メインスイッチの構造 [117クーペハンドメイド]
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
  中級 |
作業時間 |
3時間以内 |
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117クーペのメインイグニッションキースイッチ考。
とりあえず手持ちの3種類です。
写真左が初期型でキーシリンダー一体型。
ステアリングロックが付いていなかった時代の車両のものです。
写真中央が車体番号609以降75年型までのステアリングロック付き車用スイッチ単体。
写真右は72年型PA95解体車に付けられていた76-77年型丸目用? 接点が5極です。
きっと接触不良などで後年式のものを流用したのだと思います。
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どのスイッチもさすがに50年以上経過して多少の接触不良が起きていると思います。
しかしカシメて組み立ててあるので、破壊することなく分解するのは無理です。
以前所有していた72年型PA90は、走行中このスイッチが触れないほど熱くなることがありました(1998年頃なので新車から26年目でした)。高速走行中などに電源断=エンストすることもあり、スイッチを揺すると回復したり。これが旧車なのだと誤魔化しながら乗っていました。
しかしこれがその後の大トラブルの一因になったようです。
いま思えば早く手当しておけばよかった…
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実はこのパーツ、スイッチassyだけの補修部品の設定がありました。
90年代までは入手できたようですが、117クーペのどのパーツリストにも載ってなくて気づかなかったんです。
写真はその後個人的に譲ってもらったものです。
持っている範囲ですがフローリアンやベレットのパーツリストにも見当たりません。
部販に相談すると出てくる裏メニューだったのか?
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さてこのスイッチ、どういう仕組みでどう接触不良が起きるのでしょう。
大トラブルを起こした導通不良スイッチのカシメ部分をルーター(リューター)で壊してみます。
ちなみにこのルーターセット、Amazonで2000円前後で購入できる充電式の安物です。
付属のステンレスのカッター刃で切ってみます。
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こんな安物のオマケのカッターで切るなんて無理を承知で作業を始めましたが、意外にうまく切れました。
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スイッチボディは鋳造品ですが、素材はカシメられるほど柔らかい合金だからでしょうね。切り取ったリング状のカシメ部分はハンダよりちょっと硬い程度です。
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きたない…やっぱり
これじゃ抵抗値が高くなって発熱するのも理解できます。
(開腹する前にテスターで当たっても導通なしでした)
接点の劣化だけでなく、なぜか油脂のような汚れも擦れない部分にベッタリです。
電極は直線的で、回転円盤の一部分だけが磨耗することがないように工夫されているようです。電車のパンタグラフと給電線の関係のよう。
円盤の動きと接点の関係を解析するのは、自分には直感的に理解できません。
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分解図。
意外とシンプルな構造でした。
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キーを回したときのクリック感やスタータポジションからバネで戻るのもこのスイッチ内の仕組みです。
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いつものクリームクレンザー+歯ブラシで水洗いして電極の錆と汚れを落としました。
円盤の一部がえぐれています。磨耗したにしてはおかしな形。裏側は変形していないので、押されたのではなくまさにえぐれています。
端子側はAMのヤケ•荒れが一番ひどかったです。このままペーパーで全体を擦れば再生できそうです。
大トラブルというのは走行中のハーネス焼損でした。ショートしたらしくパンッという大きな音と同時にエンジンルームからメーターパネル裏、キーシリンダー付近まで一瞬で同時に発火して燃えました。どこがショートしたのかハーネスそのものが溶けたり燃えてしまったので直接の原因は解明できませんでした。
このえぐれもその時にできたのかもしれません。
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発熱のせいなのかこの外側端子のカシメも緩んできます。とくにAM端子です。当時ハンダ付けして補修しましたが割れていました。
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ペーパに押し付けて擦り全体を平らに慣らしました。
電極は銅無垢のようです。
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半田付けもやり直して仮組み。
各ポジションでキッチリ導通が戻りました。
二度と端子側を開けないならエポキシパテなどで固めてしまっても良いかも。
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初期型用が良いのは、点検口のような3.8mmほどの孔が開けられていて、回転する円盤電極が見えているんです。キーを回すと連動して動くのが見えます。
接触不良時、ここに接点復活剤などをスプレーすればダイレクトに清掃することができます。
左の小さな孔はキーシリンダを固定するピンの孔だと思います。
取り付け時、これらの孔は水抜き孔のように下側に位置するようになっているのでホコリも入りにくそうです。
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初期シリンダー一体型も回転円盤の位置は同じで、サイズ的にもどうやら同構造のようです。
このメンテがとても困難なスイッチ、ダメもとで、なるべく切粉が入らないように孔を開けてしまうのが良いかもしれません。
今回のように切って開けてしまえばスッキリ分解掃除できますが、再利用するにはどう組み立てたものか…
いずれにしても、リレー回路を組んでこのスイッチに流れる電流を減らしたいものです。
このスイッチにはAV2sq電線がファストン250端子で繋がっていて、かなりの電流がここを流れる設計です。
純正ハーネスのメーカー矢崎総業のホームページで調べると、ファストン250の許容電流は20A以下。AV2sq自動車用低圧電線の許容電流は28Aだそうです。
実際の電流値は測ったことがありませんが、瞬時にはそこそこ流れそうです。
以前整備工場に勧められてスタータリレーを追加したことがありました。なんでリレー役のマグネットスイッチにさらにリレーを入れるのかと思いましたが、マグネットスイッチだけでも結構流れるのでしょう。
少なくともカーナビやカーステなど電装品を後付けしている場合は、このスイッチを通さずにリレーを組むのがいいと思います。
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ちなみに初期型にもスイッチ部分だけのパーツ設定があったのかもしれません。
これは部品交換会で入手したものだったかな。4極端子なので117にも使えると思いますが、筐体形状が異なり接点の点検口もありません。ネットでこの形状の写真を探すと、たぶん古いベレットなど片面キータイプの交換用スイッチのようです。
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キーシリンダーは無く穴になっています。
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