
全3回に渡るホームオーディオの世界、最後は変わり種スピーカーの製作です。
LASTのオチに向けて頑張りますw
ルームチューニングにより自然な残響が手に入り、広い音場で心地よい音が聴けるようになりました。
リスニング環境の問題なので、こればっかりはいくら機材を良くしても手に入れることが出来ない音だということがわかり、もっと増やしたいという底なしの欲望にまみれてましたw
そんな気を紛らわすため、前々からやってみたかった変わり種スピーカーを2つ製作したので紹介します。
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【バックロードホーンスピーカー】
こんなスピーカーです。
使うユニットは、10cmフルレンジユニットで、PARC AUDIO製のウッドコーンスピーカーDCU-F122Wというヤツにしました。
通常タイプのF121Wの磁気回路をバックロードホーン用に強化したタイプで、赤いリングがついている通称「赤パーク」と呼ばれているものです。
(既に絶版で後継機種もなく、結構貴重だったりします)
このシリーズは、超薄くスライスした木をそのまま振動板に使っているのと、大きめのフェージングプラグが特徴です。
エンクロージャーは、コイズミ無線で安売りしていたハセヒロ音響のバックロードホーン用キットにしました。
ホーンが曲線を描くよう合理的な造りになっています。
仮組みも簡単に出来ます。
板の厚みは充分で、加工精度もかなり高いです。
と、ここまでは良かったのですが、バッフルが両面テープで貼り付けなところが戴けないです。。。
キットのままのバッフルではやはりビビッてしまって音がショボイので、バッフルの固定をネジ止めにすべく、鬼目ナット用の穴をあけます。
更にバッフルそのものも強化するため、同じMDFの板でサブバッフルを製作し、エンクロージャーに嵌まり込むようにして空気漏れ対策もします。
効果は上々♪
バッフルにサブバッフルを取り付けたところ。
エンクロージャーとの接触部分はブチルゴムのパッキンで空気漏れ対策します。
(写真は対策途中のもの)
板を積層して組み立てるという発想は素晴らしいですが、バラす必要の無いパーツは接着してしまいます。
加工精度が高いので、殆ど手を入れる必要がないです。
スバラスイ~♪
パーツを塗装します。
両側面はブラック(ペンキ)で、中はマホガニー(ニス)。
今回は、塗料にお金はかけません。
ホーンロード内部まで軽く塗装したため、湿気の変化による影響は受けにくくなりますが、塗装によって表面の硬さが変わったので、通過する音の反射も変わったはず。
(吉と出るか凶と出るか・・・)
MDFは削れ易いので足をつけますが、インシュレーターは値が張るので、タカチ製のプラ足を使います。
中空内部にセメントを詰め、上をカッパーで塗装したワッシャーで塞ぐとア~ラ不思議、硬くて重いインシュレーターの出来上がりです。
組み立ては30分。
AADとツーショットです。
バッフル周りはパッキンで固めたので、ビビリは無いです。
お気に入りの真空管アンプで鳴らします。
仮組みのときよりはマシですが、未調整の状態では音の癖がひどく、同じ10cmフルレンジのBOSEのような周波数バランスには程遠い音でした。。。
(まあ、BOSEはパッシブEQが入ってるのでバランスが良いのは当然ですが・・・)
ユニットとしては、とても木の振動板から音が出ているとは思えないくらいしっかりした高域で、これは流石といった感じです。
このエンクロジャーは、バックロードホーンとしては小型のほうで、それほどホーンロードが長くない上にエクスポネンシャルなので、ホーンの中を結構ストレートに音が通過するらしく、吸音材を入れないと、減衰しきれていない位相のズレた中高域も開口部から出てきてしまいます。
測定の結果、低域のほうは100Hz近辺にピークが発生しており、そこから下はダラ下がりな感じでした。
空気室とホーン開口付近に吸音材を設置し、何度か量や位置の調整を繰り返した結果、多少の癖は残るものの比較的クリアな中高域と、ピークが抑えられた聴き取りやすい低域を得ることが出来ました。
一応のチューニングを終えた状態の音色ですが、「とにかく柔らかい音、それでいて立ち上がりは早い」という印象で、今では殆ど市販されていない古い方式のスピーカーということもあるのか、古き良き時代のJAZZなんかがよく似合います。
また、ユニットが高能率なので、非力な真空管アンプとの相性もとても良く、フルレンジ固有の点音源的な音場も、現在主流のマルチウェイには無い良さだったりします。
薄暗い間接照明な部屋で気分に浸るには、うってつけなスピーカーではないかと思います。
ただ、ダイナミックレンジの大きいクラッシックや、パワーが必要なロックなどには向かないと思います。
にしても10cmそこそこのユニット1つでよく頑張ってます。
長岡鉄男氏の気持ちが1/100くらいは味わえたかもしれません。
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【平面バッフル型スピーカー】
名前だけ見ると立派な印象がありますが、なんのことはない、ただ板にスピーカーユニットを付けただけの代物で、スピーカーの原理そのままに、裏側に出る逆位相の音を板で塞いでるだけです。
当然、手前に回り込んでくる音もありますが、ある程度の大きさにすれば緩和されることと、箱に入れるのと違い、空気バネによってユニットの動きが制限されないメリットもあるとのことです。
でもって材料はコチラのフローリング材(端材)ですw
「いくらなんでもそれは無いだろ」という気もしますが、これで(これが)良いのです。
テキトーに選んだフローリングの端材を80cmの長さに切り揃えます。
これをベニヤ板に付けていきます。
失敗したのは、最初にベニヤ板にユニット取り付け用の穴をあけてしまったことです。。。
互い違いに取り付けるのには意味があります♪
取り付け完了♪
裏からビス止めし、頑丈に固定します。
さて穴をあけていきますが、円の中心を割り出すために、暫く中学校の数学を思い出してました。
自由錐を使って穴をあけていきます。
ドンピシャで穴があきました♪
恐るべし中学校数学!
取り付けるスピーカーユニットは、1つ¥800で16cmの安物フルレンジです。
これ以上大きいと高域が出ないし、小さいとタダでさえ出ない低域が消えてしまうということで、苦渋の選択です。
もっとイイやつにしたいのですが、許された予算は¥3000なのです。。。
ターミナルも取り付けます。
ハイ完成♪
あまりにシンプルすぎて、チューニングのしようがありません。。。
フローリング材を互い違いにしたのは、ユニットからバッフルの端までの距離(手前に回り込む音の周波数)がバラバラになるようにしたかったからです。
ユニットの取り付け位置を中心からずらす方法もありますが、最初にベニアに穴をあけてしまったので、それが出来ませんでした。。。
バスレフではないので、ユニットの能力を超える低域は出ないですが、板に隙間なくガッチリ固定できたことで、かなり音に芯はあります。
この方式は空気バネの影響を受けないので、ユニットの特徴がそのまま出るようですが、構造が単純なので、音に味付けをしようとすると裏側の部屋の環境を変えるしかないです。
写真は、
①後ろの空間をなるべく多くとる。
②壁との平行面を無くす。
③背後の音を吸音させる。
といったことに注意して配置した例です。
安物のユニットで、スペックもわからないですが、フルレンジ固有の中域の出っ張りを少し抑えれば、バランスは良くなりそうです。
今回このスピーカーを作った一番の理由は、スピーカーそのものには拘らず、後ろに放出した音を部屋がどれだけ吸収できるかを知りたかったからです。
(なのでお金をかけませんでしたw)
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【まとめ】
一連のVol.Ⅰ~Ⅲを通じてあらためてわかったことは、
「音って耳だけじゃなくて体で感じる部分が多いんだな」
ということでした。
ハイレゾ音源の倍音成分や部屋に溜まった定在波など、心地良さや不快感などの最も感情を左右する部分がまさにそれで、とくに不快感などは耳を塞いでもあまり変わりません。
人が歳を取っても音楽を気持ちよく聴くことができるのは、この「体で感じられること」があるからではないかと思います。
だから底なしなんですね。
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全3回に渡り、クルマとは関係のないネタにお付き合い頂きありがとうございました。
このあと数か月後に、私は人生初のマイカー「AXELA(お嬢)」を手にします。
そして現在、タイトル画像のAVルームは、お嬢のパーツ置き場になっていますw
小学生の頃から40年以上続けているホームオーディオへの熱い情熱を、この女はアッという間にかっさらって行ったわけです。
だから早く帰ってこ~い(泣
おしまいw