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（最近インスタグラムを始めたのだが、誰かが平賀敬美術館の写真をアップしていたのに触発されて書くことにした）

箱根湯本に平賀敬美術館はあった
建物は今もあるのだろうけど、2018年に廃業してしまったので、今はもうお風呂にも入れない

私が訪れたのは2017年の9月
湯巡りを始めて83湯目に訪れたのがここだった

箱根湯本はコロナ前ということもあり、大勢の観光客で賑わっていた
信号で右折待ちをしていた私
観光客の一人、外国人の青年が私の方にカメラを向けていた。ＮＤちゃん格好いいよね
信号が青になった途端幌を1秒ではぐってオープンにする。クラクションを短く鳴らして箱根湯本の温泉街へ

一本入ると先ほどの喧騒が嘘のように静まり返っている

Google mapであらかじめ調べていたので、平賀敬美術館へはスムーズに辿り着くことができた
お手伝いさんの案内で車を停める



二千円だったか、お金を支払うと建物の中に案内される
風呂の用意をするので、しばらく廊下で待たされる


廊下には色んな写真や作品が飾られている


(エッチだ)

さて、お風呂の用意ができました
風呂は全部で二つ
１号風呂は女中風呂
２号風呂は殿様風呂
１号と２号は扉一つで繋がっており、まあそういうことにも使われていたのだろう

２号風呂へ案内される


貴重な箱根湯本の一号源泉掛け流し
井上馨、犬養毅、近衛文麿といった元老達が逗留した建物

元勲達の愛した湯に駆け出しの温泉おじさんも浸かる


細かい造作に一々感激


陶器の枕を発見
これを使ってトドる
実は何箇所か蚊に食われたのだが、それすらも気にならない

確か４０分か１時間かで上がらないといけない

上がるとアトリエとして使っていた部屋に通される
そこで奥さんのお話を拝聴し、NHKで特集された平賀敬のドキュメンタリー映像を見るのだ


温泉まんじゅうと水差し

奥さんはたいへんお洒落な方
平賀敬とのフランスでの生活について色々お話ししてくださる
きっとたいへんな愛しようだったんだろうな

成分分析表も何も残っていないが、死ぬまでにもう一度このお湯に浸かりたい
そう思いました



平賀敬美術館
神奈川県足柄下郡箱根町湯本613

泉質等不明

箱根に行くたびに、今回こそは行こうと思いながら果たせなかったのがここ

日帰り専門で、休憩室の賃料含めて2,500円
昔はこの値段に躊躇した
しかし、あれから2年
神戸の高級スパ銭で鍛えられた今の私にとって2,500円は「オホホこれでよろしいざますか」と笑って払えるようになった(給料は横ばい)

受付でお金を払うと、籠に浴衣、タオルを入れたものを渡される
そして休憩室まで案内
館内は写真撮影禁止なので言葉で伝えるしかないのだが、大正時代に建てられた建物をリノベーションというのか、綺麗に直している
部屋の向かいは中庭になっていて、真ん中に喫煙所があった

すぐ上をロープウェイが走っている

さて、通された部屋は6畳間
早速浴衣に着替えて浴室へ

(HPより)
おお、写真で見た通りの浴室で思わず笑ってしまう
奥の突き出ている岩が大迫力
注連縄が神々しい
湯気がもうもうと立っており、更に神々しさを引き立たせている
浴槽は3つに分かれている。奥は入浴不可の湯壺で、夏場は水位が上がって手前の湯船にオーバーフローするのだとか
手前二つが入れる浴槽で、岩に向かって左が湯口のある実測43.2℃のあつ湯、右が42.5℃のぬる湯二つを仕切る板の隙間で湯温をコントロールしている

(ネットより)
この写真で見るとよくわかるが、手前の浴槽には奥からパイプが渡されてそこから源泉をかけ流している
このパイプには硫酸塩泉特有の析出が付着している
浴室もほのかに甘い石膏臭が漂う
泉質表は単純温泉になっているが、湯量の多い9月の分析なので、冬場に分析すると硫酸塩泉になっているのかもしれない

(たしかに陰イオンの主成分は硫酸イオン)

台風19号の時は凄まじかったらしく、この岩の上から滝のようにオーバーフローして、浴室丸ごと水没してたとか。泉温は28℃だったというから、やはり降った雨がそのまま出てくるとてもフレッシュな温泉なのがわかる

10分浸かって、3分休むを3セット
休んでいる間に温泉のさまし湯らしい水を飲む
酸っぱいのは酸性の証か

部屋に戻る
窓を開け、浴衣をはだけて大の字に寝る
これは気持ちいい
30分ほど休むと寒くなってきたのでまた風呂へ

次は私の他に3人がいた
皆静かに湯に浸かっている
目に効く温泉らしく、私も身を乗り出して左目を奥の湯壺で一生懸命洗った
たしかに今朝起きて目ヤニが出ていない

汗だくになったので、外を散策



台風のせいか、あちこち職人さんが修繕している

3回目の入湯
また独占
浴室にはかけ流される湯の音しかしない
これは箱根で一等の温泉だ

帰りに受付の人と少し話す
2,500円はバーゲンプライスだと伝えると、ニッコリ笑って「そう言っていただけて嬉しいです」
そう、値打ちの分かる人だけ来ればいい

姥子温泉秀明館
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根160
0460-84-0026
※施設名、住所、電話番号ではナビに出ないので、姥子温泉で検索
4時間2,500円
入浴のみは15時から1,500円。ただし本文中に書いた通り4時間コースが断然おすすめ

単純温泉
(低張性・弱酸性・高温泉)
成分総量0.676g/1kg
pH3.3
泉温48.4℃

道はK735に入ると狭く曲がりくねっているので注意
冬場はスタッドレス必要。私が行った時は最高気温10℃だったが、日陰のところは雪が残り怪しい
駐車場は20台ほど

本日は箱根へ
箱根のプロ、けんきちさんにご教示頂き、事前に計画を練る
まだ見ぬ温泉を想像しながらウットリ
計画してるときの方が楽しかったりして

いよいよ当日
本日はおもいのままさんとけんきちさんの3人で回る
普段一人だから心強いね
一湯目は箱根湯本の共同湯、弥坂湯

開店待ちしてると、地元の先輩が入っていく
我々も遅れじとついて行く

丸い湯船にくせのないアル単の湯が滔々とかけ流されている

脇に写ってるのはゆず。そうか、今日は冬至だ！

脱衣所の隅に鏡とティッシュ、あ！綿棒がある
アメニティグッズも中々充実
しかし650円は少し高い。地元の人は150円、60歳以上は100円とか。羨ましい
箱根湯本温泉弥坂湯
神奈川県足柄下郡箱根町湯本577
0460-85-5233
9:00〜21:00
650円
単純温泉
(低張性・アルカリ性・高温泉)
成分量0.37g/1kg
pH8.7
泉温45.8℃

さて、二湯目
大平台温泉の姫之湯


ここも丸い浴槽

結構な量がかけ流されている
若干熱めの湯
この辺りから既に、温泉に入るよりも洗い場にへたり込んで湯面を見つめる時間が長くなってきた
塩化物泉だから温まり方がすごい
上がってもなかなか汗が引かなかった
大平台温泉姫之湯
神奈川県足柄下郡箱根町大平台583
0460-82-2057
9:00〜21:00
550円
ナトリウム-塩化物泉
(低張性・アルカリ性・高温泉)
成分量1.03g/1kg
pH8.5
泉温55.3℃

さて、三湯目
宮ノ下温泉の太閤湯

あら、結構ポップね

ここはかなりの量をかけ流し
熱くて脛がジンジン
そして白眉はここのババア
敢えてババアと呼ばせていただく
人間力の高いa-m-pさんもたじたじ
気になる人は行ってみて

充実のアメニティグッズ
宮ノ下温泉太閤湯
神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下223
0460-82-4756
10:00〜21:00(12:00〜13:30は昼休憩で一時閉店)
500円
ナトリウム-塩化物泉
(低張性・弱アルカリ性・高温泉)
成分量1.32g/1kg
pH7.8
泉温63.9℃

3湯でかなり疲れた
箱根は狭い地域に温泉が集積し過ぎてるので、
リカバリせずに次の温泉に入らざるを得ない
なのでここで昼ごはんにしよう
おもいのままさんのおすすめ、釜飯のかま屋
おもいのままさんが鳥、私は貝、けんきちさんは穴子を注文
「はいはい、蟹鳥貝ね」「いや鳥貝穴子です」
かなり不安になる




釜飯は40分ほどで炊き上がるので、まずはじめに注文し、その後奥にある温泉で時間を潰す

おお白濁り
しかし硫化水素の臭いも硫黄のお焦げの匂いもしない。どういうわけだ？
大涌谷の造成泉だとか
それでも久しぶりの火山由来の温泉に興奮
釜飯も大変美味しうございました
釜飯かま家
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原817
0460-84-5638
9:00〜21:00
850円(釜飯は別途1,580円)
酸性-カルシウム-硫酸塩・塩化物泉
(低張性・酸性・高温泉)
成分量1.15g/1kg
pH2.0
泉温64.1℃

本日最後の湯は芦ノ湯温泉山形屋旅館
無人の受付

冷え切った館内を進む
一度外に出て、濡れた通路を進むと

おお！綺麗なブルーの温泉！

よく見ると底に敷いてる砂利の色でした
成分表を見るとここも造成泉
しかし明瞭なお焦げ臭に恋をしてしまった…
本日一等のお湯でした
芦之湯温泉山形屋旅館
神奈川県足柄下郡箱根町芦ノ湯91
0460-83-6410
9:00〜21:00
500円
硫黄泉
(低張性・弱酸性・高温泉)
成分量0.44g/1kg
pH3.7
泉温77℃

本日は五湯でおしまい
おもいのままさん、けんきちさんありがとうございました
次は泊まりで行きましょう
温泉オフ！

12/1は横浜で忘年会
横浜に宿を取った後、次の日の計画を立てる
湯河原温泉ままねの湯→熱海温泉共同湯巡り
これいいんじゃない？熱海なんて10年以上ぶりだし

というわけで出発
10時過ぎにままねの湯に到着


あつ湯で名高い湯河原の霊泉
脱衣所で先に上がってきた同好の士の体も赤くなってる！これは手強い！
今年入った各地のあつ湯が脳裏をよぎる
下諏訪の旦過の湯よ(入れてないけど)安代の開花の湯よ(地元のセンパイが水で埋めてくれたけど)
草津の白旗の湯よ(ここはなんとか入れた)
我にご加護を
ざぶん！(実際は恐る恐る足先から静かに入りました)ふんっ…あら
たしかに熱いけど、45度あるかないか
これは拍子抜け
先に入ってたセンパイに理由を伺う。
80度以上ある源泉をかけ流しているのだが、そのままだと熱くて入れない。だから流量を絞って温度調節をする。地元の人はこのバルブを全開にするのでとんでもなく熱かったとのこと
最近マナーの悪さから地元の人の入湯を制限しているので、温度も下がった。
共同湯の場合、逆はよく聞く。組合以外の入湯者がかけ湯せず入る、体を拭かず脱衣場に出てビショビショにする、それ故ジモ専と呼ばれる部外者お断りの共同湯が各地にある。草津然り、上諏訪然り
ままねの湯は真逆に舵を切った
面白いなと思うし、個人的には部外者に寛容な方が有難い
あかん、珍しくいっぱい書いた
次は熱海
熱海は10年と少し前、人生で一番大切な人と行ってからご無沙汰
ロドを停め、徒歩で熱海を散策

洋食屋
ここ一階じゃなかったっけ？？


で、熱海の一湯目は福島屋旅館


熱海のお湯は貝汁のような少し濁った湯
腐っても鯛とは熱海のためにある言葉か
長湯するとダメね、これはズシリとくる湯だわ
ここで大阪の枚方から来られたセンパイと意気投合
70歳だから私の父の世代か
親孝行の代わりに同行
駅前温泉へ


二人で話しながら熱海駅へ

うおー！本日一番のあつ湯がおった！
私はかろうじて耐えたものの、センパイは足入れた途端タコ踊り
二人で独占してたので、とりあえず水で埋めてしまいました
センパイと再会を約束し、一人でつぎの温泉へ



いいですねえ、このたたずまい
清水共同湯

浴槽が小さいので、今回入った熱海の共同湯の中で一番フレッシュ
はす向かいの雑貨屋さんで湯券を買うのだが、とても気さくなお母さんでした

そして最後
日本三古泉の走り湯

横穴から勢いよく湯が出ていたそうで、伊豆の語源はここだそう(出る湯→いずるゆ→いず)
走り湯源泉の共同湯が浜の湯

番台があった
オババの接客業に従事してるとは思えない態度の悪さも世俗に汚されていないと好意的に捉えることができた私の度量の広さよ！(長いよ！)

左側ゆる湯、右があつ湯、といってもそれほど熱くはなかった

特筆すべきはその塩分濃度
舐めた瞬間うへってなる
これは冬だからいいけど、夏場だと汗引かないだろうなあ…


20分ほどで上がって石段を下る
眼前には夕日に染まる太平洋

日本に生まれて良かったって心の底から思いました