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　つい最近『Professor Satchafunkilus and the Musterion of Rock』という新作が出たけど、Joe Satrianiについて書くならやはり出世作『Surfin' with the Alien』を先に紹介したくて。
　最近のロックギター界はどんな感じなんでしょうか。80年代にはハードロックギターブームがあって、Night RangerとかDokkenのようなギタリストを全面にフューチャーしたバンドがでてきて、続いてYngwie MalmsteenやTony Macalpineのような、超絶技巧派ギタリストがソロアルバムを次々に出して、シーンが大きく盛り上がったことがありました。その時にそれこそ彗星のように現れたのがJoe Satrianiでした。
　Yngwie MalmsteenやTony Macalpineら当時のこの手のギタリストはクラシックにインスピレーションを得ていたことから、彼らは「ネオクラ」(ネオクラシック)などと呼ばれていたのですが、JSはロックやブルーズに根ざしていながら斬新な音遣いで、ネオクラ系とは全く異なるロックギターの新しい方向性を示しました。
　僕が最初にこのアルバムを聞いたのは高校生の時だったか。実をいうと当時はYngwieにハマっていてJSを気に入っていたわけではなかったんだけど。いとこが、両手タッピングのみで演奏する「Midnight」という曲をやっていたり、「Crushing Day」という曲のリフを弾いていたのを覚えています。で大学以降音楽の好みが広がっていくになるに伴い、JSが好きになり、その後新譜を継続して買うようになっています。『Surfin' with the Alien』は、他のミュージシャンによるものも含めた全てのエレクトリックギターのアルバムの中で、僕が最も長く愛聴している一枚。
　当時から引き出し豊富なミュージシャンだったようですが、『Surfin' with the Alien』は当時契約していたレーベルからハードロック調を期待されてできたアルバムのため、ディストーションのきいた、かっこいいリフを中心とするロック調の曲が多く、その上に彼の素晴らしいメロディセンスが光る名盤になっています。
　ハードロックというのは独特の様式美があって・・・シリアスなものしか受け付けないというか、ストイックな世界・・・という表現が正しいのかわからないけど。JSは、そのような様式にとらわれない発想とそれを自在に表現するテクニックによって、躊躇なくジャンルの敷居を乗り越え、僕はそのような音楽からすごく自由を感じます。その典型が『Strange Beautiful Music』というアルバムで、それはそれで大好きだけれど、80年代ハードロックサウンド刷り込まれた自分の感性には、このアルバムがぴったりきます。

　ロックギターを好きでない人が好きになるのは難しいアルバムかと思うけど、ディストーションのかかったギターサウンドにしびれた経験のある人なら是非。
　ちなみにVideoの曲はアルバム3曲目「Crushing Day」。リフもかっこいいが途中のソロも凄い。JSでも座らないと弾けないらしい。DVDでは演奏前に「だからギタリストは立って作曲しないとだめだよ」なんてことを言ってました。

追記：映像は『Professor Satchafunkilus and the Musterion of Rock』のボーナスDVDと同じライブですが、オフィシャルDVDの動画はYou Tubeから削除されるようで、観客が取った映像に差し替えました。