
さて、先週のブログの最後に情けないレッカー移動の写真で終わらせていたミニのエンジン不調のその後ですよぉ!
あ、今回はワタシの悪い癖が大爆発!長文ブログですよぉ。
お時間ある方はじっくり読んでくださいな ww
改めて、トビラ写真は我が家に届いた時のミニの姿です。
(高速道路で移動するため、途中でレッカーからキャリアに変わったみたいですね)
それにしても毎度この姿は情けないなあ…
で! 結局どうなったのか??
答えは最後まで引っ張りますよぉ 笑
改めてミニに発生した症状は以下のような感じでした
・いきなりアイドリングが上がる(ちょっとすると落ちるときもある)
・パワー感がなくなる
・アクセルを開けてもバスバス変な排気音がする(加速感かなり悪い)
・排気ガスのにおいがかなり臭い
通常、このような現象が発生した時、可能性の高い原因が”バキュームホースからの二次空気の流入”です。
ミニのエンジンマネジメントはインレットマニホールドの負圧を測定し燃料噴射量などを決めています(Dジェトロ…って今も言うのかな、ホンダもこれを採用していましたね)。
国産車の場合はインレットマニホールドやコレクタ付近に負圧測定器を設置し、電気的にECUに情報を伝えるのですが、ミニの場合はなんと!インマニからECUまでバキュームホースを伸ばし、ECUの中に負圧測定器がついている、というかなりすごい対応をしています。
よってこの途中のチューブに亀裂などが発生して二次空気を吸うと、負圧値が変わって間違った燃料噴射がされるというものなのです。
ワタシもこれが原因だと思い、まずは負圧チューブを交換しました。
が!上記現象は解決しませんでした…あーあ
じゃあ…ということで、行った作業がこれ!
ミニのECUは”MEMS"と呼ばれています。このECUは他の車と同じように、発生した不具合の情報を蓄積しており、またその情報や現在のリアルタイムの各情報を外部に通信できる機能があります。昔の車なんだけどそこそこ頭いいです 笑
今では”OBD"”OBD2”などの規格の外部出力端子なのですが、ミニの場合はなんとたったの3端子の特殊なコネクタです。
これをUSBに変換してパソコン等に情報を取り込む方法があるのです
(結構有名なのでググればたくさんできてきます)
その作業を以前やっていたので、これを使ってMEMSの頭の中を見てみよう!という作業をしたわけです。
ノートPCの画面には”MEMS Gauge"というソフトが表示されています。
MEMS情報を読み取る無料ソフトです。ほかにも”MEMS Diag lite "というアプリもありますが、こちらはアンドロイド対応です。iphone派のワタシはアンドロイドはちょっと苦手なので、こちらを愛用しています
写真下がその画面です。エンジン回転数や水温、吸気負圧、吸気温度、アクセル開度等いろんな情報がリアルタイムに動いて表示されます。
…ということで、画面を見ていたら…おお!
オレンジの矢印の部分を見てください。
このエリアは前述の”不具合の記憶”があれば赤点灯するのですが、1個あります。
”Coolant temp sensor"とあります。つまり水温センサに異常がある…かも、という話なのです。
ただ、ミニの場合はこれを100%信じてはいけませんww
一瞬でも接続が途切れたりしてもこの記憶が残ったり、正常なのに異常記録があったりするのです…なんだそりゃ!なんですけどね笑
ということで、対策としては一度この記憶をクリアして(一番下のボタンを押すとクリアします)、しばらく見てみるというのがいいのです。
今回これを行って、再度エンジンをかけたら…、またこのシグナルが点灯していました。どうやら本当に異常発生のようです、おー!
さらに詳しく調べていきます。
この”MEMS Gauge"というソフト、無料の割に結構いろんな機能があります。
その一つがロガー機能。
リアルタイムのいろんな情報をロギングして記録に残せるというもの。
もう一つのアプリである”MEMS Diag"の場合は無料のliteバージョンではこの記録時間がとっても短く役に立たない→有料版のアプリ(それでも2000円弱ですが)を購入する必要があります。
MEMS GaugeはこのロギングがPCの記憶領域がある限りずっと記録されます。
記録形式はtxtファイル形式ですが、これをexcelに変換してデータグラフ化できます。いいね! こういうの好きですよぉ ワタシ あはは。
で、早速確認した結果がこれ
横軸が時間、縦軸が各パラメータ値です。
出力しているパラメータはたくさんあるのですが、このうち今回の問題にとって重要なものだけ抜粋して表示しています
・water temp(オレンジ線) :今回の容疑者にかかわる、水温のデータです
・idle Bypass Pos (緑線):ミニはアイドリングの調整にステッパモーターというのを使っています。このモータの先端から棒状のものが出ていて、これで直接スロットルをわずかに押して調整をする…というなかなかアナログな方法を取っています
暖気時とかクーラー作動でエンジン負荷が大きくなった時など、この棒が伸びてスロットルをいつもよりわずかに開きます。
で、このパラメータはその棒の突出量、という感じです。正確にはちょっと違いますが、まあそんなものだと思えば間違ってはいないですw
・engine speed (青線):これはエンジンの回転数ですね
さて、改めてログデータを見てみましょう。
上の表は停止したままエンジンをかけ続けたもの。
ということで基本エンジン回転数は一定です。(時々青線が持ち上がっているのは私がアクセルを意図的に吹かしたためです)
ここで重要なのは黄色の丸のところです。
あ! 水温(オレンジ線)がいきなりガクっと下がっている!
オレンジ線の単位は℃、数値は左の数字です、ということは約20℃ぐらい一気に下がっているのです。当然こんなことは起きるはずがない。
おかげでMEMSは”エンジンがまだ冷えている、暖気のために回転数を上げないと”と考えて、ステッパモータ位置(緑線)を上げているのです。
これで、エンジン回転(青線)がアイドリング位置から少し上がっています
おーーー!確かに水温センサが変な状態になって、かつエンジンに何か悪さをしている感じがわかってきたぞ。
下は走行時のものです。
水温は30℃あたりから始まり、じわじわ上がっていくのがわかると思います
それに伴い、ステッパモータ位置が下がっていくのもわかります
また、今回は走行しているのでエンジン回転数が上がったり下がったりしていますね。
問題は黄色四角(2個所)の部分でも。
ここでも水温(オレンジ線)がいきなり下がっていますよね、こんなことはあり得ない。リアル値で言えばいきなりマイナス〇度なんて値が一瞬出たりしていました、ありえねー!ですよね 笑
当然このため前述のワーニングランプ(異常記録の記憶)が残ったわけです。
しかし不思議なことに、ワーニングは出たが走行上問題なかったのです。(ステッパモータ値も連動して変な動きをしていない)
想像するに、水温が低いときはセンサ値がおかしくても暖気状態だから変な補正が入らなかったのでは?と思うのです。
ちなみに右側でステッパの緑線が激しく上下していますが、これは正常です。
エンジン回転数が上がる(アクセルを吹かす)とこれを急激に戻した時、何もしないとエンジンストールするリスクがあります。戻した時はゆっくりスロットルを下げる必要があるのです。
今の電動スロットルは自動でやっているし、昔のキャブではダッシュポッドという同様の機能をメカニカルにやるものがついていました。
ミニの場合はこの機能をこのステッパモータが担っているのです、偉いね。
なので回転数が下がるときに一拍遅れてステッパ値が下がるのですよ。
途中変な水温値が出ましたがその後の変動は普通(サーモスタットが開く90℃弱のところで安定する)なのです。
センサーがおかしいのはわかったけど、エンジン不調と連動しないぞ…あれれ??
と思ったら…しっかり出ました。
これも走行時のログです。
先ほどの記録を取って、ちょっと休憩して帰宅しようとしたところから始まります。ということで水温はすでに65℃あたりから始まっています。
その水温が急に乱高下を始めます、これに合わせてステッパモータ値も大暴れ!
ログパラメータにはないのですが、燃料噴射も増えてしまっていると思います。
おかげでプラグが被ってエンジンストップ!となってしまったと思われます。
その後、何とかエンジンは再始動しますが、その後も水温データは上下に20℃近く振れまくり! この間エンジンはボコボコ言いまくっています。
現象再現しました!!
何とか命からがら自宅の駐車場に戻ってきて、しばらくアイドリングさせたのが右側後半です。ここでは水温値が安定しており、ここでは現象再現しません。
見てわかるように瞬間的にアクセル吹かしてもステッパモータ値がスムースについてきます、この時はエンジン不調は発生しません。
なーるほど!
やはり犯人は水温センサのようです。
原因がわかれば後は対策です
(でも、ミニの場合はあまり強く原因推定をしすぎると失敗してしまう場合もあります。広く可能性を想像しながらトラブルシューティングを続けた方が精神的に安心です 笑 思いっきり経験あります あはは)
ミニのエンジンルームです。
問題の水温センサはどこにあるのか?
上写真の真ん中に写っているキノコ型エアクリーナー位置の一番下のほうに下側から刺さっています。当然この写真では見えないし、この状態から直接アクセスはほぼ不可能です(車両下から長いレンチで直接外すツワモノもいるみたいですがw)
ということでこの辺りを分解していきます
写真下はエアクリーナーと燃料噴射ユニットを外したところまでの写真
まだまだ外していかなければ目的地に到達できません!
写真上はスロットルユニットまで外した状態。
見えている青いパイプが前述のインマニからMEMSに向かう負圧チューブです
先日交換したばかりだからきれいですね~ついでに配管がスムースになるよう、そのルートや長さを今回ついでに調整しましたよ。
見えている逆Uの字型をしているのがインマニ、この下に水温センサーがあります
写真下はそのインマニを外したところ。
以前外したことがあるので、シリンダーヘッドとの固定ナットも固着しておらずスムースに作業が進みました。よかったよかった。
で、外したインマニを持ち上げて下から見上げた写真なんですねぇ、これ。
オレンジの四角で囲んだのが問題の水温センサです。
19mmのレンチで外します。
ちなみにその左に刺さっている配線は”PTCヒーター”につながっています。
これはインマニが冷えているときに、噴射した燃料の気化を促進するためヒータで温めるという機能で、その電源ラインがこれなのです。間違ってこれが外れると始動性が悪くなります、注意注意。ついでに各コネクタは接点復活スプレーを吹いておきました。
ということで、これが水温センサです。
右側が今回外したもの、左端が今回装着した新品(ネットで2000円ちょっと!これで治れば安いものです)。
じゃあ、真ん中のは何??
これは元々からついていたミニ純正品です。以前エンジン不調になったときに交換した冤罪(笑)部品です(真の犯人は点火コイルでしたぁという笑い話)
こいつは正常に動くはず…と思って残しておいたものです。
今回こいつを現役復帰させようか?とも思ったのですが、やっぱり怖かったので新品買いましたww。
構造が多少違いますが、機能は一緒です。
新品にはシールテープをねじ部に巻いて装着しましたよ!
あとは各部間違えないように元に戻せば完成です!
大体2時間弱ぐらいで完了。今日の朝8時ぐらいから10時ぐらいで終わりました。
写真下はその後の試乗の様子。
御覧の通り、身長183cmのワタシの運転姿勢はこんな感じ ww
なんか体操座りの一歩手前みたいな感じですねぇ、でも苦しくないんですよ、ホント。
で、その結果は………
じゃーん!無事治りました!
結構な距離走り回りましたが全く問題なし、現象再現なし。
MEMS Gaugeのワーニング記憶も発生していません。
おー、これは完治か??
念のためにこの状態でのログを見てみます
まず見てほしいのが水温(オレンジ線)
60度ぐらいからログを取り始めていますが、終始スムースな流れです。
緩やかに上下しているのは山道を登ったり下ったりで水温が変わったためです。
次に回転数(青)とステッパモータ値(緑)
ね?完全に回転数にモータ値がリンクしていますね、これが正常です。
回転数から外れたモータ値のあばれもありません。
おーーー、ということで完治です。
いやあ、よかったよかった。
2000円ちょっとで治りました。
こういう時はミニいじり、楽しいですねえ。
長文読んでいただきありがとうございました。
一緒に喜んでください あはは。