こちらの記事(
国産車における4WDターボというカテゴリの絶滅傾向について)のさらに続編です。
4WDターボの絶滅ってだけでなく、その4WDのシステムにしても、90年代よりもバリバリに退化してるんよね。

古典的クロカンのFRベース・パートタイム(前輪の駆動はホイールハブをロックする、あるいはトランスファーで切り替える)というオールドスタイルから、80年代以降の乗用車型4WDはセンターデフ式フルタイムのいわゆるファーガソン型が基本となった。そして90年代にはほぼ全メーカーが、横置きエンジンのFFベースでこのタイプの4WDを作っていた。
トヨタのAE9*/11*系、ST16*/18*/20*系は全部そうだし(だからスプリンターカリブやカリーナEDでさえ4WD車はセンターデフ式)、日産でもU12/13/14系ブル、P/W10/11系プリメーラ/アベニールあたりの4WDは全てセンターデフ式のATTESAだ。あるいは三菱のギャラン/レグナム/ランサー/GTO/ディアマンテあたりも。
今日主流のFFベース+カップリング式のいわゆるスタンバイ(オンデマンド)4WDは、軽自動車やせいぜいスターレットのようなコンパクトカーに見られる程度だったのである。
それがやな、2000年前後から、どいつもこいつもスタンバイ式になっていく。
まずアカンのが、センターデフ式4WDを創業以来一度も作ったことのないホンダ(CR-V)やろ、そしてSUVタイプとしちゃ一斉を風靡したエクストレイルも実は初代T30系から全てスタンバイ式だ。
今や国産車でセンターデフを持つFFベース、かつ中古車として現実的な範囲で古くない車って、スバルのVTD-AWD搭載車(ターボモデルまたは3Lクラス)しかないと言っていい。それも搭載車種がどんどん減って、現行型じゃレヴォーグGTとWRX S4だけ。あとはランエボ系とカルディナGT-Fourがあるぐらいか。
FRベースでも、センターデフ式ではないがスカイライン/ステージア等のATTESA E-TSはスポーツ4WDとして理想に近いシステムだったし、トヨタでもマークⅡ/クラウン系やアルテッツァジータ等に積まれていた
i-Fourは、しっかり遊星式センターデフで駆動力を3:7に分配し、しかもパッシブなビスカスではなく電磁制御油圧クラッチを用いて差動制限するシステムだった。
SUVもFRベースだった昔は、日産テラノ(R50系)がATTESA E-TSを、またいすゞのV-Crossやビッグホーンが類似の電子制御式トルクスプリットを搭載していた。が、消えた。
そもそも今やSUV=FFベースのなんちゃってクロカンもどきということになってしまったので、縦置きエンジンでセンターデフを持つSUV自体、ランクルやパジェロ、T04系エスクード、そしてテリオス(キッド)ぐらいしかほぼ入手不能。
(中島みゆき風に)「♪みんなどこへ行った? 見送られることもなく〜」
ちなみに輸入車だと、アウディは例のセンターデフ+トルセンLSDのクワトロシステムを頑なに守っているし(但しS3以下のクラスはハルデックスというスタンバイ4WD)、ベンツやBMWのFRベース4WDも高度な電子制御式トルクスプリットで性能的には問答無用。
この国のクルマ作りは、やれミニバンだやれハイブリッドだとやっているうちに、肝心の走行性能などどうでも良くなってしまったわけなのよね…。あくまで機能・性能で選ぶと今や輸入車になりがちという事実がヒジョーに無惨としか言いようがない、元・自動車工業大国の現在である。
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Posted at
2017/08/19 19:07:57