク~ミッションケース)を紹介する予定です。
こうご期待!!


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Posted at 2021/06/13 23:01:44

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