昨日、ひょんなことから、レクサスISの助手席に20分程度乗る機会に恵まれました。
グレードは、IS250 F SPORT、色はホワイトパールクリスタルシャイン。
オプション抜きで、450万円のプライスタグをつける一台です。
現行のISは、日本でのレクサスブランド導入と、ほぼ同時に登場したため、デビューから約7年が経過。
お世辞にも、新しいとは言えないモデルですが、あらためて外観を見ても、古臭く感じさせないところは、レクサスの面目躍如といったところか。
奇をてらったり、目を惹くデザインは、インパクトはありますが、数年経ったときにどう見えるかが微妙なところ。
このISがデビューした時には、マークXの新型かと言われるくらいプレミアムブランドとしてはおとなしいイメージでしたが、飽きないデザインの裏返しだったのかもしれません。
そして何より、特筆すべきは、肥大化していく車が多い中、全長4,585mm、全幅1,795mm、全高1,430mmというコンパクトさ。
その中に凝縮された緊張感あるボディラインは、ライバル不在と言えるでしょう。
助手席に座って、ドアを閉めた瞬間の空気の密閉感は、良い仕事をしているなと実感させてくれ、インパネやピラーの加工方法、スイッチ類の隙間の少なさ、メーター類の精緻な雰囲気は、わかりやすい高級を伝えてきました。
そのボディサイズからか、お世辞にも広いとは言えない居住空間でしたが、雰囲気は心地よいもの。
所謂広さの質の高さを感じ、自転車が載るだの、子どもが立ったまま着替えられるだの、ミリ単位の攻防で、クラストップの広さを謳うだの、無駄に広いことを美徳と勘違いしている車に対するアンチテーゼのように感じたほど。
扁平率40の18インチタイヤを履いているだけに、足回りは締め上げられていますが、それはインテリア同様、心地よい硬さ。
走行距離2万km超の個体でしたが、軋み音は皆無。
すべての動きが滑らかであり、そのあたりにも、造りのよさを感じた次第。
結果、助手席での感想は、非常にわかりやすく良い車であることを伝えてくるな、というもの。
この世界観に、心を奪われる人も少なくないなと思わせる反面、諸経費込みで500万円という選択肢ならば、どうしてもライバルは海外ブランドとならざるを得ない。
そこで、レクサスを一押しする何かは、やはり多くの人が信じてやまない『トヨタである』という安心感なのかもしれません。
あらためて、スペックを眺めると、安全装備では、ヘッドライトがLEDではなくディスチャージ式であったり、レーダークルーズコントロールがオプションであったりと、随所に古い部分はあるものの、VDIMはもちろん、ニー&サイド&カーテンエアバッグが標準と、少なくとも安全をお金で買わせる設定が多いトヨタブランドの車と比べると、はるかにまとも。
お世辞にも上品とは言えないスピンドルグリルを纏った最近のレクサスブランドモデルや、横行しているカスタム系なる劣悪なデザインと比べると、『上質』や『洗練』といったキーワードが似合うISは、今の時代、新鮮であり、かつそのいたずらに大きくないボディサイズには、『知性』すら感じます。
当初のコンセプトから特にデザイン面で大きくシフトしているレクサスですが、本当にそれでよかったのか。
ISに触れたことで、そんな疑問が沸きあがってきました。
そして、高年式のISを中古で買うと、かなり良い買い物をしたと実感できることでしょう。
このISでは、そんな需要も高くなるかもしれません。
トヨタがレクサスに与えている高級を、わかりやすく伝える、好みはあれど、これは大事なことだと思います。
Posted at 2012/08/23 20:18:55 | |
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