CFRP(カーボン)製プロペラシャフトの振動が大きいというご相談をあるメーカーからいただきました。
エンジンとギヤボックスの位置が別々になっていて、駆動軸というよりもエンジンが発生した回転をギヤボックスに伝える伝達軸として使用するんだそうです。
開発途中だそうで実験の意味合いが強いようです。
ジャダーや振動が大きくあらわれるそうで、軸のアンバランスが問題ではないかと疑われていました。
しかしカーボンは溶接ができない素材なので、バランスが取れるのか、重りの固定はどうするのかが問題です。
シャフトが送られてきました。
軽くて驚きました。紙の筒みたいに軽いです。
フランジはアルミ製で三つ又になっていて、ユニバーサルジョイントはなく、CFRPパイプに圧入と接着剤でしっかり固定されていました。
イギリスの製品らしく、レース用だそうです。
このフランジ用の治具を製作し、アンバランスを計測してみました。
残念ながらレース用といわれていてもあまりよくなかったですね~
18g超もアンバランスがありました。
18gのアンバランスがある軸を8000rpmで回転させると、遠心力は45kgにもなるようです。
エンジンも大きく揺れるわけですね。
エンジン直結に使われる軸なので、かなりの高速で回転しますからアンバランスは少ないほどスムーズな回転が実現できます。
バランス修正をして残留アンバランスを0.6gまで低減しました。
溶接ができない材料のために考えたやり方でバランスピースの固定をして仕上げました。
独自のノウハウです 笑
カーボン、アルミなどに適用できます。
納品をしたところ、ジャダーと振動は大幅に削減され、車体の振動や内装のビリツキが非常に低減されたという報告をいただきました。
軸の振動は室内騒音にも大きくかかわっているようです。
これからカーボンなどの異種素材も依頼できて助かると喜んでもらえました。
いい結果になって良かったです。
Posted at 2015/12/30 10:39:47 | |
トラックバック(0) |
自動車部品 | クルマ