こんにちは、機械オタクのベルメーゼです。
実は THS II は結構興味があって、とことん調べつくした結果マルチステージハイブリッドに興味を持って、わざわざ3.5Lの22クラウンを購入したわけなんですが。もしかしたら THS II の調べた内容、需要あるんじゃないかと思ってチマチマ書いていこうと思います。。。
もし誰かの疑問が解決出来たらいいなぁと思ったり、思わなかったり。。。
THS II の仕組み
THS II っていわゆるシリーズ・パラレルハイブリッドと呼ばれる仕組みで、e-POWER のようにモーターのみでも走行できるし(シリーズ式)、エンジンを主体としてアシストもできるし(パラレル式)、両方の特性を備えているのが特徴です。
他の仕組みと呼び分けるためにスプリット式と呼ばれることもありますね。
THS II は、エンジンと2個のモーター(ジェネレーターとモーター)、そして動力分割機構(プラネタリーギア)を備えているのが特徴です(図のリダクションギアが無いモデルもあります)。
簡単に流れを説明すると、エンジンが出した力を動力分割機構がジェネレーターとタイヤに振り分けます。ジェネレーターが発電した力をバッテリーに充電するなり、モーターに流すなりして、モーターはタイヤへの力をアシストするという流れです。
実はこの動力分割機構が面白い働きをしていて、エンジン・ジェネレーター・タイヤの回転数が常に影響しあっているので、CVT のような働きをするんです。
タイヤの回転(=車速)が一定であれば、エンジンの回転数を上げるとジェネレーターの回転数も上がるし、エンジンの回転数が一定であれば、車速が上がるとジェネレーターの回転数が下がるという感じです。
じゃあなんでそんなことになるの?っていうのをまとめてみます。
プラネタリーギアの仕組み
プラネタリーギアはギアの歯数に応じてトルクを分割する機能があります。それと同時に回転数を変える仕組みも持っています。これはつまり出力は一定なのでトルクを上げる代わりに回転数を下げたり、逆にトルクを下げる代わりに回転数を上げることもできるということです。この特性のおかげで、今のステップATには欠かせないものとなっていますよね。(具体的な機構に関しては、調べるとたくさん資料が出てくると思うのでそちらを参考に...)
では、THS II の場合はどうなってるか。
エンジンはキャリア(プラネタリーキャリア)に、ジェネレーターはサンギアに、出力はリングギアにつながっています。
プラネタリーギア比は「サンギア歯数 / リングギア歯数」で求めることができます。
で、THS II には肝心のプラネタリーギア比が公開されていません。というわけで皆さん分解して歯数を数えてみましょう!
ってのは冗談で、2代目プリウスを分解した際に歯数が分かっていて、サンギアが30枚、リングギアが78枚、プラネタリーギアが23枚だそうです。多分今も変わってない可能性は高いと思います(制御が変わると思うので...)
となるとプラネタリーギア比は 0.3846 になります。
で、以降日本語は面倒なのでアルファベットに置き換えてもいいでしょうか。。。ここから数学です。。。
ρ = プラネタリーギア比
Te = エンジントルク
ne = エンジン回転数
Tg = ジェネレータートルク
ng = ジェネレーター回転数
Tr = 出力トルク
nr = 出力回転数
この時キャリアに入力されるエンジントルクは以下のように分割されます
Tg = (ρ / (1 + ρ)) * Te = 0.2778 * Te
Tr = (1 / (1 + ρ)) * Te = 0.7222 * Te
大体ジェネレーターに 28%、出力に 72% くらいですね。
また、回転数の関係式も書いておきます。。。
ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne
これがプラネタリーギアの特性です。じゃあこれが何の役に立てるの!?ってめちゃくちゃヤジが飛んできそうですが、ちょっと長くなりましたので次の回を用意します💦
追記
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2023/10/07 10:59:18