改めて私、アルファロメオ・チャレンジのスタッフをさせて頂いておりますが、実はアルファロメオ。チャレンジにエントリーしてレースを走ったと言う経験は無いんですよね〜。
では、レースとしてサーキットを走った事がないのかと言うとそうでは無くて、アルファロメオの14◯シリーズのオーナーさん達とidlersの耐久レースを走っていました。
先週末は、そのidlersの12時間耐久が行われ、私が所属していたチームメイト達も頑張って完走しました。
伝え聞いたところによると、SUPER GTにNSXーGTをエントリーさせているカーガイ木村さんがウラカン持ち込んで走行させるも、エンジン出火、リタイアかと思ったらドナー車があって、エンジン載せ替えて復帰なんて事もあったようです・・・。
さて、私はチームに所属している間に色んな車に乗せて頂きました。

プジョー309GTI

プジョー205GTIグートマン
リアのオーバーフェンダーがルノー5みたいに張り出していて迫力がありました。が・・・、私が筑波を練習走行中に最終コーナー前でクラッチ踏んだらクラッチディスクが割れて廃車となりました。
普通のプジョー205GTIもありましたが、これも筑波で練習走行中、最終コーナー前でチョンブレーキかけたらそのままスピンしてスポンジバリアに激突、廃車となりました。
フィアット・クーペ16vターボ
購入当時から調子が悪かった個体でしたが、初のidlers12耐久挑戦で僅か1時間でリタイア、その後ガスケット抜けからかウォーターラインとオイルラインが混じり、これも廃車となりました。
それで、チームが初めて購入した国産車が私の脳裏に今も残り続ける車となるのでした。
トヨタ・スプリンタートレノ・AE101
まさにチームの車両だった画像です。
トレノは良く走りました。
チームとして耐久レースを何度も完走し、上位入賞も果たしました。
それでも、初戦では大変な思いをしました。
春の3時間耐久レースだったと思います。
私の出番はアンカー、2時間半走行した後で、持つはずと踏んでいた新品の純正フロントブレーキパッドは既に無くなっており、座金(ベース)だけとなっていました。
動揺が走るピットで待機していた私にチーム監督は私のレーシングスーツの両肩に手を置きこう言いました。
「ブレーキを使わずに周回してチェッカーを受けてくれ!」
あまりのリクエストに私の頭は混乱して何も言い返す事が出来ませんでした。
「ブレーキをかけるなと言う事はエンジンブレーキで減速すればいいのか・・・」
コースの事も考えず、これぐらいの考えで私は車に乗り込んでしまったのです。
ピットロードを加速してインベタで1.2コーナーとその時に私は理解したのです。
このままだと荷重移動ができない!!
そうです、コーナーを曲がるにはコーナーを曲がる十分な減速だけでなく、前輪に荷重が載っていないと曲がって行きません。
このままだとコースアウトする。
私の足はとっさにブレーキを踏んでいました。
それは本当にちょっとだけのチョンブレ。
荷重が前に移りステリングを切れる状態になりました。
1.2コーナーを曲がりながら、チョンブレだけは許してもらおう、出ないと死ぬ・・・。例えローターが曲がろうとも・・・。
次の3、4コーナーに向かうにもアクセルをどれだけ踏んでいいかわかりません。
言い方を変えれば、エンジンブレーキだけでどれだけ止まってくれるのか分かりません。
とりあえず4速まで普通に上げてそこからは惰性で、いつもより早めにエンジンブレーキ、ここで、本当にAE101で良かったと思う事が起きました。
唸りを上げるエンジン、レブリミットの7500を針は超えています。
名器4A-GEにはメーター上はレブリミットがあってもエンジン的にはレブリミットが無かったのです。
当時のグループAのレーシングマシンでは11,000回転まで回ったそうですから、8,000回転ぐらいは余裕だったのです。
これなら、いけるかも・・・
この時、まだ私の中には全てのコースが思い浮かんでいなかったのです。
5コーナーまでのストレートで遅い車にまで抜かれながら5コーナーをパスすると、光が刺し始めます。
ここからは緩い130RからS字を抜けてV字まで登り基調、ブレーキ踏まずに行けるかも・・・。
ここらはアクセルも踏めます。
ヤマハ製の4連スロットルと4A-GEの組み合わせの加速は素晴らしかったです。
元々S 字は得意なコーナーだったので、さっき抜かれた車をパスできたのも覚えています。
そして、V字をチョンブレかけて回ったところまでは良かったのです。
ここで私は思い出してしまいました。
この後、ヘアピンを抜けた後、バックストレートがあって、その先は90度!!
もてぎのコースを走行された方ならお分かりでしょうが、もてぎのバックストレートはただでさえ下り基調なのに、途中から勾配が変わり初心者だったら奈落の底へ落ちていくような感覚に見舞われるほどの下り坂なのです。
あの下りに4A-GEは耐えられるのか?
ストレートだと言うのに怖くて3速までしか上げられません。
そして、勾配が変わります。
もう既にエンジンブレーキは効き始めてますし、回転数が落ちてくる感じもありませんが、でも90度を曲がるにはどうしても2速に落とさなければなりません。
「ええい、ままよ!」と2速に入れます。
聞いた事もないような唸り音。
メーターの針は9,000近くを位置し、エンジンだけでなくミッションも唸っているのが分かります。
経験は無いですが、宇宙船で大気圏に突入するってこんな感じだろうかと思いましたよ。
針はなかなか落ちてきませんでしたが、コーナーまで100mぐらいと言うところでやっと落ちてきてくれました。
インベタで回る事は出来ませんでしたが、周りの車が察知してくれたのかアウト側へ膨らみながらもコーナーを抜ける事が出来ました。
そしてヴィクトリーコーナーを抜けてホームストレートへ戻るとピットは大盛り上がり
なんとか大丈夫だよと合図を送りながらも確か「本当は普通にレースしたいよ・・・」と思っていたと思います。
こんな周回を何周したのでしょう?
フィニッシュラインにチェッカーフラッグが!
歓喜する仲間達の応援に拳を上げて応えます。
「やった〜!」と思っていたら1コーナーが!
「しまった〜、回れない」と思い、ブレーキ普通に踏んでしまいました(笑)
そして、1周回り終えてピットロードに戻ってくるとチームメイトは大喜び
でも、私はヘルメットを脱いで本当はこう言いたかった
「殺す気か〜〜〜っ!」(上島竜兵風)
その他にも12体でロータス11とバトルしたのもいい思い出です。

もうブレーキングポイントが違いすぎて完敗でしたけど・・・。
それと、キャロルさんが持ち込んでいたシトロエン2CVも名物車両でしたね。
もうコーナーで後ろにつけるとロールがすごくて「あっ、コースアウトしちゃう、コースアウトしちゃう」ってインがら空きなのに心配で抜いて行けないと言うマジック(笑)
こういう勝とうとするよりも、お祭りとして楽しもうぜ!という車が出ていたのも楽しかったですね。
今はジュリアでアルファロメオ・チャレンジの体験走行先導者をやっているぐらいが丁度いいですが、来年はサポートだけでもお手伝いしてあの雰囲気を味わえたらな〜と思っています。