Z31 フェアレディーZを大事に乗られている方からプロペラシャフト故障で相談をいただきました。
すでに生産中止になっているプロペラシャフトだそうですが、スパイダーにガタが出ているものの非分解方式のため交換ができず大変困っているが、オーバーホールは可能かという内容でした。
このところAE86のプロペラシャフトをリビルドした記事を投稿したことがあるのでそれを見てくださったのかもしれません。
乗用車のプロペラシャフトは非分解方式がほぼ100%を占めるといわれています。
カシメといわれる方法で抜け止めが施されていて、スナップリングのようなもので交換できるようになっていません。
無理に外すとツメが折れてなくなり、軸芯を保持できなくなるので回転軸としての機能が果たせなくなります。
寸法をはかってもらってスパイダーメーカーに相談したところ、ニッサン用として設定されているスパイダーがあるということで似た寸法のものを提案をしていただき、納品までに1か月かかりましたが手元に新品ジョイントがきました。
早速依頼品の作業に入ります。
デフ側は封入グリスが機能しているようで比較的スムーズに動きますが、ミッション側がひどい状態でした。
手では動かなくなっており、外してみたところ内部はグリスがなくなりサビだらけでした。
非分解方式の軸はスパイダーの交換が前提とされていないので、スムーズな分解ができるような寸法設定になっていません。
形を残して分解することは至難の業です。
ミッション側
デフ側
軸芯を合わせていくのも治具が必要ですが、かなり追い込めて0.1mm以内で合わせる努力をしています。
抜け止めももちろん施して軸芯を維持できるよう固定します。
回転バランスをとって振動を最小限にし、ついに完成しました。
ほかの仕事そっちのけで頑張ってしまいました。
ジョイントがびっくりするほど軽く動くようになり、動きの抵抗感が全然なく組みあがりました。
早速装着されたそうで、大変うれしい感想を送ってもらえました。
「申し分無い仕上がりです。走り出した瞬間に体感出来ました。
アクセルの踏み方の強弱時のブースト圧、空燃比それぞれの値の変化でのトルクの伝わり方の微妙な違いがはっきりと分かるようになりました。
どの回転域でもエンジンが直にタイヤを回している感じです。 異音、振動もなく大変気持ちよく乗れます。プロペラシャフトと言う部品の重要性を認識させていただきました。 」
非分解方式のシャフトの入手が生産中止でできなくなる可能性も高いので、リビルドの技術はさらに重要になっていくかもしれません。
再生技術の確立にこれからも努力を重ねたいと思います。
Posted at 2016/11/23 10:22:30 | |
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