
警察官が交代で地域の安全を守る交番や警察官が常駐している駐在所(一部を除く)ですが、老朽化や統廃合などの色々な理由で廃止(移転)されることがあります、今回は色々な理由で使われなくなった交番や、交番の居抜き物件を紹介していきます。

まずは静岡県牧之原市片浜に存在した静岡県警察牧之原警察署片浜駐在所です。片浜駐在所は昭和60年(1985年)に建築された建物のようで、洋風の2階建て宿舎で、平成19年(2007年)に廃止されたようです。

駐在所廃止後は片浜地区まちづくり実行委員会が毎月第1、第3の土曜日に駄菓子屋「いいとこまんじゅう」として、地域住民に開放していたようです。しかし、2021年3月に施設の老朽化を理由に駐在所建物から200m程離れた片浜コミュニティ防災センターに移ったようです。

駐在所内には片浜駐在所管内の地図が残されており、トイレ水道電気が使えない旨が記載された紙が貼られています。いいとこまんじゅう営業時には建物外に飲料の自動販売機が置かれていたので、電気が通っていたと思われますが、市に返却された際に止められたようです。

こちらは同じく牧之原市の坂部に位置する牧之原警察署坂部駐在所跡地です。こちらは昭和50年(1975年)に設置された駐在所で、廃止時期は不明です。廃止後は坂部防犯協議会連絡所という看板が設置されていますが、詳しい用途は不明です。

詳しいことは不明ですが、
牧之原市公共施設白書75p(平成26年10月)を見ると記載があるので、こちらも現在は牧之原市が管理しているものと思われます。片浜駐在所と異なりこちらは平家の駐在所となっています。

元々赤色灯が設置されていた場所には市販の玄関灯が設置されており、旭日章は外されています。旭日章が外された跡も塞がれることもなくそのままとなっています。

こちらは牧之原市女神に設置されていた牧之原警察署萩間南駐在所です。開所時期廃止時期は共に不明ですが、こちらも牧之原市が管理している建物で、他の駐在所と異なり、こちらには住人の方が暮らしている模様です。

こちらも赤色灯は市販のものに交換されていますが、上屋には旭日章の代わりに消防章が取り付けられています。これは牧之原市御前崎市広域施設組合消防本部(当時)が萩間地域周辺で発生した救急事案への対応時間を短縮する為に平成19年4月に設置された牧之原御前崎消防署萩間救急待機所です。

牧之原御前崎消防署萩間救急待機所は平日の午前9時から午後5時まで、救急車1台と救急隊員3人を待機させる場所で、駐在所時代にはなかったと思われる駐車場の屋根も新規設置されました(消防車も対応可能?)。時期は不明ですが平成30年(2018年)迄に廃止され、閉所したようです。

こちらは静岡県伊東市渚町にある「伊東観光番」という建物。こちらは昭和33年(1958年)に伊東警察署松原交番として設置され、2006年2月27日に静岡県から伊東市に建物が譲与されました。

現在観光番は伊東市の観光案内所として使用されており、2009年1月8日には国の登録有形文化財(建築物)に「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されている。

建物は補強コンクリートブロック造り2階建建てとなっており、1階部分の曲面ガラスとなっている。静岡県内に現存する交番・派出所・駐在所の中で最古のものです。

静岡市葵区牛妻にも駐在所跡地が残っていました。こちらは静岡中央警察署牛妻駐在所として使用されていましたが、現在は坂下会館という名称で静岡市水防団の待機所として使われているようです。平成29年(2017年)2月に牛妻・秋山町・賤機の三つの警察官駐在所が統合され、葵区下に賤機交番として新設されました。

牛妻以外の秋山町駐在所と賎機駐在所は統廃合時に解体されましたが、牛妻駐在所だけは建物が残されたようです。駐在所前に設置された掲示板には現在も全国指名手配犯の手配書が貼られています。

こちらの駐在所には他の駐在所と異なり、敷地内の掲示板裏側に牛妻駐在所跡と書かれた石碑が建てられています。

静岡県焼津市石脇上には元焼津警察署東益津駐在所の建屋が。東益津駐在所は焼津警察署管内唯一の駐在所でしたが、2012年までに廃止され、石脇上の管轄は八楠交番に移管されています。

他の交番や駐在所はなんらかの形で再活用されていますが、東益津駐在所跡は特になんの看板も掲げられておらず、見たところ長年放置されている様子です。赤色灯も交換されることなく、ただ外側のカバーとユニットを外しただけとなっています。

続いて神奈川県高座郡寒川町一之宮にあった茅ヶ崎警察署寒川交番跡地です。寒川交番は2016年12月に、寒川駅前交番へ移転する形で旧交番建屋が使用されなくなりました

交番業務を終えた旧寒川交番は現在、寒川町防犯連絡所として使用されており、地域パトロール拠点となっています。移転前の寒川町防犯連絡所は駅前にありましたが、そちらはプレハブ小屋を使用しており、現在は撤去されています。

こちらは神奈川県横浜市神奈川区栗田谷にある神奈川警察署栗田谷交番跡地。1977年に建てられた交番ですが、2018年に統廃合で廃止となってしまいました。廃止後は管轄エリアを反町交番に移管されました。

廃止されて約5年間解体を免れてきた建物ですが、2023年4月1日から「Coffee KOBAN」というカフェに生まれ変わりました。1階が厨房スペースと販売スペースとなっており、2階が飲食スペースとトイレが設けられています。

建物外には赤色灯らしきものが設置されていますが、廃止時に既に外されていので、カフェ開店前に付け直されたものと思われます。しかし、光らせることのできない塗りつぶされたものじゃないかと思われます。開店当時は外し忘れた旭日章も設置されていたようです。

2階は交番時代に警察官が休む為の宿直室でしたが、現在は飲食スペース用に机等が置かれています。2階に設置されたトイレは元々、シャワールームだったそうです。

建物裏部分はこのようになっています。Coffee KOBANは9:00-16:00の間営業しており、定休日は水曜日と土曜日となっています。住所は神奈川県横浜市神奈川区栗田谷10-1です。

続いて東京都中央区月島にある警視庁月島警察署西仲通地域安全センターです。こちらの地域安全センターは大正15年(1926年)から警視庁京橋月島警察署警西仲町通派出所として運用されており、平成19年(2007年)まで交番として使用されていましたが、その後は地域安全センターに転換されました。

この建物は警視庁管内に現存する交番施設としては最も古い建物で、鉄筋コンクリート製の建屋となっています。交番開設初期の立番中の雨風を凌ぐ為の建物という事情があり、入り口は狭く、扉も設置されていません。交番時代は赤色灯を装備していましたが、地域安全センターになった際に青色灯に交換されました。

建物裏手には細めの扉が設置されており、パイロン等もそちらに置かれています。地域安全センターは交番と異なり、警察官ではなく警察官を退職したOB・OG職員が地域安全サポーターとして勤務しており、被害届などは受理ができない。警視庁管内ではこうした元交番は地域安全センターに転換されていることが多いです。

こちらは東京都千代田区一ツ橋にある警視庁麹町警察署竹橋地域安全センターです。元々は麹町警察署竹橋交番でしたが、平成19年(2007年)4月1日に統廃合され地域安全センターに転換されました。警察官の制帽を象ったようなデザインで、こちらの建物も扉が設置されていません。

こちらは東京都千代田区神田猿楽町にある「神田猿楽町町会詰所」です。この建物は大正5年(1916年に)猿楽町駐在所(警視庁神田警察署?)として建設され、1980年半ばまでに駐在所が廃止されました。廃止後は町内会の詰所として使用されています。

鉄筋コンクリート造りの建物で、ぱっと見ではトミーテックから販売された「トミカラマヴィンテージ01a 派出所」にも似ています。玄関部には元々赤色灯を装備していたと思われますが、町内会独自の玄関灯になっています。

2階部分がおそらく警察官が寝泊まりする宿直部屋になっていたと思われます。元が交番(駐在所)の建物ということで、ドラマの撮影でも交番として使用されており、「MIU404」では向島一丁目交番として、「マルモのおきて」では墨田警察署広川交番として登場しており、他作品でも多数登場しています。

こちらは東京都品川区南品川にある「南品川櫻河岸まちなか観光案内所」です。こちらは昭和4年(1929年)に品川警察署品川橋巡査派出所として建てられ、品川警察署品川橋交通待機所としても使われたようです。

建物は木造ですが、壁を鉄網コンクリートとすることで耐震化と不燃化を図っており、外壁のモルタルには目地を切り擬石風に仕上げているそうだ。平成9年(1997年)年からは南品川の町会である櫻心会が防災倉庫として使用していましたが、令和4年(2022年)に改修を施し、現在は南品川櫻河岸まちなか観光案内所として活用されています。

品川橋交通待機所は旧東海道品川橋のたもとに位置し、交差点に面して隅切りした入口には庇付欠円アーチが設けられています。建物裏手には元々扉が設けられていましたが、現在はエアコンの室外機のようなものが設置されています。

こちらの南品川櫻河岸まちなか観光案内所は毎週月・木・土曜日の午前10時~午後5時までの間は開所しており、建物内も見学可能となっています。この建物は令和5年(2023年)8月7日付けで、国の登録有形文化財(建造物)となったそうです。

こちらは埼玉県さいたま市浦和区高砂にある高砂防犯ステーションです。この建物は浦和警察署高砂交番として使われていましたが、現在は防犯の拠点として使用されているようです。

こちらの元交番内には机などが置かれており、消防団の詰所と隣接しています。こちらも元交番ということでテレビドラマ「女子高生の無駄づかい(実写版)」にて百井咲久が迷子として保護された交番として撮影に使用されました。

上屋部分に赤色灯が設置されていたようですが、現在は青色のものに変えられています。看板には右浦和中央地区社会福祉協議会事務所の文字が書かれています。

以下おまけです。こちらは静岡県浜松市中区鴨江町にある鴨江アートセンターです。この建物は昭和3年(1928年)に浜松警察署庁舎として建てられ、昭和46年(1971年)に警察署が現在の下池川町に移転し、以降は浜松市鴨江別館として活用されてきたが平成25年(2013年)より浜松市鴨江アートセンターとして活用されている。

こちらは東京都品川区勝島にある警視庁第六機動隊の入り口。こちらには警察官(機動隊員)が立番する為のコンクリート建ての施設が現在も使用されています。こういった施設は以前は各機動隊の入り口にあったと思われますが、建て替え等で消えてしまう場合も多いようです。

最後にこちらは東京都千代田区九段南にあった警視庁麹町警察署九段下交番跡地です。九段下交番は2022年に20m程離れた九段会館テラスの広場内に移転しましたが、こちらは移転直後の解体前に撮影した廃交番。統廃合ではなく、建物の老朽化に伴う移転なので、こちらは地域安全センターに転換されず、その後解体されました。
今回は以上です。
【参考文献】
『Coffee KOBAN』。交番だった建物が喫茶店に大変身! 横浜・栗田谷にできた地元住民の憩いの場
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