2020年10月10日
昔、電車で助けてもらってから、ずっと恩を返さなくてはいけないと思いつづけてきた。
その恩を返すまでは、絶対に人に借りはつくらない!と決めて頑張ってきた。
その日私は、何年かぶりに電車に乗って、自分がちっとも強くなっていないんだと思い知らされる。
そのまま、通りががりで何度も気になってみていたボクシングジムに駆け込む。
ここに通いたいんです!と伝えると、、、
誰が?と、キョトンとされる。
なんのために?と聞かれて、強くなりたいんです!とこたえる私に、
強くなってどうするの?と、、、
本当は、言えない事をいろいろ考えていたけど、黙ってしまう。
ここはね、アタナみたいなお嬢さんが来るところじゃないのよ、と優しく子供に言い聞かせるように話しながら、どうしても通いたいなら、別のビルに女性専用のジムがあるから、そっちにね、、と言われ、、
女性専用という言葉に、この熱い気持ちが全くあわなくて、惨めな気持ちになりながら「でも、私はどうしても強くなりたいんです!」と小さな声でいうと、
大丈夫、そこもちゃんとプロが教えるし、あなたの希望はちゃん伝えておくから、と。
今考えると本当に何もわかってなくて恥ずかしいんだげど、そこは王者をたくさん出している、本当に本格的なボクシングジムだったのです。
そこに、結婚式の二次会に行くようなさらさらのワンピースを着たまま衝動的に行ってしまった私、、せめて持ってなかったけどジャージとかで行けば良かった!!(-_-;)
女性専用ジムとやらにそのまま行くと、
はい、いらっしゃい強くなりたいのね!とむかえてくれた。
そこから、毎日、同じトレーナーとのマンツーマンレッスンが始まった。
3回目のときに、どうして強くなりたいの?と、聞かれたから、
敵が現れたときに、自分で倒せるようになりたいんです!
と、話したら、
「ふーん、俺がボディーガードになってやろうか?
、、、ふっ、ボクサー上がりなんてだめか」と自己完結したようにクールに微笑むトレーナー
か、かっこよすぎる、この台詞「ボクサー上がり」この言葉にそっくりな言葉を私は知っている!
そう!それは峠上がり!!!
と、考えながら、私って何上がりなの?
ただの毎日仕事上がりじゃん!と自分が恥ずかしくなる。
そして、貴方が女性や子供や弱いものを守ろうと思える人で、
それが現実として可能な力を持っているなら、
日本のために、そして、たくさんの子供達や、私よりまだ若い青少年たちのために、私のほうが貴方を守らなくてはいけないんです、と思いました。
どう考えても私は、そのほうが幸せなんです。
多分、続かないだろうなと思われていたと思うのですが、私は毎日本気で通ったのです。
ていうか、女性専用とかいちお書いてあったけど、一度も誰とも会ったことがなく、いつも二人でした。
トレーニングは、今までやったどんなスポーツよりきつかった。
最後は体が動かせないくらいで、まさに燃え尽きる感じ。
体が動かなくなるくらい頑張ることは、私が私に対する本気の証明で、なんか、そこまでしないとバランスが保てないくらい心が熱かったんです。
そして、何も考えられなくなるほどの疲労が快感でした。
毎日、ジョーや力石を思いながら「まっしろになる」ということに近づけた気がしていました。
試合にでてみる?と、言われたときは本当に嬉しかった。
トレーナーに本気を認めてもらえた気がして。
でも、ボクシングは健康管理を怠る行為として、私の仕事の契約としては本当は許されないことで、ボクシングをしていることは内緒だった。
そして私の目的は強くなることであり、試合にでることじゃない。
でも、一度だけでも試合に出てみたかったなーと、この頃やけに思うのです。
人生をふりかえるときに、今までで一番短い期間の経験になるこのボクシングが、一番安らぎを与えてくれたものでした。
あれから19年?このボクシングジム、いまではたくさんの女性王者もいて、あの頃よりもっとずっと凄いジムになってる。
11月になったら訪ねてみたいなー。
Posted at 2020/10/10 09:16:49 | |
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