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2024年05月04日 イイね!

マルチステージハイブリッドに2年乗って

マルチステージハイブリッドに2年乗ってこのクラウンに乗って、はや2年になりました。
このクラウンは、一般的な THS-II の電気式 CVT とは違うマルチステージハイブリッドトランスミッションが付いています。
前回のブログは半年での話でしたが、今回2年乗って改めて違うと感じたところをおさらいしていこうかなと思います。

1.普段から有段変速である
alt
実はアクセルの踏み方次第で、今までの CVT のような無段変速やステップ AT のような有段変速を切り替えることができるのをつい最近知りましたが、普段の踏み方だと基本有段制御になります。

自分の踏み方(エコゾーンの最大値)で変速タイミングを測ってみたところ、かなりクロスレシオでした。
※括弧が疑似的なギアで、二重括弧が機械式なギアです
※速度メーター上の数値なので、実際の速度は1割減らして考えてください(自分の個体は速度誤差が10%でした)
 〜16km/h (2) 〘1〙
16〜25km/h (3)
25〜31km/h (4) 〘2〙
31〜38km/h (5)
38〜47km/h (6)
47〜55km/h (7) 〘3〙
55〜63km/h (8)
63〜82km/h (9)
82km/h〜  (10) 〘4〙

自分でもびっくりしましたが、約 60 km/h で9速に入ります。
いやいや、狭すぎでしょ (;´Д`)
9速と10速だけがちょっとワイドです。
ちなみに10速は CVT 制御なので、高速道路巡航時は回転数が低いです。100 km/h でも 1,000rpm です。

2.エンジン始動時は割とうるさい(時もある)
動き出すときはモーター走行で、しばらく経ってからエンジンが掛かるんですが、その回転数が割と高いときがあります。
それもそのはず、先述した通り有段ギア制御なので速度などで始動時の回転数が決まるのです。
普通に踏むと20km/hくらいで始動するんですが、これが中途半端に回転数が高いところ…
その前後の16km/hや30km/hとかで始動させると低い回転数で綺麗につながるので、試してみてください!始動するかどうかはバッテリー残量やアクセルの踏み方によりますけど (*´艸`*)

3.回生ブレーキが有段変速である
alt
マジです、ブレーキにギアチェンジがあります笑
エンジンブレーキの様なイメージを浮かべてもらえるといいんですが、違和感ありありです。
しかもエンジンブレーキってギアダウンするとより減速しますが、回生ブレーキってギアダウンすると減速しにくくなります ꉂ(ˊᗜˋ*)𐤔𐤔
上の図のように、モーターは回転数が少ないと回生力が増えますが、ギアダウンして回転数が上がると回生力が下がるためです。乗ったら分かるかもしれません💦

一定速度で減速させるのは慣れるまで難しいので、停止線直前で踏む量増やしたりしちゃいます…
今は結構慣れましたけど

4.低回転トルクが弱いモーター制御
alt

モーターって大体低速域で最大トルクが出て、速度が上がるとだんだんトルクが細くなるんですが、このマルチステージハイブリッドは全くモーター感の無い制御です。
なんでかって、低回転領域でトルクをワザと下げてるんですから (;´Д`)
暖気運転の時はエンジンは空回ししてるだけでモーター走行のみなので分かりやすいんですが、機械的にギアアップしてないのに速度が上がるとモータートルクが段付きで下がるんです。そのまま加速していくと今度逆にトルクがグググッ!っと上がっていく感じ。まじでNAエンジンの様です。
このようなモーター制御は聞いたことありません、モーターがエンジンの様な制御をしています。一方でアクセルを踏み込むとよくあるモーターらしいトルクになります。多分普段使いのところはエンジンに似せて作ってるんだろうなぁ…

5.下り坂は回生ブレーキを使わない
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これだけでハイブリッドのメリットを半分くらい潰してるんじゃないかと思うんですが、下り坂は強制エンジンブレーキです💦
60km/h 以下をキープして EV モードで下っていくクセが付いてしまいました笑
EVモードだとエンジン始動しませんし、60km/h 以下なら解除されません。バッテリー残量が少ないとEVモードに入りませんが、そのときは下り坂に差し掛かるまでMTモードにして強制充電しています笑

5.一番静かに加速できるのは ECO ゾーンではない
altこれ最近知ったのですが、インジケーターの ECO 内で走ればエンジン回転数が低く静かに走れるって思うじゃないですか💦
実はそれが違うという事実を知りました(;´Д`)
3,500cc の 8GR エンジンって意外と静かなんですよね。普段走っててもエンジン音よりもモーター音が煩くて耳障りな感じなんです。で、ECO ゾーンで走ってると、モーターが積極的に充電するみたいで『ミューーーン』みたいな音が結構聞こえてきます。FR だとシフトレバーの下あたりにモーターがあるので、そのせいですかね🤔

で、ECO を超えてPWR の1つ目か2つ目くらい?針が真上程度くらいの部分で加速すると、不思議とそのモーター音が小さくなるんですよね。ほんと素の GR エンジンの音を聞いてる感じ。
ここの領域ほんとオススメです😳
(少し踏む量が増えるのでモーターがあまり充電しないとかなんでしょうか🤔)
エコモードでアクセル半分くらいですが、軽自動車 NA のベタ踏みくらいの加速するので、人によっては早すぎる!って感じるかもしれませんが…

ちなみにこのクラウンでベタ踏みするとエンジンも賑やかですが、モーターも駆動しようと積極的に動いてこれまた『ミ"ィィィィン』って凄い音するので、これはちょっと紳士的ではありませんね😅

総括.
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このパワートレインに触れて2年経ったんですが、どうやらこれは純ガソリン車を意識して作られた制御だなと思いました。
普通に踏むとステップATみたいになるし、坂道はエンジンブレーキになるし…
やはり LC500h 向けに作られたんだなぁと感じられる部分がたくさんあります。
逆にこの“純ガソリン風“な制御が人によっては“不自然さ“に感じられるのも事実で、万人にオススメできるものではありませんが、少なくともハイブリッドがいいけどCVTは嫌だ!って人には少しおすすめ度は上がるかもしれません。

おまけ.マルチステージハイブリッドを CVT みたいに走らせる
alt
おまけです、1で基本有段だが CVT っぽく走らせることもできるって話です。実はハイブリッドシステムインジケーターを参考に踏み方を変えると無段変速っぽく加速していくことが可能です (*´艸`*)
さて、この踏み方の場合はステップATの制御が変わり、以下の速度域でギアチェンジが行われます(仮想ギア制御は無くなるので物理ギアのみ記載)
 〜20km/h〘1〙
20〜40km/h〘2〙
40〜75km/h〘3〙
75km/h〜 〘4〙
この速度域でCVT制御できるインジケーターの上限が変わるようです。

《1速のとき》
画像のインジケーターの『1』を超えないように加速します。要するに(バッテリー残量がある場合) EV モード走行ですね、基本エンジンは稼働しません。

《2速のとき》
画像のインジケーターの1と2の間、つまり『1.5』を超えないように加速します。まーゆっくりです、トラックやバスみたいな加速です笑

《3速のとき》
40km/h になると入るんですが、ここから『2』まで使っても CVT 制御のままになります。意外とここまで出力が出せるようになると回転数が低くてトルクを感じられます。無段変速ってすごい!
ただし、このまま75km/hまで加速するのはまぁ厳しいと思います笑

という感じで踏んでいくと、ずっと1,000rpmで加速していけます。いい感じです。ただし、どうしても機械変速があるので若干のトルク変動はあります。逆にインジケーターの上限が切り替わったタイミングがよく分かるので、これはこれで便利です🤣
マルチステージなクラウンをお乗りなら試してみてください (*´艸`*)
前にトラックが走ってるとき、加速がゆっくりでこれを知ったので、GWS224 に乗ってる方はすでに知ってるかもしれませんね。

2.5L マルチステージハイブリッドが搭載されてるクラウンセダンにも使えるかは分かりません🤫
Posted at 2024/05/04 13:18:15 | コメント(5) | トラックバック(0) | 日記
2024年04月30日 イイね!

重量級ハイパワーセダン

重量級ハイパワーセダンハイパワーセダンが欲しい人は必見
その割に燃費はめちゃくちゃいいので、コスパの観点からもオススメです

ただ、大半の人はここまでパワーいらないのでは?と思ったりはします
(*´艸`*)
Posted at 2024/04/30 08:44:44 | コメント(1) | クルマレビュー
2023年10月10日 イイね!

THS II の仕組みと計算方法(番外編:マルチステージハイブリッド その2)

THS II の仕組みと計算方法(番外編:マルチステージハイブリッド その2)前回の番外編でも軽く触れましたが、ジェネレーターが大きすぎる気がするのでマルチステージハイブリッド向けに再計算してみようと思います。

おことわり
これらの内容には非公開情報を仮定して求めている箇所がいくつもあります。
実際には異なる可能性があるためご注意ください。

計算式も忘れないように書いておきます。
プラネタリーギア比 ρ = 0.3846
トルクの分配は

Tg = (ρ / (1 + ρ)) * Te = 0.2778 * Te
Tr = (1 / (1 + ρ)) * Te = 0.7222 * Te

回転数の関係式は

ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne

ジェネレーター回転数

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マルチステージハイブリッドの説明会で話されてた、従来のトランスミッションは最高出力を 120km/h 以上でしか出せなかったが今回は 60km/h で出せるようになった。というセリフから紐解いてみます。
その時 LC500h でしたので諸元表は以下のとおりです。

エンジン出力: 220kW / 6,600rpm
エンジントルク: 356N・m / 5,100rpm
モーター出力: 132kW / 4,202rpm以上
モータートルク: 300N・m / 0-4,202rpm
減速比: 3.357
ギア比: 3.538 / 1.888 / 1.000 / 0.650
タイヤサイズ: 275/35R21 (外周は 2.280m)

まず時速 60km/h のときトランスミッションの回転数は 60 * 1000 / 60 / 2.280 * 3.357 = 1,472rpm です。
このときギアは1速ですので、リングギアは 1472 * 3.538 = 5208rpm です。
エンジンは最高出力の 6,600rpm で回っているので、回転数の関係式を用いると

ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne より
0.3846 * ng + 5208 = 1.3846 * 6600
0.3846 * ng = 3930
ng = 10,219rpm となります。

つまり、マルチステージハイブリッドのジェネレーターの最大回転数は概ね 10,000rpm であることがわかります。

マルチステージハイブリッドのシステムトルクとその速度

ジェネレーターの最大回転数が分かったところで、システムトルクの出る速度はいくつなんでしょうか。計算してみましょう。
ここから22クラウン 3.5L モデルを参考に考えてみます。
なお、22クラウンは LC500h と比べても減速比までは全く同じでした。唯一タイヤサイズが小さくなっているだけです。タイヤサイズだけ小さいということは、LC500h よりも加速寄りの調整になっているということです。(車体も軽いし加速寄り、そりゃ LC500h よりも22クラウンの方が早いわけです💦)

まずトルク配分です。
エンジンから最大トルクが出力されているとすると以下の配分になります。

Tg = 0.2778 * Te = 98.9N・m
Tr = 0.7222 * Te = 257.1N・m

つまりジェネレーターに 98.9N・m が分配され、回転数は 10,000rpm ですので発電量は 104kW となります。
マルチステージハイブリッドのシステム出力は 264kW ですので、バッテリー供給は最大 44kW と推測できます。発電量とバッテリー供給を合わせると 132kW のモーターはフル稼働できています。

ちなみに22クラウンのタイヤサイズは 225/45R18 です。(外周は 2.073m)
トランスミッションの回転数を速度に変換する式は...

速度km/h = 回転数 / 3.357 * 2.073 * 60 / 1000 = 0.03705 * 回転数
となります。

さて、最大トルクが出る 5,100rpm でエンジンが回り、ジェネレーターは 10,000rpm で回ってるとします。回転数の関係式を用いると...

ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne より
0.3846 *10000 + nr = 1.3846 * 5100
nr = 3215rpm となります。モーターの最大トルク発生回転数は諸元表より 4,202rpm 以下ですので、モーターも最大トルクを出すことができています。

これを各ギアで求めると以下の速度になります。
1速のとき、3215 / 3.538 * 0.03705 = 34km/h
2速のとき、3215 / 1.888 * 0.03705 = 63km/h
3速のとき、3215 / 1.000 * 0.03705 = 119km/h
4速のとき、3215 / 0.650 * 0.03705 = 183km/h

トルクは発進時に一番出したいので、34km/h あたりが一番分かりやすいかもしれません。その時のシステムトルクは、分割された 257.1N・m とモーターを組み合わせると約 557N・m 相当になります。

マルチステージハイブリッドの出力特性

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さて次に出力について考えてみます。
LC500h だと 60km/h で最高出力でしたが、22クラウンではいくつでしょうか?計算してみましょう。

ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne より
0.3846 * 10000 + nr = 1.3846 * 6600
nr = 5292rpm となりますので...
1速のとき、5292 / 3.538 * 0.03705 = 55km/h となります。つまり 55km/h 以上で最高出力を出すことができます。

次にトランスミッションの理論上効率100%になる速度を求めてみます。
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マルチステージハイブリッドに1年半乗った感覚としては、高速道路は常に1,000rpmちょっとで巡航できていますので、1,100rpm として試算してみます。

回転数の関係式 ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne より、ジェネレーターが 0rpm になる速度を求めると
nr = 1.3846 * 1100 = 1523rpm になります。

これを各ギアで求めると以下の速度になります。
1速のとき、1523 / 3.538 * 0.03705 = 16km/h
2速のとき、1523 / 1.888 * 0.03705 = 30km/h
3速のとき、1523 / 1.000 * 0.03705 = 56km/h
4速のとき、1523 / 0.650 * 0.03705 = 87km/h

これを見ると、メーター読みで概ね 60km/h や 95km/h 付近で走行するのが最も効率のいい速度域のようです。22クラウンのセッティング、完全に日本に合わせていますね!

ちなみに LC500h / LS500h のタイヤサイズは 245/50R19 や 275/35R21 ですので、外周は 2.280 になります。
トランスミッションの出力回転数を速度に変換するのは
速度 km/h = 回転数 / 3.357 * 2.280 * 60 / 1000 = 0.04075 になります。

22クラウンと同じように各ギアで求めると以下の速度になります。
1速のとき、1523 / 3.538 * 0.04075 = 18km/h
2速のとき、1523 / 1.888 * 0.04075 = 33km/h
3速のとき、1523 / 1.000 * 0.04075 = 62km/h
4速のとき、1523 / 0.650 * 0.04075 = 95km/h

まとめ

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マルチステージハイブリッドでは低速時のトルクが 1.5 倍になっている以外にも、トランスミッションの効率が理論上100%になる点が4箇所に増えることで、全域に渡って燃費向上を図っているのも特徴です。特にオーバードライブのギア(4速、0.650)を追加することで、THS II が弱い高速域の燃費向上を目指したみたいですね。

THS II と比べて低速時の加速が上昇したのに、トランスミッション効率が上がって燃費も向上しているのは嬉しいなと思っています(だからマルチステージハイブリッドが気になって乗ってる)。
Posted at 2023/10/10 16:39:17 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2023年10月09日 イイね!

THS II の仕組みと計算方法(番外編:マルチステージハイブリッド)

番外編作っちゃいました。
THS II の仕組みを説明した上で、マルチステージハイブリッドの魅力を伝えたくて💦

さて、少し戻って「その2」で話した内容のおさらいです。

15代目クラウン(AZSH20)のトルクについてです。
モーターが 300N・m でエンジンが 221N・m なのに、低速時のトルクは 341N・m 相当しかないんです。これが THS II の欠点で、どれだけ大きいエンジンを積もうがモーターが弱いと発進がもっさりするんです。

これを解消するためにできたのがマルチステージハイブリッドなんです。

マルチステージハイブリッドとは

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まず、従来の THS II をおさらいしましょう。
エンジン、プラネタリーギア、ジェネレーターがあって。モーターにリダクションギアが備わっています。
実は、このリダクションギアの場所がモーターにしかないので、極端な話をするとエンジンは常にトップギア!みたいな漢(おとこ)仕様になっています笑
そりゃ低速時に弱いですよ。。。

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じゃあマルチステージハイブリッドの構造です。
リダクションギアが4速に進化し、エンジンとモーターをあわせた後に設置されています。これならエンジンにも変速が付いて加速が良くなりそうです。

低速トルクはどれだけ変わるの?

もう速度を出すのが面倒なので、トルクだけ求めちゃいます。
自分が乗っている15代目クラウン 3.5L モデルがもし THS II のままだったら?という条件です。

エンジン出力: 220kW / 6,600rpm
エンジントルク: 356N・m / 5,100rpm
モーター出力: 132kW
モータートルク: 300N・m

トルク配分は

Tg = (ρ / (1 + ρ)) * Te = 0.2778 * Te
Tr = (1 / (1 + ρ)) * Te = 0.7222 * Te

でしたね。思い出しました。。。
ジェネレーターには 99N・m 配分され、出力には 257N・m が配分されます。
このときジェネレーターが 13,500rpm だとすると 140kW 発電してることになります?本当?140kW のモーターは大きすぎる気がするので、3.5L モデルのジェネレーターはもっと回転数低いかもです。(多分)

ジェネレーターの回転数はさておき、モーターはバッテリー供給を使って 100% 出せると仮定すると、300N・m 出てるはずです。
モーターの変速比は 3.9 と仮定するとモーターからは 1,170N・m が出力されます。つまり、トランスミッションからは 1,170 + 257 = 1,427N・m 出ていることになります。
1速の変速比をリダクションギアと同じ 3.9 と仮定すると、1,427 / 3.9 = 366N・m になりますので、低速時に 1,427N・m、366N・m 相当のトルクになります。

じゃあ次、マルチステージハイブリッドの場合です。
計算式は同じでモーターのリダクションギアがなくなったので、モーター+動力分割機構から出力されるトルクは 557N・m になります。
マルチステージハイブリッドの1速の変速比は 3.538 ですので、低速時に 1971N・m、557N・m 相当のトルクになります。

つまり同じエンジンとモーターでも、3.5L NA から 3.5L ターボになったとか、5.0L NA になったようなトルクアップを感じることができるんです(低速時)。
だから LC500h は 5.0L NA のような低回転トルクが出るので(実際の出力は4500cc程度しかないけど)、500h って名前にしたという話を聞いたことがあります。
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(Previous transmission が 1,300Nm くらいまでしか無いの、旧システムのモーターが 275Nm だからですね)

実は最高出力が使える速度も変わる

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変速が入ることで低速トルクが増えるんですが、実は最高出力が使える最高速も下がることで使える領域も増えてるんです。計算してみましょう。
22クラウンの 3.5L モデルで計算してみます。

タイヤサイズは 225/45R18(外周 2.073m)、減速比は 3.357 です。
トランスミッションの回転数を車速に変換する式は。。。
車速km/h = nr / 3.357 * 2.073 * 60 / 1000 = nr * 0.03705

最高出力は 6,600rpm、ジェネレーターは 13,500rpm ですので、回転数の回転式より...
ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne
0.3846 * 13500 + nr = 1.3846 * 6600
nr = 3946rpm

これに変速機が付きます。変速機のギア比は 3.538、1.888、1.000、0.650 となります。
3.538 のとき最大出力の出せる速度は...

3946 / 3.538 * 0.03705 = 41km/h となります。

※マルチステージハイブリッドの発表会では 60km/h から使えるとの説明だったので、LC500h 基準で逆算するとジェネレーターの最高回転数は 8,000rpm 程度かもしれません。。。
とはいえ従来の THS II と同じだった場合は、この計算式だと 146km/h になるので、それより低く(1 / 3.538)なるのはおわかりいただけると思います。

まとめ

従来の THS II と違って低速時のトルクがかなり上がっているので、加速感がかなり向上するんじゃない?と期待してマルチステージハイブリッドを購入しました。
実際クラウンアスリートハイブリッドと比べてもだいぶ印象が変わりましたね。
ほんと買ってよかったと思っています(*´∀`*)
Posted at 2023/10/09 20:35:53 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2023年10月09日 イイね!

THS II の仕組みと計算方法(その3〘最終回〙)

THS II の仕組みと計算方法(その3〘最終回〙)
THS II の仕組みと計算方法、その3です。まずは「その1」「その2」を先にご覧くださいませ。

ジェネレーターの役割について

ジェネレーターって結構重要ですよね。車速とジェネレーターの回転数によってエンジンの回転数が決まるわけですから。
では、具体例を挙げてジェネレーターがどういう働きをしているか説明していきます。

発進時、加速時の動き

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発進時はタイヤが動いてませんよね、ということはトルクは均等に配分されたとしてもジェネレーターの方が多く回ることになります。つまりモーターがほとんど頑張ってることになるので、モーター出力が低かったりジェネレーターの発電量が少なかったりすると、エンジン回転数だけが上がって加速が追いついてこない「ラバーバンドフィール」になりがちです。最近の THS II ではモーター出力が上がったり上手く制御したりと、だいぶん解消されてきたという話を聞きます。

で、話をもとに戻すと。。。
ジェネレーターはエンジンの狙った回転数まで発電を控えめにし(トルクがかからないので、エンジンの回転数が勝手に上がっていく)、狙った回転数で発電を行います
このとき、動力分割機構で配分されたトルクとジェネレーターの発電トルクが一致すると、エンジン回転数がそこでキープできます。(厳密には車速が上がっていくので、トランスミッション出力側の回転数も見ないといけない)。

つまり、雑な言い方をするとジェネレーターの発電量でエンジン回転数の制御を行っているわけです。
マニュアルモードでギアアップしたときなんか、ジェネレーターの発電量を一時的に増やすことでエンジン回転数を落としてますから(トルクが急にかかるのでエンジン回転数が下がる)。

回生ブレーキ、EV での加速の動き

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次に減速時の動きです。エンジンは止まって回生ブレーキが行われる状況とします。
回転数の関係式を見てみましょう。

ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne

エンジンが停止しているため、関係式は以下のようになります。

ng = -nr / ρ

つまりジェネレーターは逆回転してることになります。
ここでジェネレーターが発電し始めるとエンジンが回ってしまうので、空転しているだけになります。
なので、回生ブレーキはエンジンを停止、ジェネレーターは空転しつつ、モーターが発電しています。これは回生ブレーキにとどまらず、EV での加速も同じ状態です。

エンジン直結モード

THS II の構造を眺めてると必ずジェネレーターが挟まるから、高速走行時の効率が悪くなりそうと思われるかもしれません。実は速度によっては話が変わってくることもあります。
では、再び回転数の関係式を眺めてみましょう。

ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne

この式を見るとジェネレーターの回転数が0になるタイミングがありそうです。
そう、つまりジェネレーターが回らないということは、エンジンがそのままタイヤに動力を伝えてる、理論上効率100%になる場所があるんです。
alt

※この図はマルチステージハイブリッドなので、理論上100%になる場所が4点あります

では、その点がどこにあるか計算してみましょう。
お得意の22クラウンです。

タイヤサイズや減速比を考えると、トランスミッションの回転数を車速に変換する式は以下のようになります。

車速km/h = nr / 2.937 * 2.073 * 60 / 1000 = nr * 0.04235

これをエンジン回転数に置き換えると…

nr = (1 + ρ) * ne なので
車速km/h = ne * 0.05864

じゃあ、高速道路を 1,300rpm くらいで巡航してるときの効率のいい速度はというと
1300 * 0.05864 = 76km/h
になるわけです。

メーター誤差も含めると、大体 80km/h 付近で走ってるのが THS II の一番効率のいい場所ってことになります。
みたいですよ!22クラウン乗りの方(*´艸`*)

番外編、エンジンブレーキ

回生ブレーキでバッテリーが満タンになってしまったらどうでしょうか?ブレーキが弱くなる?
実は THS II ではバッテリーが満タンになってしまうとエンジンが動き出して、エンジンブレーキに切り替わります。そうじゃないと長い下り坂ではブレーキが焼けてしまいますもんね。。。

先程ちらっと答えを言いましたが。そう、ジェネレーターが発電するとエンジンが回転し始めるんです。え、バッテリーが充電できないのに発電できる?そう、そこがポイントです。

実は、回生ブレーキと同じようにモーターで発電しています。で、その電力はバッテリーに入らないのでジェネレーターに渡します。ジェネレーターは受け取った電力で逆回転を抑える方向のトルクを発生させ、エンジンを空回転させるんです。(充電じゃなく放電して回転数を抑える無駄な動き💦)
これがエンジン車と全く同じエンジンブレーキです。もちろんエンジンを回すのはジェネレーターの電力などですから、ガソリンを消費することもありません。

まとめ

ジェネレーター(とモーター)って結構重要です。
基本的に使われているモーターは同期モーターですので、今の回転数が明確にわかります。ということは、発電してみるとモーターに掛かっているトルクや出力まで分かることになります。
動力分割機構は均等にトルクを配分しているので、ジェネレーターはエンジン回転制御のみでなく、エンジントルクの計測にも使えるんです。アクセルを一定に踏んだときエンジントルクが一定になるように、ジェネレーターが計測したトルクから制御することでスムーズな加速に寄与しています。

また、エンジンブレーキの項目でも軽く触れましたが、車速が分かっている(モーターが計測)のでどれくらいジェネレーターを回せばエンジンがどの回転数で回るかは計算することができます。
ハイブリッド車のエンジン始動がガソリン車と違って静かなのは、このジェネレーターの制御によるものが大きいと思います。

〜おわり〜

追記
マルチステージハイブリッドの魅力を伝えたくて番外編作っちゃいました(*´艸`*)
Posted at 2023/10/09 12:49:14 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ

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「走るほど楽しいトランスミッションとV6エンジン http://cvw.jp/b/2785274/46939546/
何シテル?   05/07 07:27
ベルメーゼです。よろしくお願いします。 メーカー問わず、回転数を上げずに余力ある走りが好きです! 無言フォロー失礼します 最近クラウン乗り換えました ...

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