内燃機関の歴史で200年 構想だけで終わっていた幻のエンジンがあった。
その名は「ロータリーエンジン」
マツダの前身 東洋工業はこの開発に47人の若手開発者に社運を託し 研究をし 完成させた物語。
開発当初 このロータリーエンジンは「夢のエンジンだ」と言われ ベンツやポルシェ トヨタや日産など開発競争にしのぎを削って取り組んだが物には出来なかった。
東洋工業の開発者たちも日々 来る日も来る日も失敗の連続。
やがて このロータリーエンジンを世界中の自動車メーカーは実現不可能と結論付け 開発するだけ無駄 開発し続けている東洋工業は世の中を惑わしでいるなどの誹謗中傷を受け続けた。
そして1967年5月30日 東洋工業が6年の歳月をかけて完成させたのが この「コスモスポーツ」です。
(東洋工業製 コスモスポーツ)
(東洋工業製10A型ロータリーエンジン)
[スペックデーター]
形式:10A型ロータリーエンジン
機構:2ローターエンジン
排気量:491cc×2 982cc
最高出力:110馬力/7000分速回転
最大トルク:13.3kgm/3500分速回転
コスモスポーツに搭載された 10A型ロータリーエンジンは小排気量ながらリッター当たり100馬力以上の出力を発生。
また車重は940kgと軽く パワーウエイトレシオは8.54kg/1馬力をマークした。
そしてこのスポーツカーのデザインは コンパクトなロータリーエンジンの特徴を最大限に活かした 低重心フォルムとフロント投影面積を低く抑えた結果 当時 近未来を感じさせるデザインが人気を博した。
【この当時の比較データー紹介】
レシプロエンジンとロータリーエンジンの排気量比較(1000cc)
レシプロエンジン
(東洋工業製 ファミリア1000DX)
[スペックデーター]
形式:PB型レシプロエンジン
機構:直列4気筒 OHVエンジン
排気量:987cc
最高出力:58馬力/6000分速回転
最大トルク:7.9kgm/3500分速回転
課税馬力換算(1.5倍換算)比較
レシプロエンジン
(日産製スカイライン1500STD)
[スペックデーター]
形式:G15型レシプロエンジン
機構:直列4気筒 OHCエンジン
排気量:1482cc
最高出力:88馬力/6000分速回転
最大トルク:12.2kgm/3500分速回転
日本の自動車メーカーや日本国は東洋工業製ロータリーエンジンにいじめをするが如く課税馬力換算を適用。
ロータリーエンジンの実排気量に1.5倍した排気量として 自動車税を課税すると言う異例な措置に踏み切る。
その後 オイルショック(ガソリンの高騰)からロータリーエンジンの特徴である 小排気量でありながら高出力を発生させるために 燃費が悪かったため自然と人気がなくなっていった。
【サバンナ時代到来の復活劇】
当時 レースの世界ではハコスカこと初代日産スカイラインGT- Rが50連覇目前での敗退。
その連勝を止めたのがサバンナRX-3。
(左側がスカイラインGT- R 右側がサバンナRX-3)
このレースの内容はコーナーではスカイラインGT- Rが少し優勢だったが 直線では低重心なフォルムとフロント投影面積が少ないサバンナRX-3の空力が効いて ストレートで伸びる速さ最高でしたねぇ。
【その後のサバンナからアンフィニへと受け継がる】
燃費の改善に着手したロータリーエンジンはその後 軽量 コンパクトなスポーツカーを発売。
それがRX-7シリーズです。
初代
(サバンナRX-7)
(2代目サバンナRX-7)
(アンフィニRX-7)
この三台の特徴はロータリーエンジンの軽量 コンパクト 小排気量 低重心の4つの要素に車体の軽量に加え 前後重量配分を50対50に限りなく近づけた結果 最大の魅力は操縦安定性を格段に突き詰めたクルマで 現在のマツダの操る楽しさを追求する 究極のスポーツカーに進化して行きました。
【1991年のル マンの奇跡】
ロータリーエンジンをよく年 参戦禁止が発表されたル マン24時間耐久レース。
そしてジャガーやバウザーメルセデスが社運をかけてロータリーエンジンを潰しにかかった。
しかしこの年のル マンにはロータリーの不死鳥「フェニックス」がチャージドマツダ787B 55号車舞い降り 24時間を走り切りトップに立ち優勝。
(マツダ R&Dセンターの車両倉庫で休むチャージドマツダ787B 55号車)
私はあの日の感動は今でも鮮明に覚えている。
またマツダさんのご好意で茨城県の筑波サーキットでこの787Bを間近で見る機会を作って頂き またコースの最長直線で2速全開加速。
4ローターの甲高い ソプラノサウンドは私の心深くに刻み込まれ その時に一筋の涙さえ流すくらい感動しましたねぇ。
【近年のロータリーエンジンとレシプロエンジンの死闘】
近年での二種類の内燃機関対決は ホンダのVTECエンジン搭載車 ホンダS2000対マツダRX-8の対決。
(ホンダS2000)
[スペックデーター]
形式:F20Cレシプロエンジン
機構:直列4気筒 DOHCエンジン
排気量:1997cc
最高出力:250馬力/8300分速回転
最大トルク:22.2kgm/7500分速回転
(マツダRX-8)
[スペックデーター]
形式:13B型ロータリーエンジン
機構:2ローターエンジン
排気量:654cc×2 1308cc
最高出力:250馬力/8500分速回転
最大トルク:22.2kgm/5500分速回転
この二台のテスト当日 茨城県つくば市にあった谷田部高速試験場は緊張の中 始められた。
最初はS2000の基本データーを取るため走行試験。
そして次にRX-8。
テストをするとS2000より遅い感じ。
しかしデーターロガーではほぼ同タイム。
シャシ剛性の高さからくる安定感とフロント投影面積の小ささとリアに伸びる優麗なフォルムからくる空力が良いためマツダRX-8のその走りはゆとりさえ感じられたのである。
S2000のレシプロエンジン2000cc対RX-8の1300cc対決は走りのデーター上は引き分け。
しかし実排気量比ではマツダRX-8に軍配を上げた一日でしたねぇ。
【番外編 トヨタ自動車がこのロータリーエンジンにラブコール】
まずはじめにこの写真をご覧下さい。
この写真のエンジンはロータリーエンジンですが マツダ(東洋工業)製ではありません。
では一体 どこの自動車メーカーが作ったロータリーエンジンなのか?
あの50年前に東洋工業がロータリーエンジンをコスモスポーツに搭載して走らせ成功した同時期のトヨタ自動車での開発したロータリーエンジンです。
しかしここへ来てまたロータリーの不死鳥「フェニックス」はトヨタ自動車とマツダの締結と言う止まり木に羽を休めた。
(不死鳥「フェニックス」の想像図)
そこでトヨタ自動車がマツダのロータリーエンジンに一目惚れ。
それがこれ。

マツダ製レンジエクステンダーロータリー発電エンジンです。(330ccロータリーエンジン)
軽量 コンパクト 低燃費と今後の電気自動車用の発電機にトヨタ自動車がラブコールをしたのです。
今後はコストダウンと改良を経て 実現するマツダスカイアクティブエンジンに継ぐ次世代ハイブリッドエンジンがロータリーエンジン。
私は今後の不死鳥「フェニックス」の新たなる 羽ばたきに注目するさーぱぱなのです。
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Posted at
2018/01/20 06:54:20