本日は長文です!!
GOLF8の現行車は1.5Lと1.0Lの2種類の動力ユニットですがどちらも国内には無い48Vマイルドハイブリッドのシステムを搭載しています。 車に詳しい方ならプリウスなどのハイブリッドとは違うシステムであることはご存じかと思いますが、いわゆるハイブリッド車で使用されるような大きなバッテリーやモーターを搭載していません。 代わりにBSGと呼ばれる小型のモーターと48Vの小型のリチウムバッテリーが搭載されています。
これまでに1,000kmほど走行しましたので個人的に感じるコースティングとアイドリングストップについて思うことを書いてみます。
これまた詳しい方には説明は必要ないとは思いますが、大雑把に言えばアイドリングストップは停車時にエンジンを止めることを言い、コースティングは走行中にエンジンを止めて滑走することを言います。 アイドリングストップはもう普通に搭載されてきている機能ですがGOLF8では48Vマイルドハイブリッドを搭載したことで少々仕組みが変わっています。 コースティングも走行中にエンジンを止めるために48Vマイルドハイブリッドの機能を使うことで実現しています。
↓以下の図が48Vマイルドハイブリッドの概念図です。
48Vのリチウムイオンバッテリーと48VのBSG(Beit-driven Starter Generater)が肝になりますが、ここにDC/DCコンバーター経由で12Vバッテリーと通常のスターターモーターがあることにも注目です。
エンジンスタートに関連する二つのモーターについて少し考えてみると、12V側の通常のスターターではこれを回すためにはピニオンとフライホイールのギヤを嚙合わせる必要があるので必然的に完全にエンジンが停止している状態でしか行えません。 一方の48V側のBSGではベルトを介してエンジンと常に繋がっているので当然ながらエンジンが止まっていなくてもスターターとして機能します。 このような二つのモーターを使い分けているのがこのシステムです。
ただ、ここで考えてみると48VのBSGがあれば12Vスターターは必要ないとも思えますが、車の使われ方として極寒の地で使われることを考慮するとリチウムイオンバッテリーでは極寒で動作するだけのエネルギーが与えられないためにこのようなシステムになっていると推察します。
実際の動作としては最初のエンジンスタートは12Vのスターターを使い、走行中のアイドリングストップとコースティングは48VのBSGで行っているようです。(ディーラー談)
ここまでが機能的な話ですが、実際の動作はどうかというと、まずアイドリングストップですが、先に説明したように車に乗り込み一番最初のスタートSW押してのエンジンスタートではその組み合わせは12Vバッテリーとスターターです。 すべてが止まっている状態からのエンジンスタートなので従来よりは少し静かにスタートしたかな、という程度でエンジンは回り始めます。(もちろんRのような激しさは皆無です)
で、走行中のアイドリングストップですが、GOLF8ではコースティングという機能も持ってるために車両が止まる前からエンジンはストップしてそのまま停車してアイドリングストップ状態に移行します。 次に前走車がスタートするか、もしくはアクセルを踏むことでエンジンが再スタートしますが、気持ち的にここでのスタートは気持ち滑らかな気もしますが、動いていなかったものを動かすわけなので車両が停止していればその動作は分かりますが、音、振動共に従来のアイドリングストップに比べるとかなり静かでスムーズな動作となっています。
GOLF8にもアイドリングストップをキャンセルする機能があるのですが、じつはこれをONにして動作をキャンセルすると、ブレーキをかけ徐々に止まろうとするときにコースティングでエンジンがオフになったものを停止した瞬間にシステムとしてはアイドリングストップに以降するのですがその時キャンセルが働いてエンジンが回ってしまうというおかしな挙動になってしまいます(^^;
次にコースティングです。 これは48VのBSGを搭載したからこそできる機能になります。 秋のこの位の時期だとエアコンを入れていないことも多いですが、エアコンを入れてないとアクセルをオフにすると頻繁にコースティング状態に入ります。 コースティングは今までにない機能なので慣れないとかなり違和感を覚えます。 極端な話ですが、MT車である程度速度が出ているときにクラッチを切ってエンジンを切ったような状態です。 当然車は滑走状態になるので燃費は稼ぐことが出来ますが、車両としては安定しない状態(パワーがかかっていない)になります。この状態を意識して乗らないと違和感はなかなか拭えないかもしれません。
もちろんこのコースティングは一般的な道路では長い時間続くわけではありません。 当然ながら少しづつ速度が落ちるのでこの時はアクセルを踏めばすぐにエンジンがかかり加速します。 特徴的なのはこのBSGでのエンジンの再スタートがものすごく滑らかなことです。 アイドリングストップの際はそれなりに感じると書きましたが、こちらはかなり注意して耳目を働かせていないとわからないほどスムーズにエンジンが再スタートします。
一方でコースティングから前走車に追いついたり、そのまま信号などでアクセルを踏むことなくそのままブレーキングをすることもあります。 こちらの制御はなかなか曲者です。
先ほどアクセルオンの場合のスムーズさを書きましたが、コースティングからのブレーキはもっと複雑です。 まずブレーキを踏んだ瞬間にエンジンが再スタートします。 これは先の状態と同様でスムーズではありますが、このエンジンオンの目的はエンジンブレーキをかけるためだと思われます。 次にこのブレーキングでのエネルギーを回生するために48VのBSGを発電側で使い、徐々にこちらに制動力を移していきます(多分、そう思われる)。 そのためブレーキングの途中でまたエンジンが止まりブレーキエネルギーをすべて回生側に回すような制御となっています。 アイドリングストップのところで書きましたが、制御的にはこのような形で繋がっていっていると思います。(多分)
機能概要と動作はこんな感じなのですが、今まで乗っていたGOLF7Rでは毎回アイドリングストップはオフにしてから乗っていました。 これはアイドリングストップからの復帰時の挙動とバッテリーの負担が嫌だったのですが、今回のGOLF8ではどうかというと、、、
アイドリングストップからの復帰の挙動は合格点です。 バッテリーの負担度についても乗車一発目のエンジンスタート以外が全て48VBSGで行われているのが本当であれば、まあ今までのような心配をすることはないと思いますが、正直ここは新しいシステムなのでとりあえずVWが目指す方向を一緒に温かく見守るしかないのかもしれません。
コースティングについてはアクセルオンでの復帰は素晴らしい一方でブレーキングしていくところの制御については制動力のカーブをブレーキと回生で分配する部分についてもう少しうまくやれるような気がしています。
48Vマイルドハイブリッドのシステムは欧州車では最近よく使われているシステムですが、次の世代に向けての橋渡しとしてはコンパクトでそれなりの省エネ機能が発揮できる良いシステムだと思います。 ハイブリッド車嫌いのCBですが、このシステムについては納得感あるのでこれからもいろいろと発見しつつ楽しんでみていきたいと思います。
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2021/10/10 10:54:00