
旧い車が気になって、中古車サイトや中古車情報誌を見ると、良く「フルレストア済み」と言う言葉を目にします。
では、「フルレストア」とは何なのか?
基準も無く、一人歩きしている言葉に感じます。
自分の車をフルレストアした事のある方は少ないでしょう。
そこで、これぞフルレストア!を経験した私が自分の備忘録と言う意味でも、ここに記しておきたいと思います。
今回はその1.板金編です。
私がアルファロメオGT1300juniorを購入した「Sportiva」さんは、旧車に関しては独自な販売方法を取っており、販売車両を入手すると、レストアをすることを前提に購入者を募り、レストアの内容によって購入金額を決定し、契約に至るというもの。
ただ、その後出てくるパーツの不良や交換を余儀なくされるパーツに関しては、別途料金がかかることになります。
現在はビアンコ(白)の私のジュリアですが、購入時はヴェルディ(緑)でした。

この画像のように元々状態は良かったのです。
他のお店だったら、このまま現状売りするでしょう。
まずは、塗装を剥いでいく作業です。

ジュリアを何台も蘇生させてきた職人さんがサンダーを使いながら塗装を剥いでいきます。すると、過去の修復箇所が表れてきます。

過去に盛られたパテの後がでてきます。

リアのトランクフードは雨が当たる保管場所だったのか、状態が良くありませんでした。

段付きの段の部分はかなり複雑な構造なので慎重に作業が進められます。

ドアに凹みの後が見られます。

こうしてほぼ全体の皮剥きが終了しました。
ヴェルディの時にはわからなかった過去の修復歴が明らかになります。
極力過去のパテを削ぎ、凹みは鉄を叩き出し、割れがある場所は溶接を施します。
ここからは、パテとサンドペーパーを使いながら盛っては削り、盛っては削りを繰り返し、極力パテを使わないようにしてオリジナルのボディラインに近づけていきます。
ある時は、週末毎に見に行ったら2週間同じ場所を磨き続けていた事も・・・。

その結果、この段の場所は割れが生じていたのですが、溶接のあとが見られるものの、割れは消えています。

ウィークポイントのフロアは前オーナーが張り替え済みでしたが、剥いで状態の良さを確認出来ました。

トランクフードは再生が難しいということで、部品取り車から状態の良い物を奢ることに・・・。

こうして、オリジナルに極限まで近づけたボディが完成するのです。
ただ、この画像からはわかりづらいと思いますが、ここに下地となるサーフェイサーを吹くと

キッチリとラインが出てきます。
ちょっとやり過ぎな感じもしますがf^_^;
そして、打ち合わせしたボディカラーが吹き付けられていきます。

画像によって色が違いますが、この色はフォード・トーラスのパールホワイトの下地色となる色で、この色単体で塗装された車は無いそうです。
そして最終仕上げにクリアが吹かれます。

これで板金部門は終了となりますが、作業開始からここまでの期間、なんと4ヶ月!
作業内容もそうですが、人件費だけでも大変なものです。
実際、板金部門を持っているショップは少なく、殆どが下請け作業となる場合が多いですから、このような画像が手元に届く事は少ないと思います。
また、空吹きや上塗りで済ましてボディレストア済みとしているショップも多いでしょう。
上塗りやパテで太ったジュリアをオリジナルの形と思われている方も結構いらっしゃいます。
私は幸運だったのですが、ジュリア1番の弱点サイドシルは前オーナーさんが修復済みだったので、特別な板金加工はしませんでしたが、約半分のジュリアは朽ちており、新しいパネルを切った貼ったしなければなりません。
この画像は、スタッフの方から作業毎に送られてきた物や、お店のブログにあげられた物です。
私はこれがフルレストアだと思いますが、皆さんはどう思われますか?
次回は内燃機関編をお送りします。
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Posted at
2017/10/31 23:38:00