ハンダ付けの我流メモ
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
  中級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
どうすれば上手くハンダ付けできます?と、みんカラお友達から質問をもらいました。
自分は得意というわけではありませんが、それなりにやってきたので、何かヒントになることもあるだろうと、メモしてみます。
初めてハンダゴテを使ったのは、小学生低学年の頃。
全長30センチ、ニクロム線ヒータの60W。
←いただきものの写真ですが、たぶんこの製品だったかと。
とても電子工作に向いているとは言えないサイズ。
昭和20~30年頃のもので、小学生の手には重く巨大でした。
他の道具は、大きなペンチに「ヤニ」(タバコじゃありません)だけ。
この3点セットで、高校生の頃まで電気工作していました。
便利なものを探す・買うという発想はなかったですね。
今でも作業の基本は小学生の頃とほとんど変わっていません。
誰に教わるわけでもなく、自己流故、なんとおバカなことをしているんだと、笑われるような内容も多々あろうかと思います。
まずは、正しい手法をネットで探してもらって、邪道でこんなことやってるアホウがいるんだと、読んでもらうのが良かろうと。
2
工具の紹介ですが、今持っているのは写真のものと、ラジオペンチ1個。
コテが2本ありますが、電力はほぼ同じ20Wクラスで、先端形状が異なるだけです。
被接合物の熱容量に依りますが、バッテリ直の太いケーブルでもなければ、おおよそ自動車の配線はこれでこなせると思います。
LEDやチップ抵抗、液晶パネルなどには、もう少し電力が低い方が、電子部品を熱で壊してしまうリスクが低いかも知れません。
ハンダはオーディオ用とか電気配線用とか色んな種類が売られていて迷います。
配合率が若干異なっていますが、あれこれ揃えるのは面倒で、電気的に良いのかな?とオーディオ用を買うことが多いです。
実際には、あまり気にしてはいません。
どんな接合物も、長時間加熱することは、それなりにトラブルも増えるので、必要最低限 かつ、充分な熱量のコテを使いたいところです。
電子部品を60Wで付けていた人の言うことに、説得力はありませんが。
他に屋外作業で便利なガスソルダーもありますが、かなりの熱量であることは意識しています。
真夏なら、1,2秒で決着します。
熱が不足する冬の屋外では有効ですね。
この中で、一般的な配線のハンダ付けに使うことがないのは、ステンレス用ハンダとフラックス。
これは名の通り、ステンレスの接合に使います。(真鍮にも使えるので、けっこう便利です)
配線に特化したペンチ(赤グリップ)は、便利そうで買いましたが、あまり使ったことがありません。
何かで代用できると思いつく人は、専用品は不要でしょうし、必要な人もいるでしょう。
ハンダゴテとハンダ、それにスタンドは最低限 必要ですが、他は必要に応じて。
スタンドなど、親父の灰皿使ってましたから、安定して置くことができれば何でもいいのですけどね。
3
ハンダゴテの先端がキレイな状態だと、ハンダは光沢のある水銀のようですが、汚れるとゴテゴテになります。
コテだけではなく、接合する物も同じ話。
4
コテ先の清掃は、まず付着したハンダが溶けるまで加熱。
一般的なハンダ付けセットにあるだろう、スポンジ状のマットを湿らせて、その上を撫でるようです。
自分は一度も使ったことがなくて、初めて使ってみました。
黒い酸化物は落ちます。
残ったハンダが 表面張力で、いつまでも コテ先にまとわりつきますね。
ターミネーター2のT-1000みたい。
5
小学校の頃からやってる、邪道中の邪道。
ちり紙(ティッシュとも言う)を、4層ぐらいに畳んで少し濡らします。
子供の頃は唾を落として濡らしてました。w
これでコテ先を軽く包むようにして、スッと手前に引きます。
一瞬なので、熱くはないです。
ちり紙の繊維が擦り取るので、酸化物も古いハンダもキレイに取り除けます。
小学生 生活の知恵。
6
まずは被覆剥がし。
自分が子供の頃は、カッターナイフが存在しなかったので、ペンチの切断歯を使っていました。
今は平らな所へ置いて、電線を回転させて切っています。
専用工具は便利ですが、希望の長さ被覆を剥くことが難しいのです。
いずれの方法も、芯線を傷めないことが大事。
数をこなせば分かってきます。
専用工具には、太さに合わせたカッターがあるので、手感に自信がない人は専用工具を。
7
新品の配線ばかり加工しているわけではありません。
古い車両の配線を生かしたり、改修をしたりする場合、配線の表面が薄黒くなっていることが多々あります。
その状態では、まずハンダは乗りません。
被覆をはがして、芯線を平べったく扇状に広げます。
カッター歯などのエッジで軽く撫でると、表面がキレイになります。
向きを変えて数回行えば、だいたい汚れや酸化膜は落とせます。
メーカーがどのように使い分けているのかまでは分かりませんが、芯線には2種あります。
経験的に、銅色の芯線は柔軟で、銀色の芯線は脆い気がします。
後者はやや硬く、数回曲げると折れてしまうので苦手です。
8
自動車やオートバイの配線工作でよくやるのが、ギボシや端子の増設。
カシメるだけで終わる人も多いでしょうが、長期に見て不安要素は減らしたいので、自分は全部ハンダ付けしています。
被覆を剥いたコードの芯線を、フラックスに突っ込みます。
若干すくい取る感じ。
市販されるハンダは、大半が「ヤニ」入りなのでダブリなのですが、「ヤニ」なしは手に入れにくいので。
自分の作業はフラックス使用量が多いので、それなりにコテ先が汚れます。
9
配線ですくったフラックスは、端子のカシメ部に塗りつけます。
アルミ製はお手軽で、カー用品でもよく見かけますが、ハンダ付けできないので使ったことはありません。
いつも黄銅製か それに準ずる端子を選んでいます。
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まずハンダをコテ先に付けて溶かし、少し盛り上がる程度にします。
その後、配線を接触させて芯線に溶かし込みます。
配線とハンダを一緒に当てればいいのに、どうして?
配線とハンダとハンダゴテを上手に位置決めするのが子どもには難しかった、、それが習慣化しているだけです。
ただ、メリットはあります。
やってみれば分かりますが、ハンダを当てていると、配線の中にどんどん吸い込まれていきます。
あらかじめ、コテ先に必要量を付けてしまえば、無駄に消費することもありません。
足りなければ足すだけ。
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配線の芯線がまとまって、1本の軸状になりました。
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1本化した芯線を端子のクランプ部に添え、ペンチなどでカシメます。
どうして先にハンダを芯線に付けるか。
芯線は複数の線の束なので、しっかりカシメないと、いとも簡単にスッコ抜けます。
1本化した芯線は、端子に沿った形状にカシメられるので、まず抜けることはありません。
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コテ先を、線の被覆と遠い側のカシメ部に当てて、数秒加熱すると 芯線のハンダが中で溶けて接合します。
コツとしては、コテ先に少しハンダを乗せておくこと。
丸いコテ先と端子では、接触面積が狭いので、安定した加熱ができません。
コテ先に液状のハンダがあることで、瞬時に接触面積が広がり、同時にハンダの不足分を補うことができます。
(質量的に)大きい端子をハンダ付けする場合は、やや長い加熱が必要になります。
長時間加熱すると、配線の被覆が溶けることがあります。
そのような時は、端子のカシメ部にもあらかじめハンダを流しておきます。
配線と端子の両方が、既にハンダがメッキされた状態なので、隅々までハンダが流れるための加熱時間が不要とで、短時間で処理を終えることとができます。
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端子が冷えたら、被覆部を固定します。
たいていの多機能専用工具には、端子のカシメ機構があります。
自分はラジオペンチでチマチマ曲げる派です。
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これで作業終了。
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次は、完成車など、既に配線が終わっている場合。
まだ新しい車は、それほど心配ありません。
年式の古い車両で、端子や芯線に輝きがない時は、真鍮ブラシで軽くブラッシングします。
汚れがあると、まず間違いなく、ハンダが玉になりポロンと落っこちるだけ。
特にWD40やCRCなどを吹いた経緯があるものは、手こずること請け合い。
芯線を伝って染み込んだ油分が、加熱されると一瞬で表面を覆ってしまうので、パーツクリーナなどで入念に脱脂するのが吉。
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清掃したところにフラックスを塗ります。
配線の断面積以上の電流は流れないので、全ての芯線がアタマを出しているココだけうまくできればOK。
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既存の配線は、被覆もクランプしているので、熱をかけすぎると溶けてしまいます。
カシメ部をアルミの放熱クリップで熱を逃がすようにします。
この例では中途半端に汚れた端子を使ったので、キレイに流れていません。
汚れや油分があるとハンダは弾かれ、ものの見事に玉になります。
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次は、抵抗やコンデンサの「足」と配線をつなぐ場合。
本来ならプリント基盤などを使うところですが、小型に仕上げたい時によくやります。
そこまで手をかけるのが面倒くさいという理由が大半ですけど。
接続したい抵抗などの足にフラックスを塗って、ハンダメッキしておきます。
この際、素子に流れる熱を減らすよう、アルミクリップでくわえておきます。
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配線側もハンダを付けておいて、両方を重ねてコテで加熱。
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ハンダは脆く、繰り返しの負荷や大きな入力には耐えられません。
この接合はハンダが頼りなので、ラップ代を長目にしておきます。
また、素子自体にも負担がかかるような場合は、熱収縮チューブやテープなどで補強をしておきます。
車体に装着する作業中にも、配線をグイグイ押すようなことがあるので、その点も考慮が必要です。
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次は、配線の延長をする場合。
電装品を移設したいけど、コネクタが特殊だとか、自作した配線が短かったとか、ちょくちょくあるケースです。
配線を継ぎ足す作業は、被覆を剥いて芯線をねじって撚り合わせる手法がよく取られます。
この方法は強度的に安心ですが、露出する部分が長くなるので、あまりスマートではありません。
3~5mm被覆を剥いて、芯線をフラックスに突っ込みます。
(こんな使い方ばかりするので、フラックスの表面がクレータだらけ)
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コテ先にはハンダを適量付けておけば、両手が空きます。
配線を突き合わせて、芯線を数ミリ差し込みます。
手の指を組む感じ。
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コテ先のハンダを染み込ませます。
これでガッチリ結合できました。
たいてい芯線の数本が、ピヨンと飛び出しますが、それを収めようとコテを当てすぎると、たいてい「やめときゃ良かった」になります。
ペンチなどで軽くくわえて、終わりにしましょう。
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テクニックだとか経験だとか言っているより、こんな便利用具を利用する方が賢い気もします。
ハンダ付け後は、ブチルテープなどを巻いて絶縁しても良いですし、あらかじめ熱収縮チューブを通しておくのも手です。
ハンダ付けには、ロー付けのような強度はありません。
使用箇所によって、サポート部材を付けるなど考えると良いですね。
10台20台と家電を分解すると、そこそこ名の通ったメーカーが、タクトスイッチをハンダだけで持たせているなど、ひどい例が見つかります。
簡単に壊れます。
コスト低減も必要でしょうが、使われ方を想像できないのは、設計者の質ですね。
と長々書きましたが、たいした内容でなくてスミマセン。
おそらく、ハンダ付けで躓くのは、清潔な表面と必要な熱、それに適切なフラックスが揃っていないだけだと思います。
うまく行っていれば、ハンダは数秒で吸い込まれるように流れます。
そうでない場合は、どこかにオカシイところがあるでしょう。
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