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イイね!
2012年08月25日

ショートスタビリンクの効果

車高を下げた時のスタビの角度を適正に戻すために取り付ける『ショートスタビリンク』
というパーツがあります。
8用も何社かから出ていますね。
謳い文句では「スタビの角度を適正化して、動きを良くする」って聞きますが、
ホントにそうなのか考察してみました。

ちなみにスタビはスタビライザーの略で、とても簡単に描くとこんな形をした金属の棒
またはパイプですね。

【図1】


車体にはスタビブラケットとスタビリンクで取り付けられます。

【図2】

黒丸がスタビブラケットで車体に固定、青と緑がスタビリンクで、
緑丸●
がサスとスタビリンクの接合部、青丸●がスタビとスタビリンクの接合部です。
画像左が車体前方、画像手前が車体左と見てください。
車種によってスタビの向きやスタビリンクの位置が違いますが、この向きの車種として
左サスを中心に話を進めます。

車体がロールすると左右のサスの伸縮量に差が出てスタビが捻られるので、
元に戻ろうとしてロールを抑えます。
スタビブラケットは車体にしっかり固定されているというのが前提なので、
スタビ長辺のL-R中心線(桃線)の位置は車体に対して常に不変です。
サスがストロークすると、緑丸●が上下に直線的に動きます。
それに合わせて青丸●も動きますが、こちらはスタビ長辺を中心として円弧を描きます。
スタビが水平の状態を中心として上下動すれば、緑丸●が10cmストロークすれば、
青丸●も10cmストロークします。

スタビに対する力点はあくまで青丸●で、緑丸●がスタビ長辺(支点)の近くにあろうが
遠くにあろうが結局は青丸●に対してどれだけの入力があるかで捻れ量が決まります。
青丸●接合部を完全固定して、L-PL-SLの角度が不変なら別なんですが)


車高を下げると、スタビブラケットの位置も下がります。
サスアームの角度も変わるけど、スタビリンクの位置はそんなに変わらないので、
こんな感じになります。

【図3】

いわゆる「スタビがバンザイした状態」ですね。
これは良くないとされていて、水平に戻すために短いスタビリンクが売られている
わけです。

ちなみにもっともっと車高を下げていくと…
こうなっちゃいますね。

【図4】

ここまでいくとホントにバンザイです。
まあ8じゃこんなに下がりませんが。

この状態になってしまうと、緑丸●が上下に動いても、青丸●は水平に近い円弧の
動きを少しするだけで、上下にはほとんど動かず、スタビも捻られません。

緑丸●がもっと上方に移動して、L-PL-SLが一直線になったら、物理的にストロークの
限界です。
それ以上のストロークはスタビリンクかスタビブラケットか何かが壊れます。
まあそんな角度になる前に、バネかダンパーのストローク限界がきますが。

では、そこそこ車高を下げた時にありがちな【図3】の状態ではどうでしょうか。

再掲【図3】


サスと緑丸●が上下動すると、青丸●も上下動しますが、円弧の動きのやや上寄りに
なるので、横移動も発生します。
でも、だからといってスタビの動きが悪くなる明らかな理由は見あたりません。
スタビはスタビブラケットの中で自由に回転できるし、動きを悪くするのはスタビの
「捻れ」しかないからです。
強いて言えば、スタビリンクが縦から斜めに角度を変えつつ動くので、
接合部のボールジョイントが回転する時に抵抗がある可能性がありますが、
手でも回せる程度の抵抗なので、そんなに影響があるとも思えません。

では、このバンザイ状態でのスタビの実効レートはどうなんでしょうか。
具体的な数字を設定して計算してみましょう。

スタビ短辺のL-PL間を20cm、スタビリンクの長さSL-PL間を10cm、
スタビが水平(L-PLが水平)の時にスタビリンクは垂直で、
今は10cm分のバンザイ状態でL-SLが水平になっているとします。
これを真横から見た簡単な図にするとこうなります。

【図5】


L-PL0-SL0 … 本来のスタビとスタビリンクの位置
L-PL1-SL1 … SL1が10cm上方に移動し、10cm分のバンザイをしている状態

SLnは垂直にまっすぐ動きます。
PLnはLを中心とした半径20cmの円弧を描きます。
L-PL1-SL2は直線とは限りません。(というか直線じゃありません)

【PL0→PL1の移動量】
スタビリンクの長さそのものなので10cm

【角PL1-L-PL0】
三角形PL1-L-PL0が20cmの辺を2つ持つ二等辺三角形なので、PL0-PL1の中点を
Cとすると、三角形PL1-L-CとPL0-L-Cはそれぞれ直角三角形で合同。
つまり角PL1-L-C=角PL0-L-C。
角PL1-L-Cをθとすると
sinθ=5/20=0.25
θ=14.5度
角PL1-L-PL0=14.5×2=29度

ここでサスが10cmのストロークをして、更にSL1が上方に10cm移動すると、
L-PL2-SL2になります。
この時、スタビは何度捻れて、PL1→PL2は何cm移動したんでしょうか。

再掲【図5】


【角PL2-L-PL1】
角PL2-L-PL0 - 角PL1-L-PL0 で求められる。
角PL2-L-PL0は、三角形PL2-L-SL2と三角形PL0-L-SL2が三辺相等で合同、
角PL2-L-SL2=角PL0-L-SL2となり、
角PL0-L-SL2をθとすると
tanθ=10/20=0.5
θ=26.8度

角PL2-L-PL0=角PL2-L-SL2 + 角PL0-L-SL2=角PL0-L-SL2×2=26.8×2
=53.6度

角PL2-L-PL1=角PL2-L-PL0 - 角PL1-L-PL0=53.6 - 29=24.6度

【PL1→PL2の移動量】
三角形PL2-L-PL1が20cmの辺を2つ持つ二等辺三角形なので、
三角形PL1-L-PL0と同様に計算すると

(sin(24.6/2))×2=0.426=x/20
x≒8.5cm

ということで、左サスがSL0→SL1の10cm移動した際にはスタビが29度捻れて
PL0→PL1は10cm移動したが、
SL1→SL2の10cm移動した際には24.6度捻れてPL1→PL2は8.5cm移動した。
捻れ角度も移動量もほぼ85%に減少している=スタビの実効レートも85%相当に
落ちている。


【結論】
車高ダウンにより、スタビがいわゆるバンザイになったのをショートスタビリンクで
角度適正化することで、スタビやサスの動きが良くなるという根拠は見いだせないが、
スタビの実効レートの落ち込みを回避し本来のレートで使用することはできる。



どこか間違ってたら指摘してください。
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2012/08/25 09:03:58

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この記事へのコメント

2012年8月25日 9:11
こんちゃ♪

いつも(^^)dタイミングでアップしてくれますね!!


是非参考にさせて頂きます♪
コメントへの返答
2012年8月25日 16:48
記述内容が合ってるという保証はどこにも無いです(笑)
2012年8月25日 10:20
リンク長とレート変化の関係は難しいくてワカラナイですが…

計算以前の凄く単純な問題があって、スタビの回る範囲って意外と狭かったりするんですよね

例えば8のフロントだとノーマル車高からバンプ方向に40~50mmくらいストロークするとスタビが↑方向に回り切っちゃって動かなくなるので…理論は色々すっ飛ばして既に論外かなとw

まぁ、それでもサスアームの可動範囲はそれ以上にあるのでそこでサスの動きがロックしてしまう事はないでしょうが…

てなワケで自分は完全にロック回避を狙って交換しましたね

ても、アーム類の交換は色々とややこしい事になるのでチョイ下げ程度のヨイ子には絶対におすすめしませんが
コメントへの返答
2012年8月25日 16:57
>スタビが↑方向に回り切っちゃって
っていうのは、車体やサスに干渉するということではなくて【図4】のようにバンザイしきっちゃうってことですよね。

私の8はフロントが30mmくらい下がってますが、
まだまだ回りますよ(笑)
でも換えられるもんなら短いのに換える方が性能上いいのは間違いないですね。
2012年8月26日 8:27
実は360度クルクル回る事はなくて、角度で言うと水平から上に30〜40度くらいの部分で回らなくなりますよ〜

リンクを切ってスタビ単体で調べた事がありますw
コメントへの返答
2012年8月27日 1:36
360度回るクルマがあったらすごいですね(笑)
スタビリンクがかなり長い(スタビとサスアームが
遠い)車種で、スタビ周辺がスカスカならあり得ない
とは言い切れませんが。
でも現実的にはやっぱり無いかな(笑)
2012年8月26日 8:31
てか、もし真上まで回るような事があれば逆関節が起きてそれはそれで問題ですYO

8では構造的にありえないですが…
コメントへの返答
2012年8月27日 1:45
本文中にも書いてますが、L-PL-SLが一直線に
なるまでSLが高い位置に(又はLが低い位置に)きたら、それ以上は長くなれないので、そこで
ストロークの限界になりますね。
もしその状態になったら、そこから戻る時にスタビは元の方向に戻るのか、さらに順方向に回って
ドリチソさんが書かれている逆関節になるかは
ほぼ五分五分ですが、スタビにも重力は働いていて
スタビが下方向に動く確率の方がちょっと高そう
ですね。
まあ現実的にはあり得ない動作領域ですが。
2012年8月26日 10:32
>実効レートの落ち込みを回避

スタビのマウントブッシュの位置はスタビアームよりもボディー奥側になるので、スタビ位置が適正でないと捩り方向の力だけでなく、過渡的には曲げ方向の力も発生して、妙にバネレートが上がった様な感じになりますね。
コメントへの返答
2012年8月27日 2:47
>ボディー奥側
っていうのは、車体左右位置での中央寄り、
という意味ですよね。で、
>曲げ方向の力
というのは、SLの上昇によりPLがLを車体前方(図の左方向)に押し、スタビ長辺L-Rを曲げる力と解釈しました。

【図5】でいうと、スタビアームL-PLが最もバンザイ
するのはSLの位置が上がってスタビリンクSL-PLが
水平になった時で、それ以上SLが高い位置に行くと
スタビは逆にスタビリンクに引っぱられます。
なので
>過渡的には曲げ方向の力も発生して
というのは、L-PL-SLが下方向で一直線になるところから、上でSL-PLが水平になるところの間だと思いますが、角L-PL-SLが直角に近い状態ではSLの上方移動がLを前方に押すとは思えない(風車の羽に横方向(回転方向)の力を加えても、回転軸を曲げる作用があるとは思えない)ので、曲げ方向の力が発生するのはL-PL-SLが一直線に近い、リバンブ状態又は車高を上げた状態だと思います。
もちろん、L-PL-SLが形成する角度はL-PLやSL-PLの長さ、L-SLの距離によって変わるので、一概には言えませんが。
2012年8月26日 12:28
勉強になります。
コメントへの返答
2012年8月27日 2:51
久しぶりに三角形の合同とか三角関数とか使いましたが、なんとかなるもんですね。

なってなかったりして(笑)
2012年8月26日 16:38
弩疲れ様です。

ODULAのショート前後入れているけど
わかんね(爆
コメントへの返答
2012年8月27日 2:54
バネがしっかりしていれば、分からないと思いますよ。

ローダウンスプリングを使ってる人とかが一番
気にすべき内容な気がします。
2012年8月29日 15:00
1号機につけましたがさっぱりわかりませんでした(汗

悪8ほど車高を下げなければ不要と思っております。
コメントへの返答
2012年8月29日 17:54
分からなかったということは、スタビが物理的に
どこかに干渉していたり、レートが極端に不足して
いたりしなかった、という可能性が高いですね。

悪8は、特殊すぎ(笑)
2013年2月7日 23:33
初コメ失礼します。

凄く面白い考察で考えさせられました。

私はショートスタビリンク自体が必要とは思いませんが、機械的な考察ではなく力学的は考察を加えさせていただいて、理由を説明したいと思います。

まず、水平の状態であれば、SLに対して入力された力(たとえば10キロ)が、PL上方向にそのまま伝わりますので、スタビレート(5㌔)であれば2ミリストロークすることになります。

仮に、スタビアームが45度の角度だとすると、上記条件では、分力となりスタビアームには捻じれ方向に50パーセントの入力となります。よって、10キロの入力でもスタビに作用するのは5キロと言う事になります。と言うことは、この角度だとスタビは1ミリしか動かないと言う事です。

固有振動数で、この上がり代はショックに対する影響が大きく、ショックの動きだしに大きな影響をもってしまいますので、使っているショックによっては体感可能なレベルになることもあるともいます。

といっても、そこまで下がっている時点で他の影響が大きくそれどころではないと思いますが、どうでしょうか?



今更ながらのコメント失礼いたしました。
コメントへの返答
2013年2月9日 20:48
初コメありがとうございます。

45度となると、図5でのL-PL2-SL2の状態に近いんですが、この図のアーム角度は53.6度なのでもうちょっと下ですね。

SLの動き量に対するPLの動き量は、L-PL(スタビアームの長さ)とPL-SL(スタビリンクの長さ)の比によっても変わってしまい、特にPL-SLが短いと(PL-SLが水平に近い状態では)SLが動いてもPLがほとんど動かなくなってしまいます。
具体的には、スタビアームが45度の時、PLとSL移動軸の間には6cmほど(正確には20cm-(20cm÷√2)=5.86cm)の間隔ができるので、スタビリンクが6cm程度だとほぼ水平になりSLが少々動いてもPLが動かないことになります。

まあとにかく、スタビアームに角度が付いてスタビリンクが水平に近づくほど、J9FDさんが書かれているように入力に対してスタビの捻れ量が小さくなってスタビのレートが下がることになるので、ショックの初期減衰特性やバネレートとのバランスによっては体感できる人もいるかもしれませんね。
現実的に「車高15cmダウン」とかできるクルマが(特に走行性能を求めるクルマで)どれだけあるかは謎ですが…

プロフィール

「バターチキンカレーの会」
何シテル?   11/04 11:57
RX-8 Type-S(LA-SE3P)を所有しています。 「Fuji」というニックネームは既に取得されていたので、「さん」を付けています。

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