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嫁「そのうち怪獣なんてくだらなくなって、人形とか可愛いものに夢中になるよ」

　怪獣を可愛がる娘に、よく嫁は言ったものです。
　しかしながら娘は、あれほど強烈だったぬいぐるみ熱が弱まり、より一層怪獣好きになってしまいました。

　思えば娘と怪獣との最初の出会いは、2010の冬、ガメラ（ギャオス）。
　そして、嫁の不在をごまかすために出かけたおりに買ったキングオブモンス。何のおもちゃも欲しがらない娘が、唯一欲しがったものでした。
　そのすぐあとに、同じようなシチュエーションでゲランダも買いました。
　幼稚園にも通っているというのに、嫁がいないとダメ、という状況があったんですね・・・　車の中で、娘は嫁がいないことに泣き、「また怪獣買ってあげようか？」との問いかけに、「怪獣が欲しい」と泣いたのです。

　そのころ娘はウルトラマンを知りませんでした。
　ウルトラマンに関係なく、純粋に怪獣を好きになったのです。
　キングオブモンスを、娘は「可愛い」と言うのです。
　嫁のいない寂しい時間を埋め合わせてくれたのは、怪獣でした。

　「また今日も怪獣の夢を見たよ！」
　「怪獣は夢の中に出てきて、一緒に遊ぶんだ！」
　そう娘は嬉しそうに言うのです。

　怪獣ソフビの数はどんどん増えていきました。
　でも、怪獣は、隣で売られている正義の味方ウルトラマンの敵、つまり悪役だったのです・・・

　ケーブル引いているので、ウルトラマンはかなり観ることができます。
　娘はウルトラマンどっぷりになりました。
　でもそれは、決してウルトラマンのためでなく、怪獣のためだったのです。

　ウルトラマンサーガ、観に行きました、娘と二人で、休みを取って！
　いい映画でした！
　僕も怪獣好きで、お気に入りはいくつもあるのですが、中でも好きなのがゼットン！　痺れましたね・・・

　娘は、当時のお気に入りナンバーワンだった怪獣、バジリスを持って映画館に行ったのです。

　観終わって、娘が、ややうつむいて前を向いたまま言いました。
　「本当はゼットンを応援してたんだ・・・」
　「１００％負けるのはわかってる、それでも怪獣を応援するんだ・・・」
　小学校一年とは思えぬ物言いにはっとすると同時に、娘を見直しました。

　何だか切なくて、涙が出る思いでしたね・・・

　その後、ハイパーゼットン、バット星人、ベリアルが娘の友達になりました。
　そして、ウルトラマンは”敵”・・・

　ウルトラマンシリーズは可能な限り観ていますし、ウルトラマンサーガのDVDも買って、何度も観ています。でも娘は、怪獣がやられてしまう場面は観たくないらしく、「ウルトラマンむかつく」と、どこかへ行ってしまいます。

　今日も娘はベリアルと寝ています。
　これで、いいのです。