一週間前からの公開にかかわらず、先週は車関係の事で手一杯だったので、やっとやっと昨夜観に行く事ができました。
ネタバレもありますからこれから観に行こうと思ってらっしゃる方は鑑賞後にお読みになることをお勧めします。
Facebookなどでの投稿は絶賛の嵐。
「号泣」「感動」「映画館がライブ会場になる」などの言葉が並んでいます。
期待値は嫌が応にも高まりますが、私はこの言葉には少し懐疑的でした。
そもそも私はQUEENの熱狂的ファンでもただのファンでもありません・・・。
私の高校生時代に除熱を傾けていたのはLED ZEPPELINでしたし、その後、どんどん先祖帰りしてTHE WHOやTHE ROLLING STONESに入れ込みましたが、常にその視界の中にQUEENはいたと認識していました。
常にRock'n Onなどを購読していれば、否が応でも情報は入ってきます。
懐疑的であったのは、この映画の見るであろうターゲット層より余計な知識を持っていたからかもしれません。
それは予告編に始まりました。
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予告編の1:25秒辺り、「WE WILL ROCK YOU」のステージシーン、肘を真っ直ぐにしたまま、下からとストレートパンチのように拳を突き出すシーン、フレディはこんな動作しません。
拳を突き上げる際は、肘を直角にアッパーカットのように下から振り上げる動作がフレディのお決まりのアクションなんです。
つまり、スクリーン上にいるのがフレディ・マーキュリーとして入り込めるかどうかという点で懐疑的になっていたのです。
映画が始まると、いきなり憎い演出にやられる事になります。
20th Century FOXのファンファーレがブライアン・メイのギターに変わっています。
ただ、フレディ役のラミ・マレックが大写しになると、やはり残念感でいっぱいになってしまいました。
目の下の隈、顎下の痩せた骨格、どう感情移入しようにも私にはフレディに見える事が出来ません。
それでも、ティアドロップのサングラスをかけるとそう見えないこともありません。
ただ、初のUSツアーなどのシーンでは、その唇とせり出した顎のせいで、フレディよりもミック・ジャガーに見えてしまいました。
また、背の小ささも感情移入できない一つであったかもしれません。
それからは映画は映画としてストーリーを追いながらも、フレディに見える事はありませんでした。
「THE Doors」のジム・モリスン役のヴァル・キルマー
「シド・アンド・ナンシー」のシド・ヴィシャス役のゲイリー・オールドマン
「バックビート」でジョン・レノン役のイアン・ハート
「ブライアン・ジョーンズ/ローリング・ストーンズから消えた男」のブライアン・ジョーンズ役のレオ・グレゴリー
今まで、ロックスターの自伝映画を何度となく観てきましたが、ここまでキャスティングで感情移入できなかったのは珍しい事です。
それと事実を知っているからこそ、演出の為の湾曲した脚本が気になってしまいました。
一部抜粋すれば、一番大事な部分、LIVE AID前にフレディがクイーンに戻ってくっるための打ち合わせが行われるシーン。
確かに、この時期のクイーンはそのキャリアの中でも最も低迷していた時期である事は確かであり、その一つとして、フレディのCBSでのソロ活動問題もありましたが、バンド間での仲は映画で描かれるほど悪くなく、LIVE AIDの8週間前にワールド・ツアーを終えたばかりでした。
バンドがこの時期、低迷期としたのも、南米でのツアーでフレディがしたパフォーマンスに非難が集まり、それが本国イギリスまでに及んだせいだったからなのです。
そして、もう一つ、LIVE AID前にフレディは自身がHIVに感染している事など知らなかったはずなのです。
認知したのは87〜88年と言われており、これも映画をドラマチックに演出する為の脚本だったと言わざるを得ません。
ただ、2時間弱の映像でよりドラマチックな演出をという事になれば、致し方ないのかも知れなません。
事実を知る身にとっては、より自分が知らないようなリアルな情報が含まれていてほしいものですが、残念ですがそういうシーンは含まれていませんでした・・・。
では、この映画は見るに値しない映画なのか?
それは違うと思います。
映画の中で流れる名曲の数々、これをスクリーンを通して大音量で聴くだけで充分に見る価値はあります。
逆に初めてクイーンに触れるような人たちのほうが、感動できるのではないかと思います。
特にキムタクの月9ドラマ「プライド」で使用された「Born To Love You」からクイーンを知ったという方には最適かと思います。
ちなみにこの曲、フレディのソロアルバムからシングルカットされた曲をフレディの死後にクイーンとして録り直しされた曲であり、ソロ時代の曲はノエビア化粧品のCMソングとして使われていました。
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最後にクイーンは、フレディの死後も一度も解散というアナウンスをせずにヴォーカルを変更しながら活動を続けています。
その中でも、個人的希望としてこの人にフレディの後を担って欲しかったのですが、それもこの時限りの夢となってしまいました・・・。
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Posted at 2018/11/18 18:08:11 | |
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