スカイラインER34型は大変評価の高い車のようです。
GT-Rがレース仕様だとしたらER34型は一般道向けのハイレベル仕様というところなのでしょうか。MT化ベースとして非常に人気があると聞きます。MT化に必要な純正プロペラシャフトは20~30万円の値段をつけているものもあり、大変驚きます。
今回は日産ディーラーからオーバーホール依頼がありました。
ER34 RB25DET搭載車両だとのことで、たぶんMT化されたものではなく元からのMT仕様車なのでしょう。
届いた依頼品の状態確認をしていきます。
このシャフトは今は大変な貴重品なので緊張感を感じます。
軸部にはヘコミなどなく外観の状態は良いものでしたが、厚く塗装されており若干べたつきを感じます。ジョイントはかなり状態が悪く、サビによる摩滅はないようでしたがとても強いクリック感が生じていて今までで初めてくらいのコリコリと強めの抵抗感が生じていました。
早速非分解方式のスパイダーを外してオーバーホールしていきます。
内部はグリスではなく、ガムみたいに変質していて潤滑切れ一歩手前くらいで危ないところでした。
同じサイズのスパイダーは純正部品供給はなく、社外品でも見つかっていないため純正スパイダーを慎重に外し徹底洗浄と新グリス入れ替えを行います。三か所すべてのスパイダーを洗浄しますが、内部のニードルベアリングは300本超になるのでこれを新たに詰めなおすのはかなりの時間がかかります。
組み込んだ時に内部部品が強く押し付けられて首振りに抵抗感が生じることが多いので、首振りの抵抗感が同じ程度になるように調整し、滑らかで引っかかりがないよう微調整が必須です。
つけていただいたセンターベアリング交換も行っていきます。長年支えた重みでゴムが下側に変形していました。センターベアリングは軽圧入になっていることがほとんどなので、取り外しには結構苦労をします。
非分解方式はピンなどの固定部品がないので、スパイダーの位置決めは回転中心を計測しながら位置を合わせていく必要があります。回転中心からのズレは0.01mm程度まで時間をかけて合わせて固定を行います。回転バランスを測定限界近くまで調整を行い、オーバーホール作業は完了となりました。
担当者の方からご返信をいただきました。
「プロペラシャフトは無事到着して組付けも終わりました。試運転の結果もバッチリでした。今回はファイナルO/Hと合わせての修理だったので非常に助かりました。お客様も喜んでいます。本当にありがとうございました。」
Posted at 2024/10/29 22:16:25 | |
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