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2023年10月08日 イイね!

THS II の仕組みと計算方法(その2)

THS II の仕組みと計算方法、その2です。その1がまだの方は「こちら」を先にご覧くださいませ。

おことわり
これらの内容には非公開情報を仮定して求めている箇所がいくつもあります。
実際には異なる可能性があるためご注意ください。


前回のおさらいです

ρ = プラネタリーギア比
Te = エンジントルク
ne = エンジン回転数
Tg = ジェネレータートルク
ng = ジェネレーター回転数
Tr = 出力トルク
nr = 出力回転数

と置き換えて、プラネタリーギア比 ρ = 0.3846 でしたね。
トルクの分配は

Tg = (ρ / (1 + ρ)) * Te = 0.2778 * Te
Tr = (1 / (1 + ρ)) * Te = 0.7222 * Te

回転数の関係式は

ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne

となります。
ではその2開始です。

ジェネレーターの最大回転数

回転数がエンジン・車速・ジェネレーターの3つで関係してくるため、ジェネレーターの最大回転数がどれくらいなのかを求める必要があります。
最近の諸元表には載っておらず非公開のままです。ちなみに初代プリウスでは 9,500rpm と公開されていましたが、はたして今はいくつなんでしょうか。トヨタの発言から計算で紐解いてみます。。。

まずキーとなるのが、マルチステージハイブリッドの発表会で伝えられた「従来のシステムでは、エンジンの最高出力を使用できるのは車速が約120km/h以上の領域に限られていた」という言葉です。
計算してみましょう。
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まず「従来のシステム」とは、従来の V6 ハイブリッドですので、GS450h を基準に考えてみます。

エンジン出力: 217kW / 6,000rpm
タイヤサイズ: 235/45R18
減速比: 3.266

ではまず、120km/h のときトランスミッションはどれくらいの速度で回転しているか。

タイヤの外周(mm) = (235 * 0.45 * 2 + 18 * 25.4) * π = 2100mm = 2.10m
120km/h のときのタイヤ回転数(rpm) = 120 * 1000 / 60 / 2.10 = 952.4rpm
その時のトランスミッション回転数(rpm) = 952.4 * 3.266 = 3111rpm

この回転数のとき、エンジンは最大出力の 217kW を使えてるはずなので 6,000rpm で回ってることになります。
これを回転数の式に代入します。

ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne より
0.3846 * ng + 3111 = (1 + 0.3846) * 6000
0.3846 * ng = 5196.6
ng = 13,512rpm

つまり 120km/h でエンジンが最大出力出しているとき、ジェネレーターは 13,512rpm で回っていることになりますので、これが最大回転数となります。まぁ誤差もあるので概ね 13,500rpm にしておきましょう。(*´ω`*)

THS II のシステムトルク計算

THS II ってシステム出力は記載されてますが(システム出力 = エンジン + バッテリー供給)、システムトルクって記載されてませんよね。
そりゃそのはずです、だってトランスミッションが出力するトルク(変速後のトルク)しか出せないからです。でもそれでは面白くないので、変速前に無理やり換算して「相当」という表現で計算してみようと思います。

15代目クラウン(2.5L モデルのケース) (AZSH20)

何かを計算するには、まずモデルを仮設定しないといけません。
自分が乗っているクラウンとグレード違いの、いわゆる22クラウンについて考えてみたいと思います。(写真はマルチステージハイブリッドですが、そっちじゃない方)
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エンジン出力: 135kW / 6,000rpm
エンジントルク: 221N・m / 3,800-5,400rpm
モーター出力: 105kW / 3,342rpm 以上
モータートルク: 300Nm / 0-3,342rpm
システム出力: 166kW
タイヤサイズ: 225/45R18
減速比: 2.937

※諸元表にモーターの回転数表記はありませんが、定出力特性があるモーターとすればトルクと出力から求めることができます
※システム出力からバッテリー供給は 31kW と求めることができます。
※リダクションギアが備わってますので、モーターには変速比 3.9 / 1.9 を介します(マルチステージハイブリッドの資料より)

では計算していきます。まずトルク配分です。

Tg = (ρ / (1 + ρ)) * Te = 0.2778 * Te
Tr = (1 / (1 + ρ)) * Te = 0.7222 * Te

この式より、エンジンの最大トルク 221N・m は、ジェネレーターに 61N・m、出力に 160N・m 配分されます。回転数の関係式よりジェネレーターがたくさん回る方が車速が低いので、ジェネレーターは 13,500rpm と仮定します。
では、その時の車速は?トランスミッションの回転数は、回転数の関係式より以下になります。

エンジンが 3,800rpm のとき

ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne より
0.3846 * 13500 + nr = (1 + 0.3846) * 3800
nr = 69.38rpm

同様にエンジンが 5,400rpm のとき 2,285rpm です。
ただし、モーターは変速比が 3.9 のリダクションギアを介しますので、最大トルクが出せる回転数は 3,342rpm / 3.9 = 856.9rpm までです。
つまり、トランスミッションの出力が 69.38〜856.9rpm のときに最大トルクを出せることができます。これを車速に置き換えると。。。
※タイヤサイズは 225/45R18 なので、外周は 2.073m です

69.38rpm のとき車速は...
タイヤの回転数 = 69.38 / 2.937 = 23.62rpm
その時の時速 = 23.62 * 2.073 * 60 / 1000 = 3km/h

856.9rpm のとき車速は...
タイヤの回転数 = 856.9 / 2.937 = 291.8rpm
その時の時速 = 291.8 * 2.073 * 60 / 1000 = 36km/h

ちなみにその時のトランスミッションが出力するトルクは、エンジンから160N・mとモーターから300N・m * 3.9 = 1170N・m を加算した、計1,330N・mです。

なので、時速3〜36km/h のとき、最大トルクが 1,330N・m となります。
これを従来のエンジントルク相当に置き換えます。リダクションギアと同様に1速の変速比を 3.9 と代用すると 1,330N・m / 3.9 = 341N・m になります。

つまり...
時速3〜36km/h のとき、最大トルクは 341N・m 相当になる。ということです。
要するに低速時はほとんどモーターが頑張ってて、エンジンは41N・m相当しか出してないということです。

エンジン「発進頑張ります!」
モーター「おう、もっと頑張れよ」
エンジン「サーセン!!」

みたいな感じです。

ここまで説明してきて、ジェネレーターって重要だと思いません?
次はジェネレーターの役割について説明してみます。(長すぎてその3になっちゃった...)

追記
その3公開しましたー!
Posted at 2023/10/08 11:57:38 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ
2023年10月07日 イイね!

THS II の仕組みと計算方法(その1)

THS II の仕組みと計算方法(その1)こんにちは、機械オタクのベルメーゼです。
実は THS II は結構興味があって、とことん調べつくした結果マルチステージハイブリッドに興味を持って、わざわざ3.5Lの22クラウンを購入したわけなんですが。もしかしたら THS II の調べた内容、需要あるんじゃないかと思ってチマチマ書いていこうと思います。。。
もし誰かの疑問が解決出来たらいいなぁと思ったり、思わなかったり。。。

THS II の仕組み

THS II っていわゆるシリーズ・パラレルハイブリッドと呼ばれる仕組みで、e-POWER のようにモーターのみでも走行できるし(シリーズ式)、エンジンを主体としてアシストもできるし(パラレル式)、両方の特性を備えているのが特徴です。
他の仕組みと呼び分けるためにスプリット式と呼ばれることもありますね。

THS II は、エンジンと2個のモーター(ジェネレーターとモーター)、そして動力分割機構(プラネタリーギア)を備えているのが特徴です(図のリダクションギアが無いモデルもあります)。
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簡単に流れを説明すると、エンジンが出した力を動力分割機構がジェネレーターとタイヤに振り分けます。ジェネレーターが発電した力をバッテリーに充電するなり、モーターに流すなりして、モーターはタイヤへの力をアシストするという流れです。
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実はこの動力分割機構が面白い働きをしていて、エンジン・ジェネレーター・タイヤの回転数が常に影響しあっているので、CVT のような働きをするんです。
タイヤの回転(=車速)が一定であれば、エンジンの回転数を上げるとジェネレーターの回転数も上がるし、エンジンの回転数が一定であれば、車速が上がるとジェネレーターの回転数が下がるという感じです。
じゃあなんでそんなことになるの?っていうのをまとめてみます。

プラネタリーギアの仕組み

プラネタリーギアはギアの歯数に応じてトルクを分割する機能があります。それと同時に回転数を変える仕組みも持っています。これはつまり出力は一定なのでトルクを上げる代わりに回転数を下げたり、逆にトルクを下げる代わりに回転数を上げることもできるということです。この特性のおかげで、今のステップATには欠かせないものとなっていますよね。(具体的な機構に関しては、調べるとたくさん資料が出てくると思うのでそちらを参考に...)

alt

では、THS II の場合はどうなってるか。
エンジンはキャリア(プラネタリーキャリア)に、ジェネレーターはサンギアに、出力はリングギアにつながっています。
プラネタリーギア比は「サンギア歯数 / リングギア歯数」で求めることができます。

で、THS II には肝心のプラネタリーギア比が公開されていません。というわけで皆さん分解して歯数を数えてみましょう!
ってのは冗談で、2代目プリウスを分解した際に歯数が分かっていて、サンギアが30枚、リングギアが78枚、プラネタリーギアが23枚だそうです。多分今も変わってない可能性は高いと思います(制御が変わると思うので...)

となるとプラネタリーギア比は 0.3846 になります。
で、以降日本語は面倒なのでアルファベットに置き換えてもいいでしょうか。。。ここから数学です。。。

ρ = プラネタリーギア比
Te = エンジントルク
ne = エンジン回転数
Tg = ジェネレータートルク
ng = ジェネレーター回転数
Tr = 出力トルク
nr = 出力回転数

この時キャリアに入力されるエンジントルクは以下のように分割されます

Tg = (ρ / (1 + ρ)) * Te = 0.2778 * Te
Tr = (1 / (1 + ρ)) * Te = 0.7222 * Te

大体ジェネレーターに 28%、出力に 72% くらいですね。
また、回転数の関係式も書いておきます。。。

ρ * ng + nr = (1 + ρ) * ne

これがプラネタリーギアの特性です。じゃあこれが何の役に立てるの!?ってめちゃくちゃヤジが飛んできそうですが、ちょっと長くなりましたので次の回を用意します💦

追記
その2公開しました!
Posted at 2023/10/07 10:59:18 | コメント(3) | トラックバック(0) | クルマ
2023年05月07日 イイね!

走るほど楽しいトランスミッションとV6エンジン

走るほど楽しいトランスミッションとV6エンジン燃費を気にしないのであれば、街乗りでも遠乗りでも、V6の滑らかな加速を楽しめるのでニヤニヤできます。
納車までは直4よりV6の方がガサツとか、直6しか勝たんとかネットに書いてあって不安でしたけど、乗ってみると直4クラウンより断然なめらかでいいですね。直6は乗ったことないですけど。
パワーやトルクよりも、この滑らかなエンジンとダイレクト感のあるマルチステージハイブリッドトランスミッションを楽しむ方にオススメかなと思います。
Posted at 2023/05/07 07:27:37 | コメント(0) | クルマレビュー
2023年04月20日 イイね!

マルチステージハイブリッドの回転数

マルチステージハイブリッドの回転数ちょっとくだらない動画を作ってみました、お時間ある方はどうぞ(*´艸`*)


ハイブリッドインジケーターのどの部分で走ると、どれくらいのエンジン回転数になるかの動画です。
需要あるか知りませんけどꉂ(ˊᗜˋ*)𐤔𐤔

ECOゾーンの半分以下だとエンジンが掛からずEV走行になっちゃうので除外
エンジンが掛かるECOゾーンの半分以上、3/4、最大のほか、6割くらいアクセル踏んだときのエンジン回転数です

マルチステージハイブリッドに興味がある方は参考になるかもしれません(知らんけど)
Posted at 2023/04/20 21:25:08 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2023年04月08日 イイね!

車重とトルクとタイヤ幅

車重とトルクとタイヤ幅一般的に同じ銘柄でタイヤ幅を太くするとグリップが増えることは知られてると思います。
一方で、ある程度太くしても荷重が掛からなければそれ以上グリップが増えないという側面もありますよね。
あくまで個人的な話なんですが、急ブレーキのことを考えると車重に見合ったタイヤ幅が必要なんじゃないかと考えてるわけです。
車重が重いのにタイヤが細いと、荷重がかかりすぎてグリップの限界を越えすぐABSが働いたりして制動距離が伸びると考えています。
※ABSが制動距離を伸ばすわけではなく、そもそもグリップが足りてない問題
まぁ、タイヤもそんなグリップ重視のものじゃないですし(多分)

んで、本題。
自分の乗ってる220クラウンは先代よりも車重が意外と増えてるにも関わらず、タイヤサイズが一切変わってません。


 210クラウンHV アスリートS
  → 1660kg 225/45R18 or 215/55R17
 220クラウンHV Gエグゼクティブ
  → 1900kg 225/45R18

先代のタイヤ幅を215としたら、同じ面圧にするには245になりますね(前後重量配分を無視した場合)

また3.5Lハイブリッドの暴力的な加速も耐えられておらず。まぁ2.5Lモデルとタイヤが同じってのも変な話ですよね。
220クラウンの3.5Lモデルは、ガソリン車でいうと500N·m相当のトルクが低速時からあるので、乾燥路でもフル加速すると60km/hくらいまでは横滑り防止装置のライトが点滅します((´∀`*))ケラケラ

というわけで、自分が乗ってる車の一般的なタイヤって何?という話です。
車重 1900kg、出力 359馬力、トルク 500N·m あたりを条件で他メーカーの車を調べることにしました。


 ベンツ CLS450 4MATIC(4輪駆動)
  → 1970kg・367馬力・500N·m
  → 245/40R19 98Y XL(前)
  → 275/35R19 100Y XL(後)


 BMW 540i Mスポーツ(FR)
  → 1760kg・340馬力・450N·m
  → 245/40R19 98Y XL(前)
  → 275/35R19 100Y XL(後)


 Audi A6 55 TFSI quattro S line(4輪駆動)
  → 1870kg・340馬力・500N·m
  → 245/45R19 102Y XL(前後)

これくらいのサイズの日本車セダンって少なくなってきましたね…
これを見る限り、明らかにクラウンのタイヤが細いですね。一般的には245あたりな雰囲気です。
なるほど、先代を考慮して計算した数値とぴったりです。
後輪だけ275を履いてるモデルもありますが、ローテーションしたいので前後は揃えたい派…

できるだけ純正ホイールのまま使いたい派なので、標準が225なのにオフセット変えず245を履くのはちょっと…
純正オプションを見る限り、8Jインセット40なら235が無難そうです
まぁ、このクラスで考えるともう少しタイヤは太くしたほうが良さそう、ということで…

あとはスポーツタイヤでグリップを稼ぐか

調べてみると、時速100kmのときスポーツタイヤになると制動距離が5mも変わるんですね(銘柄にもよるけど)
Posted at 2023/04/08 09:40:46 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

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「走るほど楽しいトランスミッションとV6エンジン http://cvw.jp/b/2785274/46939546/
何シテル?   05/07 07:27
ベルメーゼです。よろしくお願いします。 メーカー問わず、回転数を上げずに余力ある走りが好きです! 無言フォロー失礼します 最近クラウン乗り換えました ...

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