FRベース変態4WDの構造いろいろ

FRベースの変態4WDは、エンジンの真下に前軸が来る関係上、オイルパンの横にフロントデフを置き、片側のドライブシャフトはオイルパンの中を貫通する形に必ずなります。
そのあたりの画像を集めてみました。

BMW X-Driveの場合


オイルパンの左側にフロントデフを合体させる構造がよくわかる。

エンジン抜きのドライブトレーン透視図はこちら。


トランスファーはミッションの後端にあり、ギアで分岐してフロントに向かうプロペラシャフトを回す。このあたりの配置は、古典的なパートタイム式クロカン車と変わらない。


X-Driveの場合、トランスファー内にセンターデフは無く、ATTESA E-TSと同じく純多板クラッチ式カップリング。


こちらは日産RB26DETTのオイルパン。
なんと、オイルパンそのものにフロントデフケースが一体成型されております（笑）
だから旧GT-RをFR化する時は、このデフケースを切断して穴を塞ぐという妙な手間が必須、と。（まあケースの重さを気にしない人はそのままでもいいと思うけど）


ちなみにオイルパンの中を通っているドラシャの前後位置を上のBMWと比較すると、BMWはかなりのフロントミッドシップ（＝前軸が前寄り）なのに対し、日産は割とFR然とした配置であることがわかりますな。


こちらはトヨタi-Fourのミッション。やはりトランスファーで分岐して前に動力伝達する構造がよく見えます。


ちなみにトヨタi-Fourのみ、日産やBMWと違って、トランスファーに遊星ギア式センターデフと多板クラッチの両方が組み込まれています。分岐はBMWのギア式ではなくサイレントチェーン式。これは日産も同じ。


参考までに、ご存知スバルのAWD。ミッション内部にフロントデフも一体で組めるのは利点ですが、一方で、前軸のさらに前のオーバーハングにエンジンがぶら下がる構造にならざるをえない。エンジン縦置きのアウディ・クワトロもそこんとこは同じ。