R30には世界初や日本初の試みが随所に見られます。その中にはスペアタイヤも含まれ、歴代で最初で最後のハッチバックにはテンパータイヤを日本初採用して省スペース化を図ったのは有名です。また、それまで床下にあったものをサイドに立てて収納する事で、荷物が載ったままでもスペアタイヤを取り出せる配置にも工夫が感じられます。緊急時の使い勝手とトランク容量増大の両立にチャレンジする辺りからも当時の本気ぶりが伝わって来ますよね。加えて、アルミホイールの純正採用が世に広まったのも櫻井さんの働きかけによる影響が大きい事が知られておりますので、自動車業界への貢献度は計り知れません。
そんなスペアタイヤですが、R30が登場した昭和56年8月当時はセダン・ハードトップ共にフルサイズが積まれています。トランクのカーペットが捲り上げられる構造になっているのは、フルサイズのタイヤを搭載した際の逃げに使われている様子が良く分かります。おっと、内装色が茶色ですね。という事は外板色はあのスカイシルバーMt(#932)ですか!!
スペアタイヤの空気圧警告灯の説明も当然のようにフルサイズの写真が使われています。
ハッチバックはラゲッジルームが専用のトリムで覆われますので、カタログでもテンパータイヤを収納した様子の写真はありません。
当時は未だ珍しいテンパータイヤの紹介では黄色いホイールカラーの意味合いもきちんと説明されています。昭和56年10月にデビューしたRSには最初からテンパータイヤが採用されていますが、 RSの場合はスペース的なものよりも軽量化の意味合いが強そうですね。
エステート以外のR30系全車へのテンパータイヤ拡大採用は昭和57年10月の小変更まで待たなければなりませんが、何気にこのタイミングでの変更点は多岐に渡ります。タイヤサイズが変更になってもトランク容量は320ℓのままですので、スペアタイヤを抜きとした容積を示しているようです。
我が家のR30は2台ともテンパータイヤ搭載車になりますが、ことぶき号の物はカバーがビニールでホイールの裏側がシルバー。青ポール号の物はカバーが布製でホイールの裏側は黒と、テンパータイヤにも細かな違いがあったりします。
カバーがビニールか布かの違いについては、トランクのカーペットやテールランプ裏のボードの材質に付随しますので次の法則が成り立つ事になります。(注:フルサイズを除く)
⚫︎カーペット=起毛ボード+布製カバー
⚫︎ビニールマット=厚紙ボード+ビニールカバー
従って、前期RSはビニールマットですので厚紙ボード+ビニールカバーになります。と同時に後期RS-Xはカーペットですので、起毛ボード+布製カバーとなります(後期RSのX無しは前期RSと同様)。因みにテールランプ裏のボードが厚紙の場合はテールランプ部分の蓋までもが省かれます。・・・という認識でおりましたが、ここまで例外はありませんよね?
と思っていたんですが、TIがやってくれました(困)テールランプ裏のボードが見えないので全容は掴めないままですが、ビニールマットなのにも関わらずスペアタイヤは布製カバーです。
そして極めつけがカバー無し!
TIにはGTやRSの法則が通用しない場面が多々ありますので、カバーの材質については迷宮入り決定です(超謎)
そして、個人的に昔からスッキリしないのがコレです。スペアタイヤを固定するベルトって、1回解いてしまうと掛け方に悩みませんか?私はベルト部分の長さを調整しておいてからゴムの弾力を使ってフックに引っ掛けていました。
先日、山源商店さんから正しいベルトの掛け方について質問がありましたので、改めて自分の掛け方を確認してみたんです。昔からこの掛け方一択でしたので、言われてみれば本当にこれで合っているのか気になるところではあります。
これまでスッキリはしないながらもベルトの掛け方を疑った事すらありませんでしたので専門書(取説)を読み直してみました。するとそこには衝撃の事実が記載されていたんです!
①レバーを矢印方向に起こして
②ベルトが緩んだ所でフックを取り外す
え??あのベルトってテンションが緩むんですか?!?!しかも、ゴム部分を伸ばしてフックを外す訳ではないんです!
しかもフックの掛け方が外側からだし!
全然違うじゃないですか!確かに大きい方の金具を起こそうとしても全く動きません。
検証の為にベルトを外して室内に持ち込みました。車体前方の上下に引っ張るベルトは上側にゴムが来るのは合ってましたね。
これまでのように、上側のフックを内側から掛けるようにした場合にはベルト縫い目の折り返し部分が手前になります。
フックを外側から掛けるようにすると裏側になります。
下側のフックも同様で、内側から掛けるようにすると折り返し部分が手前になります。
折り返しが裏側を向くようにするなんて、なかなか芸が細かいじゃないですか。
次に車体後方に引っ張るベルトです。フックがこの向きで折り返し部分が手前側になります。
フックを引っ掛ける部分です。画像左側がスペアタイヤになりますので、フックの向きは自然と上記のようになります。
このベルトは車体側の形状からこの向きに掛けるのは不自然ですので、折り返し部分は手前側になるようです。ここもポリシーを貫いて欲しかったですよね。なんとも中途半端な。それとも不自然に感じる向きに掛けるんですかね?
さて最大の関門です。2組のベルトと金具だけなので、仕組みとしてはそこまで複雑ではないと思うんですけどねー。
あーでもない
こーでもない
色々と試しているうちに気付いたのは、金具を2つ纏めてベルトを通す箇所がないと保定力に欠けるという事です。
金具が上下にズレて噛み込んでしまうケースもありました。振動が多い環境にあるので、この点は考慮されている筈です。
レバーを起こすとテンションが緩む通し方を自分なりに模索してみましたが、もう金具の前後関係すらも分からなくなって来ました。行き詰まった時には基本に立ち返るべく、再びカタログを調べてみるとTIのカタログで大きく写っている写真を見つけました。因みにカバーはビニールです。
拡大してみると、大きい金具が手前で曲がりも手前側のようです。これであとはベルトの掛け方ですが、裏側の小さい金具の方が僅かに車両後方にズレているのが分かります。
となると、やっぱりこれで良いって事になるんですけどねー。
この状態で大きい方の金具を起こすんですが・・・
あれ?起きましたね。
ひょっとして力が足りていなかっただけなんて事はありませんよね?実車に装着して再び検証してみましょう。まずは取り付けです。3箇所のフックを引っ掛けてから、後方のベルトを引っ張ってみます。これ、凄いですよ!南京縛りのように締まります。
そして解除です。強引気味に金具を起こすと、ベルトの締め付けが緩んでテンションが解かれました。使い方を間違えていただけで掛け方は正解だったようです。
やっと解決しましたので、フックも本来の掛け方に戻します。
後ろ側のベルトもゴムのリングに通して収納したら終了です。いやー、スッキリしました!
固定ベルトの掛け方はこれが正解だと確信しています。と言うか、これ以外は思い付きません。今回は珍しく解決に至りましたね。しかし、カバーについてはモヤモヤを残す結果となってしまいました。相変わらず奥が深いR30です。
何故こうなったのか今や誰にも分からない・・・。固定ベルトの掛け方が煩雑な上に説明の類が存在せず、カバーの法則性もイマイチ掴めないスペアタイヤでした。
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2023/10/23 20:11:19