今回は非常に評価が高い名車のプロペラシャフトを扱わせていただくことになりました。レストア作業を行っておられるというGT-R BCNR33型のプロペラシャフトのオーバホール作業をご依頼いただきました。
今回お悩みの問題は、高速域で振動があり、ユニバーサルジョイントの首振りに大きめのカクつきがあるとのことでしたのでそのあたりを頭に置いた作業を行っていきます。
シャフトが送られてきましたので状態確認していきます。
一見した状態はとてもよく、10万km程度の走行距離だったということでサビなどは見えません。パイプ部のヘコミもなく年式を考えるととても良い状態に見えました。
バランスウエイトは大きな重りの上にさらに重ねて貼り付けられており、工場でも苦労した様子がうかがえます。ただGT-Rのプロペラシャフトはこのような状況のものが多くみられるような印象があります。
いよいよジョイント部を開腹していきます。内部のグリスはいくぶんマシな泥のような状態でした。内部のボールの隙間にあまりグリスがなかったことから、遠心力の影響もあるとは思いますがグリスの劣化も進んでいるのでしょう。
二か所の等速ジョイントを外して徹底的に洗浄していきます。
ユニバーサルジョイントも一か所使われていますが、ここはカシメによる非分解方式になっています。強いカクつきが出ていたところです。外して徹底洗浄し、高性能グリスを詰めて組み立てていきます。固定ピンがないので回転中心出しを手作業で合わせていく必要がありますが、0.01mm以下の振れを目ざし時間はかかりますがじっくり調整します。
スパイダー内部に充填するグリスは、耐熱、耐水、高荷重などの性能に優れた潤滑性能の高い高性能グリスです。こうした一連の作業のおかげでもともとあったカクつきは一切なくなり、いくらでもコネコネしていたくなる滑らかな首振りとなりました。
等速ジョイントを組みつけていき、こちらにも高性能グリスを潤沢に詰めていきます。
大きくて重ね貼りされていたバランスウエイトを除去しますが、下はしっかりさびていましたのでこちらもみがいてサビが進行しないようにしておきます。
各軸をそれぞれ回転バランス調整を行い、測定限界近くまで調整して振動低減を行って完成軸となりました。
レストア作業が進んでから装着となるようでしばらく時間がかかるそうですが、どのような走り心地に変貌するか楽しみです。
Posted at 2024/06/09 22:43:50 | |
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