トヨタは、ヴォクシー&ノアをフルモデルチェンジし、本日(ハイブリッドモデルは2月24)発売しました。
ヴォクシー&ノアと言えば、5ナンバーベースのトールサイズミニバンとして、トヨタのドル箱的存在。
そんなヴォクシー&ノアが、どんな進化を遂げるのかと期待していましたが、残念ながら、既出の価値観の延長線から、一歩も外れていないものに仕上がってしまいました。
販売系統が多いトヨタにとって、兄弟車戦略をとらざるを得ないのは致し方ありませんが、今回は、それに加えて、それぞれのモデルで、2デザインもうけるという用意周到ぶり。
ヴォクシーは『毒気』あるカッコ良さを、ノアはミニバンの王道を行く『堂々感』を表現している、としていますが、結局それは、ヴェルファイア&アルファード路線。
家族が乗るミニバンに、毒気や堂々感が必要だと本気で考えているのならば、笑止千万。
ましてや、それぞれでおとなしめのデザインと所謂カスタム系と言われるデザインを用意すると言うのは、選択肢を広げると言えば聞こえは良いが、裏を返せばデザインに自信のない証拠であり、いつの時代の売り方なのか。
そして何より、腹立たしいのは、そのコンセプト。
『家族の夢を丸ごと載せる広々とした室内空間を実現し、Fun(快適性)、Utility(使用性)、Nenpi(燃費)を高次元で融合する「Spacious FUN Box」をキーワードに開発した』としていますが、何故そこに安全性や走行性能といったキーワードが含まれないのか。
流石に、
セレナのなんちゃってハイブリッドとは違い、本格的なハイブリッドを用意してきたのは、ハイブリッド先駆者であるトヨタの面目躍如といったところか。
結果、得られたカタログ燃費は、JC08モードで23.8km/Lというもの。
ただ、その分価格も約40万円と大幅にアップ。
走行距離がそんなに多くなく、ハイブリッドに対しブランドや憧れを感じていないのならば、ガソリンモデルを選択するのが賢い選択。
そのガソリンモデルの燃費は、16.0km/L。
こちらは、何とセレナのなんちゃってハイブリッドモデルと見事に同じ数値。
日産の立つ瀬はなく、トヨタの標的にされると怖いことを感じた次第。
安全装備に関して言えば、全席のヘッドレストはもちろん装備。
これは
セレナが異常であって、ヴォクシー&ノアは、先代モデルのマイナーチェンジで装備してきていました。
ただ、運転席ニーエアバッグを標準装備としてきたものの、サイド&カーテンエアバッグは全車オプションという体たらくぶり。
トヨタは、
サイド&カーテンエアバッグを標準化すると言いながらも、簡単に反古にしたメーカーなだけに、ある意味徹底していると言えるでしょう。
そもそも、サイレントマジョリティが選択する可能性が高いこういったファミリータイプのミニバンにおいて、エクストラコストを払って、積極的にエアバッグを選択する層がどれだけいるのか。
設定しただけで満足するのではなく、家族が乗るミニバンだからこそ、何も考えなくても装備されているべきではないのか。
今や、設定されているのが当たり前となってきている、衝突被害軽減ブレーキを始めとした先進安全装備も、当然設定なし。
確かにこんな内容では、安全性を高い次元に保ったとは言えないことでしょう。
走行性能にしても然り。
未だに、上級グレードと下級グレードで、ブレーキをディスク式とドラム式に造り分けるなんて、これまたいつの時代の話なのか。
もちろん、最新の技術が投入されているでしょうから、ディスクでもドラムでも、一定レベルの制動性能はクリアしていると思います。
しかし、そんなところでコスト削減をするくらいならば、そのパワーを安全性等も含めた全体的な魅力アップに、なぜ力を注げないのか。
ハイブリッドや、カタログ上の低燃費、『存在感のある』デザイン、室内の広さや利便性の高さと言った、カタログを華やかに彩るキーワードが豊富にあり、一見時代の最先端を行っているかのように思わせるものの、実は中身は、全てが前時代的。
今から数年先の未来を、このクルマとともに駆け抜けようとは到底思えない仕上がり。
トヨタの社長が言う、『もっといいクルマ』とは、これなのか。
もちろんハードとしては及第点であり、ミニバンの中ではベターな選択肢かもしれませんが、お世辞にもベストとは言えないもの。
実車を運転できる機会がなくても、事前受注が3万台入っているとのことですから、トヨタとしては、笑いが止まらないことでしょう。
トヨタのクルマ造りが、ここにある。
Posted at 2014/01/20 21:44:39 | |
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