ども、頭のどこかで「ハイレゾ」に手を出すなら、この辺も触れとけと囁かれたnakabanです。
さて、前回までに「ハイレゾとは何ぞ?」ということでハイレゾ音源にはAD変換の方式によって大きく2種類あり、あとはデータ量で違う物という事を、サクッとまとめるとこれだけの事にあんなに文字数を費やしてしまいました。
「じゃあ、最近よく聞く「FLAC」や「Lossless(ロスレス)」とは何なの?」という声が何処かから聞こえてきたので番外編という事で語ってしまうのが今回の主旨となります。
では恒例の注意書きです。
*ここから先は、nakabanが日頃よくお世話になるグーグル先生に問い合わせして調べnakabanが理解できる範囲で勝手に納得した物であることを明記しておきます。従って、これらについてきちんと知りたい方はご自分でお調べしてください。
ではと主題に触れる前にサクッとおさらいです。
「ハイレゾ音源」とは、PCM方式やΔΣ変調(DSD)方式において得られるデジタルデータがCD規格(44.1KHz 16bit)を超えている物という事です。
種別 | サンプリング周波数 | ビット数 | 一秒あたりのデータ量(Stereo) | 実用となるダイナミックレンジ | 実用となる周波数範囲 |
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PCM(CD) | 44.1kHz | 16bit | 1411kbps | 96dB | 5Hz-20kHz |
PCM | 96kHz | 24bit | 4608kbps | 120dB以上 | 5Hz-40kHz |
PCM | 192kHz | 24bit | 9216kbps | 120dB以上 | 5Hz-80kHz |
DSD 64fs | 2.8224MHz | 1bit | 5644.8kbps | 120dB以上 | 5Hz-40kHz |
DSD 128fs | 5.6448Mz | 1bit | 11289.6kbps | 120dB以上 | 5Hz-80kHz
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さて、上記の通りCD以上という事は当然データ量もCD以上ということです。ステレオでこうなのですからステレオ(2ch)を越えるマルチチャンネルの5.1chや7.1chでは何をいわんやですね。
ここで出てくるのがデジタルお得意の圧縮技術です。圧縮して小さくすればスマフォやipod等の携帯オーディオやダウンロード販売等で容量を気にする必要がなくなるという物です。
そこで今回のネタの一つである「Lossless」が登場する訳です。
無圧縮音源(PCMとかLPCM(リニアPCM)、DSD)を圧縮したデジタル圧縮音源には大きく分けて2種類あり
・元の無圧縮音源に完全な状態で戻すことが出来る→可逆圧縮音源
圧縮する時に、データを切り捨てる事が無い(損失(ロス)が無い)為、完全な元の状態に戻すことが出来る。
・元の無圧縮音源に完全な状態で戻すことが出来ない:不可逆(非可逆)圧縮音源
圧縮する時に、人間の聴覚特性上目立たないデータを切り捨てる(損失(ロス)がある)為、完全な元の状態に戻すことが出来ない。
つまり、lossless音源とは可逆圧縮音源の事になります。では有名な非圧縮・圧縮も含めて音声フォーマットという物を整理してみましょう。
■非圧縮音声フォーマット
・WAV - 主にMicrosoft Windowsで使われている標準音声ファイルフォーマット。
基本的にリニアPCMが格納される。
・AIFF - アップルの標準音声ファイルフォーマット。
基本的にリニアPCMが格納されるが不可逆圧縮も格納できる
その時はPCMを格納した時と異なる拡張子が付く。
・DFF - DSD形式で変換されたデータを格納する。
2chステレオDSDデータ列をDFFファイルは1バイト(8ビット)ごとにL,R,L,R,…と
チャンネルを切り替えて格納する。
・DSF - DSD形式で変換されたデータを格納する。
2chステレオDSDデータ列をLとRが4096バイトずつ交互に格納される。
また、ID3tagを埋め込むことが可能で楽曲情報やジャケット写真等の
メタデータを同じファイル内に埋め込むことが出来る。
■不可逆圧縮音声フォーマット
・mp3 - 正式名称は「MPEG Audio Layer-3」で人間の聴覚心理を利用した
圧縮を行うため音質的な劣化を感じにくい圧縮フォーマットで現在では
色んな所で利用されている。
・AAC - Advanced Audio Coding フォーマット。
MPEG-2 と MPEG-4 に基づいている。
・Windows Media Audio(WMA) - マイクロソフトが権利を保有するフォーマット。
デジタル著作権管理機能が含まれている。
・ATRAC - ソニーが開発したフォーマット。
SonicStage、x-アプリ等に使われている
・mp4/m4a - MPEG-4 音声フォーマット。
中身としては AAC が多いが、MP2/MP3 も使われることがある。
■可逆性音声フォーマット(Lossless)
・FLAC - エンコード・デコード速度、機能面に高い性能を誇る。圧縮率は低い。
サンプリング周波数 8kHz~192kHz
量子化bit数 8bit~24bit
チャンネル数 1ch~8ch
・mp3HD - MP3 可逆フォーマット、mp3 再生機でも再生可能(但し mp3 音質)
・MPEG-4 ALS - MPEG-4 可逆フォーマット、
圧縮率、エンコード速度に高い性能を誇り、柔軟性が高い。
・Apple Lossless(ALAC) - アップル純正可逆フォーマット。
後にオープンソース化
サンプリング周波数 1kHz~384kHz
量子化bit数 16、20、24、32bit
チャンネル数 1ch~8ch
・ATRAC Advanced Lossless(AAL) - ソニー純正可逆フォーマット
・WMA Lossless - マイクロソフト純正可逆フォーマット
ようやく、今回の主題のもう一つ「FLAC」が出てきました。ここで出てきたという事はもうお分かりですね。
「FLAC」は「Lossless」の一種です。FLACで圧縮する時に扱える元データ(PCM、LPCM)がハイレゾ音源も扱え、またオープンソースである為にオディオ機器メーカが扱いやすいので採用される事が増えた「Lossless」圧縮方式であります。
「FLAC」はその自身のデータの中に音声データだけではなくタグデータ(メタデータ)と呼ばれる音声データ以外の音声に関する情報(曲名、アーティスト名等)やジャケット写真などがもてるので、純粋な音声情報だけのPCMを扱うWAVファイルやDSDのファイル形式であるDFFと違い、このタグデータを使いファイル管理を行うことができる利点があります。
しかし、DSDのファイルフォーマットのもう一つDSFではID3tagを利用することが出来るので同じようにタグデータで管理が可能という点ではFLACと変わらないようです。
しかし、DSFとFLACでは元データの違いが有る(FLACでは、圧縮も行われている)為、どちらがいいのかはやはり
好みの問題
ということになるだろう。
番外編と銘打った今回の話でしたが、次の話にいくらか絡んでくる話ですのでまぁご容赦を
さて、次回こそは「で、アテゴンJrにはどんなDACを積むの?」
ではでは