• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

Meriousのブログ一覧

2025年01月19日 イイね!

インプレッサ GC8型 プロペラシャフト オーバーホール作業


インプレッサ WRX GC8型でラリー走行も楽しんでいるという方からリヤプロペラシャフトのオーバーホール依頼がありました。
異音とうなり音の症状が出ているそうです。

プロペラシャフトが二分割されてとても丁寧な梱包でお送りいただきました。
部品の状態を確認していきます。今回のシャフトは第一軸と第二軸がフランジ結合される方式で、スバルではあまり見ない方式でした。でもこの形式が一番オーバホール作業をしやすく動バランスも詰めやすくてお気に入りの形状です。スパイダーの首振りは三か所とも渋さを感じました。








三か所のジョイントに組み込まれているスパイダーは在庫パーツで対応できそうでしたので迷わず外していきます。非分解方式のスパイダーは本来抜くことがないので抜くことができるスペースがなく壊さないと外れてこないことが多いと思いますが、抜き治具やノウハウのおかげで最近は短時間で抜くことができるようになっています。




もう見慣れてしまいましたがスパイダー内部はグリスの強い粘りはまったくありません。でもオイル状のものがまだあるので潤滑が切れていないだけ安心感を感じます。


今回はセンターベアリングも交換したいというご意向もいただいていますので外してみたところ、ゴムダンパーが下方に変形していて長年シャフト重量を支え続けてきたことが予想されます。
スバル用で在庫していたセンターベアリングを装着されていた純正部品と合わせてみたところ、一番多く使われているφ30と思っていたのですがなんとベアリング内径がφ25が使用されていることが判明し、こんな珍しいベアリング寸法のものは少なく新たに取り寄せすることになってしまいました。センターベアリング単体で入手できることは少ないので入手できただけありがたいことです


スパイダーをすべて組み込み回転中心を0.01mmあたりまで行くよう精密に調整して固定を行い、動バランス調整は測定限界付近まで詰めました。特に第二軸の動バランスの数値はほぼゼロに近いところまで持っていけて、過去最高レベルの仕上がりでものすごい爽快感を感じました。錆止めとブラック仕上げで塗装して完成シャフトとなりました。


お渡しした次の日にすぐに装着されたそうで、走行時の感想をいただきました。
「先ほどまで慣らしも兼ねてドライブしてまいりました。
走り出しの駆動の伝わり具合のロスのなさに驚きました。加速時のワンテンポ遅れるような違和感も全く感じなくなり、非常に精巧に作られているものだと感じております。友人にも乗ってもらいましたがペラシャでここまで変わるものなのかと驚いており、走っていて物凄く楽しいとのことでした。
大変満足のいく品物でしたのでゆくゆくはもう一台のシャフトの依頼もぜひお願いできればと考えております。」

自分で仕上げたものはこうした良好なご報告をいただくまでとても落ち着かない気持ちですが、このような感想をいただけると嬉しくなってしまいオーバーホール業務をやめられなくなってしまっています。

Posted at 2025/01/19 22:50:06 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車部品 | クルマ
2025年01月12日 イイね!

レガシィBH9型 プロペラシャフト オーバーホール作業


レガシィ BH9型を大事に乗っておられる方から悲痛なご連絡をいただきました。
キコキコと異音がするので車屋さんに見てもらったら、プロペラシャフトからだろうという見立てをもらったそうですが、もう純正新品は供給なし、中古シャフトもまったく出ずということで、ご依頼主様いきつけの修理屋さんも預かってくれず、廃車にするしかないだろうかというお尋ねでした。

この車は水平対向6気筒が搭載されていて、とても静かでいい車だがあまり販売台数は伸びなかったようだとお聞きしました。

レガシィなどスバル車は何度かやっておりましたので、まずは状態を見てみたいと思いましたが、修理屋さんが預かってくれず外せなくてどうしたものかと悩んでおられました。当方は自動車整備の設備はないので仲間の整備屋さんに相談したところ、プロペラシャフトの脱着を引き受けてくれましたので車ごとお持ち込みいただきました。




プロペラシャフトが外れたと連絡をもらい取りに行きまして確認作業に入っていきます。中央の等速ジョイントはトラブルは起きていないように見え、デフ側のジョイントは中立点での引っかかりは若干感じましたが通常動作はしておりました。




問題はトランスミッション直後の第一ジョイントで、U字型のヨークのところが茶色くなっていたので、サビで終了していることがうかがえました。首振りさせてみると、左右には動きますが上下には動かなくなっていました。


この機会にプロペラシャフトをしっかりオーバーホールしたいというご希望だったので、スパイダー二か所の交換を行っていきます。レガシィは分離できない等速ジョイントを使われていることが多くこの形式は引き受けできなかったのですが、分離ができないとジョイント交換ができないので、今回チャレンジをしてみます。カップブーツはきっちりカシメられて隙間がないので起こすのがとても大変でしたが、なんとか外して分離ができました。内部に抜け止めのCリングがついているのですが、これを外さないと等速ジョイント機構が抜けてこずしかも簡単にリングが外れてこないので、等速ジョイントは作業者泣かせの構造です。


第一・第三ジョイントのスパイダーを交換していきます。


トランスミッション出口すぐの第一ジョイントは、ニードルベアリングがサビ粉に変わっていました。


センターベアリングも交換したいと思い、等速ジョイントのカップ内部を見てみたところ、カップ底部にボルトが見えているタイプで緩めるとカップが抜けてセンターベアリングにアクセスできる構造であることがわかりました。しかしスバル用として用意していたセンターベアリングのステー部分の形状が若干違い、今回はゴム部の変形やベアリングの回転具合も良好だったこともあり、今回交換は見送ることになりました。


等速ジョイントも内部の部品をすべて外して古グリスを徹底洗浄し、良質のグリスを充填してオーバーホールしました。


非分解方式のユニバーサルジョイントの交換時は、固定用止め輪がなく回転中心の位置決めをしなければなりませんので、手作業で時間をかけて1/100mmあたりまでじっくり合わせていきます。位置決めをして固定したら動バランス調整を行い測定限界近くまで追い込んで完了としました。今回は今まではなかった等速ジョイントの組み上げもあり、等速ジョイントは構造がとても難しく組み上げは難易度高かったですが慎重に構成部品を元に戻しカシメなおして完成シャフトとなりました。


完了のご連絡をして電車で引き取りに来られました。
試運転をして確認いただく緊張の瞬間が訪れました。一緒に乗らせてもらい印象をお聞きできましたが、「ジョイント不良が解消したのはもちろんだが、走りがとても滑らかに感じる」ととても嬉しいお言葉をいただきました。私は基本的にシャフトが送られてきてオーバーホール作業を行い返送するという流れがほとんどなので実車に接することが滅多になく、自分の作業したシャフトを装着した車で試乗の機会をいただけたのはとても貴重な体験でした。

Posted at 2025/01/12 20:36:03 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車部品 | クルマ
2025年01月12日 イイね!

スカイラインDR30型 プロペラシャフト オーバーホール作業


スカイラインDR30型 プロペラシャフトオーバーホール作業のご依頼をいただきました。DR30型を検索してみたところスカイラインRS-TURBO という車種だったようで、名車といわれた車両でした。四気筒だったのでGT-Rとは名乗れず、RS(レーシング・スポーツ)と命名された歴史があるそうです。
昭和の異端児!名車DR30型スカイラインRSの全て

シャフトが届きましたので状態確認をしていきます。
パイプ部のヘコミはなく塗装も分厚かったりベトベトしているような印象もなくあまり悪いとは思いませんでした。スパイダーの動きは年数にしては良好な動きだったように感じましたが、中立点での引っかかりは強めだったように感じました。




センターベアリング直後のフランジの向きも毎回確認しますが、これはフランジの向きが一直線にはならない位置にはめこまれていたので、中央の大型ボルトを緩めたらスプラインをずらしながら直線に並ぶ位置を探して入れ直します。


スパイダーは慎重に外し作業をして無傷で外せましたが内部はもちろん潤滑油としての限界を迎えていそうな状態でした。


日産・トヨタ車でこのクラスに使用されているスパイダーは純正部品はもちろん出ませんし社外品にも同サイズがないので、徹底洗浄のあとに高性能グリス充填しながら数百本あるニードルベアリングを再度組み上げていきます。非分解方式に使用されているスパイダーはキャップ部分が薄くて柔らかく、傷などあると引っかかりが発生して修正できなくなるので非常に難易度が高いです。それでスパイダー組み上げ前に穴の内部の状態を十分チェックをしてから組んでいきます。それでも渋みが出たりするので本当に難しいです。




ジョイントに組み込んだあとは回転中心を0.01mm程度まで時間をかけて位置決めし、首振り具合を手触りと感覚を頼りに調整してから両シャフトの動バランスを測定限界付近まで追い込んで終了となりました。超低振動軸の期待がもてる軸に仕上がったと自己満足を感じます。うっかり完成時の写真を撮り忘れてしまったので、届いた時の軸構成の写真を載せておきます。


Posted at 2025/01/11 23:46:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車部品 | クルマ
2025年01月11日 イイね!

S2000 ドライブシャフト 短縮加工


プロペラシャフトの加工・オーバーホールを扱っていると、駆動系つながりでドライブシャフトの加工についても意外とお尋ねをいただきます。
細い軸の加工は非常に難易度が高く、強度の心配を抱えながらお引き受けするのは当方もご依頼主様もお互い怖いので躊躇しておりました。

しかし最近になって溶接とは別物の中実丸棒の接合面全体が芯までしっかり接合できる特殊な接合が可能となり、中実丸棒の短縮・延長において大変強度の高い接合のお引き受けができるようになりました。異径のシャフト接合も可能です。

今回はホンダ S2000のドライブシャフトを90mm短縮したいというご依頼をいただきました。S2000のドライブシャフトは両端はそんなに太くありませんが中央が異様なほど太くなっていました。
短縮加工が終了して仕上がりました。


ここまでシャフトを短くする加工というのは別の車にS2000の構造ごと入れ替えて使われるのかもしれません。どのような車両加工をされたのかご依頼主様に聞いてみたいものです。

納期は若干長めですが、折損の心配の少ないドライブシャフトの加工が可能となりましたので、直メッセージかHPからお問い合わせください。

Posted at 2025/01/11 13:18:53 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車部品 | クルマ
2024年12月28日 イイね!

インプレッサ GDB型 プロペラシャフトOH作業


スバルのプロペラシャフトオーバーホールの相談が徐々に増えてきたようです。
今まで相談をいただいたのはアルシオーネ、レガシィ、インプレッサなどいくつかありましたが、どれもプロペラシャフトは廃番で純正供給が終了したという車ばかりだったので、廃番になる車種が比較的多いのかもしれません。

今回はインプレッサGDB型の依頼がありました。
到着しましたので状態を見ていきます。パイプ部にはヘコミなどのトラブルはないようでした。センターベアリングも異音なく軽く回転し下側への変形も感じられず、ゴムの異常な硬化も見られないように感じました。スパイダーの首振りは第一と第三の位置で中立点での強めの引っかかりが感じられましたが中央の部位はスムーズな動きに感じられました。








第一軸はセンターベアリングがついていましたので、準備してあったセンターベアリング(社外品)に交換します。ベアリングは中圧入くらいで入っているものが多く、簡単には外れてくれないものが多いので外しには苦労します。中央部のスプライン部に抜け止めのナットがはめられていますが、これが固く締まっていて緩めるのに苦労します。


第二軸は両端がユニバーサルジョイントになりますが、すべてのスパイダーが非分解方式です。これを交換していきますが、今回のインプレッサGDB型がかなりハイパワーで大きなトルクをかけながら乗られる可能性が高いことを考えると、ジョイントにも大きな負荷がかかることが想定されます。そこで、今回は使いこなしが難しいがトルク容量が大きいスパイダーを使うことにしました。


スパイダー内部は粘りのないオイルになっていましたが、軸部にオイルの付着がないように感じられた部位もあり、潤滑切れが迫っていたかもしれません。


交換したスパイダーは使いこなしが難しいだけあって組み込んだあとに強めの抵抗感を感じるところや回転中心出しの際の位置決めのしにくさなどが発生しましたが、かなりの時間をかけてなんとか調整しました。根気が必要でした。動バランス調整も調整限界付近まで詰めて低振動軸の期待が持てるシャフトとして完成しました。


インプレッサはハイパワーで駆動系に負担が大きいと思われますので、四駆構造で前輪と後輪で負荷を分散できるとはいえ、ジョイントの潤滑環境はとても厳しいと思われます。よく注意しましょう。

Posted at 2024/12/28 20:48:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車部品 | クルマ

プロフィール

メリオス有限責任事業組合です。       https://merious.com/ 自動車等輸送機器の動力伝達装置及び、車体加工・改造に関連す...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
345678 9
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

愛車一覧

ダイハツ その他 ダイハツ その他
車体加工車を主に業務としてます。強度試験、改造申請、特注部品などをメインに扱ってます。 ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation