番外編作っちゃいました。
THS II の仕組みを説明した上で、マルチステージハイブリッドの魅力を伝えたくて💦
さて、少し戻って「
その2」で話した内容のおさらいです。
15代目クラウン(AZSH20)のトルクについてです。
モーターが 300N・m でエンジンが 221N・m なのに、低速時のトルクは 341N・m 相当しかないんです。これが THS II の欠点で、どれだけ大きいエンジンを積もうがモーターが弱いと発進がもっさりするんです。
これを解消するためにできたのがマルチステージハイブリッドなんです。
マルチステージハイブリッドとは
まず、従来の THS II をおさらいしましょう。
エンジン、プラネタリーギア、ジェネレーターがあって。モーターにリダクションギアが備わっています。
実は、このリダクションギアの場所がモーターにしかないので、極端な話をするとエンジンは常にトップギア!みたいな漢(おとこ)仕様になっています笑
そりゃ低速時に弱いですよ。。。
じゃあマルチステージハイブリッドの構造です。
リダクションギアが4速に進化し、エンジンとモーターをあわせた後に設置されています。これならエンジンにも変速が付いて加速が良くなりそうです。
低速トルクはどれだけ変わるの?
もう速度を出すのが面倒なので、トルクだけ求めちゃいます。
自分が乗っている15代目クラウン 3.5L モデルがもし THS II のままだったら?という条件です。
エンジン出力: 220kW / 6,600rpm
エンジントルク: 356N・m / 5,100rpm
モーター出力: 132kW
モータートルク: 300N・m
トルク配分は
Tg = (ρ / (1 + ρ)) * Te = 0.2778 * Te
Tr = (1 / (1 + ρ)) * Te = 0.7222 * Te
でしたね。思い出しました。。。
ジェネレーターには 99N・m 配分され、出力には 257N・m が配分されます。
このときジェネレーターが 13,500rpm だとすると 140kW 発電してることになります?本当?140kW のモーターは大きすぎる気がするので、3.5L モデルのジェネレーターはもっと回転数低いかもです。(多分)
ジェネレーターの回転数はさておき、モーターはバッテリー供給を使って 100% 出せると仮定すると、300N・m 出てるはずです。
モーターの変速比は 3.9 と仮定するとモーターからは 1,170N・m が出力されます。つまり、トランスミッションからは 1,170 + 257 = 1,427N・m 出ていることになります。
1速の変速比をリダクションギアと同じ 3.9 と仮定すると、1,427 / 3.9 = 366N・m になりますので、低速時に 1,427N・m、366N・m 相当のトルクになります。
じゃあ次、マルチステージハイブリッドの場合です。
計算式は同じでモーターのリダクションギアがなくなったので、モーター+動力分割機構から出力されるトルクは 557N・m になります。
マルチステージハイブリッドの1速の変速比は 3.538 ですので、低速時に 1971N・m、557N・m 相当のトルクになります。
つまり同じエンジンとモーターでも、3.5L NA から 3.5L ターボになったとか、5.0L NA になったようなトルクアップを感じることができるんです(低速時)。
だから LC500h は 5.0L NA のような低回転トルクが出るので(実際の出力は4500cc程度しかないけど)、500h って名前にしたという話を聞いたことがあります。

(Previous transmission が 1,300N・m くらいまでしか無いの、旧システムのモーターが 275N・m だからですね)
実は最高出力が使える速度も変わる
変速が入ることで低速トルクが増えるんですが、実は最高出力が使える最高速も下がることで使える領域も増えてるんです。計算してみましょう。
22クラウンの 3.5L モデルで計算してみます。
タイヤサイズは 225/45R18(外周 2.073m)、減速比は 3.357 です。
トランスミッションの回転数を車速に変換する式は。。。
車速km/h = nr / 3.357 * 2.073 * 60 / 1000 = nr * 0.03705
最高出力は 6,600rpm、ジェネレーターは 13,500rpm ですので、回転数の回転式より...
ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne
0.3846 * 13500 + nr = 1.3846 * 6600
nr = 3946rpm
これに変速機が付きます。変速機のギア比は 3.538、1.888、1.000、0.650 となります。
3.538 のとき最大出力の出せる速度は...
3946 / 3.538 * 0.03705 = 41km/h となります。
※マルチステージハイブリッドの発表会では 60km/h から使えるとの説明だったので、LC500h 基準で逆算するとジェネレーターの最高回転数は 8,000rpm 程度かもしれません。。。
とはいえ従来の THS II と同じだった場合は、この計算式だと 146km/h になるので、それより低く(1 / 3.538)なるのはおわかりいただけると思います。
まとめ
従来の THS II と違って低速時のトルクがかなり上がっているので、加速感がかなり向上するんじゃない?と期待してマルチステージハイブリッドを購入しました。
実際クラウンアスリートハイブリッドと比べてもだいぶ印象が変わりましたね。
ほんと買ってよかったと思っています(*´∀`*)
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2023/10/09 20:35:53