自動車用のプロペラシャフトではなく船用だけど見てくれるかというお尋ねをいただき、お預かりすることになりました。
まずは全体を観察します。
両端のフランジは自動車用と酷似していて、伸縮部分はランクルみたいな感じでした。
パイプ部分は細めのものを使っているようでしたが、特にヘコミなどはありませんでした。
船用ということで海水から守る目的だろうと思いますが、塗装が厚めになっている雰囲気を感じました。
自動車用ではまず見られないラベルもつけられていました。
印象的だったのは私の身長よりちょっと短いくらいで全長がとても長く、回転バランスを取られているのかいないのか、ウエイトはまったくついていませんでした。
オーナー様によれば、特定のエンジン回転数で船がプロペラシャフトが原因で船が大きく振動するという症状があるそうです。
30年以上たっている船らしいので原因はほかにもあるかもしれませんが、回転バランスの問題かもしれないということで作業を行ってみることにしました。
作業を行う前にスパイダーも心配だということで、そちらも外して点検しました。
軸部には筋がつき、長年強いネジリの力がかかっていたことが伺いしれます。
あまりグリスの性能やグリスアップの頻度の問題があったのかもしれません。
純正部品としてこのスパイダーを購入すると自動車用の比ではなく高価だそうで、多少問題出ても簡単に交換できないそうです。
それで今回は高性能グリスに助けてもらうことにします。
最近発売されたとても高性能のグリスを購入したとオーナー様からお預かりしたのでそれを用いて組み立てました。
防錆、防水、超極圧の環境下で使用できるということでかなりそそられます。
色が茶色で劣化がわかりにくいのが欠点だと感じましたが、耐久性能はかなり高いとメーカーさんに確認しました。
計測台に装着するための治具を製作して回転させてみます。
純正状態ではやはりかなり振動が多く、伸縮部分のところで大きめの振れも見られました。
計測したところ0.65mmも触れていたので、この振れを0.1mmほどに修正してから再度バランス修正に挑みます。
結果は両端とも35gほどのウエイトがつき、なぜメーカーは回転バランスを取らなかったんだろうかといぶかる結果でした。
見にくいですが非常に大きなウエイトになりました。

これで良しとしたところは触っても震えている感触は極小になりましたので、実機に装着時はどんな結果になるか興味津々です。
冬の間は陸に上げておいて春にならないと試運転ができないそうなので、結果をお聞きできるのはしばらく先になるとのことで、どんな結果になるか戦々恐々とした気持ちがしばらく続きそうです。
Posted at 2022/02/09 00:11:17 | |
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