トヨタは、レクサスGSをフルモデルチェンジし、今月26日に発売しました。
先代GSのグレード展開が、ハイブリッドの450h、V8の460、V6の350であったのに対し、今回のモデルは、ハイブリッドは変わりませんが、ガソリンエンジンがダウンサイジングとなり、V8を廃止。
V6の350と250という構成になりました。
GSは、日本ではアリストと名乗っていたモデル。
過去、いずれも3リッターオーバーの排気量であっただけに、ISと同じ2.5リッターが受け入れられるかどうか、注目したいところ。
そして、先代GSが、先々代GSつまり日本名アリストのデザインを色濃く残した車であったのに対し、今回のGSは、日本市場においてレクサスブランド導入後、初のフルモデルチェンジを受けた車となり、同時に今後統一的に採用されるとアナウンスされているスピンドルグリルを初採用したモデル。
つまり、日本においては、アリストの残像を払拭したモデルと言ってもいいでしょう。
正直、このクラスのモデルとなると、装備は一定水準を超えているので、特筆すべきことはありません。
裏を返せば、これといった先進的な装備もないということ。
そして、残念なのは、プリクラッシュセーフティシステムが全車オプション。
後席エアバッグが全車に設定(一部標準)となる等、相変わらず事故が起きてからのパッシブセーフティ装備は充実していますが、事故を未然に防ぐアクティブセーフティの装備が相対的に弱い。
このクラスであれば、例えば全車標準で、レスオプション化するのも一つの訴求方法ではないか。
飛び道具がないのならば、安全装備を充実させるのが、「この道と語り、この星を想う」車の特徴としても悪くはないのでは。
一つ気になるのは、トヨタ自動車でレクサス本部長を務める伊勢清貴常務役員のコメント。
「踏ん張り感のあるデザインや居住性向上のため全幅を先代モデルより拡大したものの、「立体駐車場に入る」サイズにこだわった」
「今回デザインがフレアで、タイヤが外に張り出す格好にしたが、そのサイズを決めるひとつの要素は立体駐車場に入るということ」
先代GSにくらべ、全幅は1840mmとプラス20mm。
しかし、それ以上にトレッドは前がプラス40mm、後プラス50mmと広がっています。
通常、立体駐車場に入るかどうかは、全幅とトレッド幅が肝心。
全幅がおさまていても、トレッドが広くてアウトなんてケースもあるくらいですから、全幅以上にトレッド幅を広げておいて「立体駐車場に入る」とは、これいかに。
この本部長は、駐車場の現実を知っているのかどうか。
日本市場がおまけのようなレクサスブランドにおいて、日本特有の立体駐車場を意識している時点で視野が狭まっていないか。
それもレクサスの「おもてなし」の一つ、と言われれば、返す言葉もありませんが、仮にそうだとしても、立体駐車場を意識したなんて話を公表する必要はないのではないか。
高級車に立体駐車場は似合いません。
そうは言うものの、今までのレクサスモデルが、アクが弱かったのに対し、今回は明確なデザインコンセプトを見せ、プラットフォームも一新する等、結構気合いの入ったモデルであるため、ハードとしては文句なしの一級品。
あとは、レクサスというブランドに、価値を見出せるかどうか、そこにかかっています。
少なくとも、レクサスの中では鉄くずとも言えるHSを買うよりは、はるかに「高級」です。
Posted at 2012/01/28 22:44:54 | |
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