メカ好きの嫁のために、何か良いものは無いだろうか?と、しばし考察。
ロボットをカスタムで設計製作するのは、私にとっても、非常に興味があって、面白そうである。
アイディアを練り、ポンチ絵を描いて図面を引き、部品の規格や材質からいろいろ考えて、
詳細設計するのは、そんなに時間のかかることではない。
汎用部品で設計することを前提にするならば、毎日にらめっこしている部品の規格表を、上手く組み合わせてロボットの形にして、
制御するだけの話である。
電子機器の基盤の設計と製作の経験もあるし、基盤のエッチングもやっていたことがある。
版下からエッチング用の膜を作る技術もある。
ICの規格は知っているし、デジタル回路もアナログ回路も読めるので、そこも心配ない。
ついでに、かつてはマシン語の簡単なプログラムくらいは組めたし、PLCの概念なんかも分かるから、
知識的には古いかも知れないが、イマドキのツールを使えば、なんとかなるだろう。
今は3D-CADが使えるので、結構凝ったものを作れるだろう。
私にとって「作る」ということは、例えば、PCだったら、仕様をまとめ、回路図を設計し、基盤のパターンを起して、
版下をつくり、プリント基板をエッチングして製作し、穴を開けて部品を半田づけし、回路テストをして、
プログラム言語の学習をして、アルゴリズムを構築し、目を真っ赤にしてプログラムを打ち込んで、デバッグに明け暮れ、はい完成!とそういうことなのだ。
もっとも、そんなやり方は、既に時代遅れで、イマドキそんなヤツ居ないよな・・・というのは分かっている。
ただ、私が機械好きの少年だった頃は、そこまでできないと、パソコンひとつまともに動かせなかったのだ。
だから、私にとってのロボット製作の問題は、やりすぎてしまって、歯止めが利かないことだ。
つまり、もともと好きな分野だから、やりはじめるととことんやってしまうということである。
しかも、スゴいロボットを製作すれば、嫁が喜んでくれちゃうというおまけ付である。
車ですら、この有様なのに、ロボットなんか始めたら・・・そうだよな・・・ロボットの開発なんて、危険すぎる。
高トルクステッピングモーターや、DCモーターの制御、空走距離の処理、ギヤのバックラッシ、制御機器の分解能、
ベアリングの材質、潤滑油の選定、マスの軽減のための材質設定、歯先硬化処理・・・
考えただけで、夢の世界へGO!!な気分だ。
あれ・・・でも、金曜日の仕事でギアのヘルツ許容応力が足りない・・・と悩んでいた気が・・・
仕事でやっている機械は、手足がついてないが、趣味だと手足がつく程度の違いしかないってことか・・・
既に趣味なのか仕事なのかよく分からんなぁ・・・
だからまずは、手近なところで考えないと。
大人だからな・・・いちお。
動けばよいだけのロボットであれば、PCやラジオコントロールのものがある。
京商のマノイや、近藤科学の製品であれば、一般的だから、結構とっつきやすいだろう。
人間とコミュシュケーションロボットであれば、ペッパーとか、キロボあたりか・・・
うーむ・・・ペッパー・・・顔がな・・・あんなもんは飾りなのかも知れないが・・・
キロボは、嫁は欲しがっていたが、売ってないし、自走できないのが欠点か。
そうなると、ディアゴスティーニのロビか・・・
あれだったら、動くだけではないし、自走!?できる。
ふむ、なんで今まで気がつかなかったのか?
というわけで、一式、早速調達してきた。
ダンボール箱4箱にもなる量だが、嫁は大喜びである。
君は本当にメカが好きなのね・・・
一心にロビを組んでいる嫁は、楽しそうだ。
「それ、何やってんの?」
「サーボにIDを書き込んでいるの。」
「サーボにID?ふーん?」
サーボにIDを書き込むか・・・制御線を1系統にして、同じ信号を流す。
サーボにはあらかじめ自己判別用にIDを設定しておき、自分のIDの制御信号にだけ応答するようにしているらしい。
この方式だと、配線がシンプルになるが、根元に近いところで断線すると、その先が全部動かなくなる。
そういう制御系なんだ。
嫁の手つきは慣れたものだが・・・
たぶん、あれだな、ガンプラ作るときと同じ問題が発生するだろう。
嫁が仕事に行っている間に、こっそり点検しておくか。
嫁は、器用だし、腕力も強いのだが、いかんせん女性である。
調理師の免許を持っていて、実際飲食業の経験が長い。
だから、プロ用の重い機器は持ちなれているようだし、私が触れないような熱い鍋も素手でひょいと持ち上げる。
それでも、指先でひねるときのトルクが足りないのである。
だから、ガンプラ製作のときも、指先でぱちんとはめ込むところは、きついらしく、どうしても上手くはめられないケースがあるようだ。
これはまぁ、仕方ないのことなのだろう。
ねじ回しの握り直径の大きなものを使えば、指先のひねる力が弱くても、大丈夫なのだが、
想定以上にトルクがかかると、部品が割れそうだ。
というわけでこっそり、調べてみると、やはりいくつかのネジが締めこみきれていなかった。
やっぱりな・・・老婆心だが、全部増し締めしておいた。
各部のネジは、タッピングかと思いきや、通常の丸小ネジであった。
ということは、ネジ山の切れる材質、スチロール樹脂だけだと割れるだろうし、塩ビとかでは、強度が足りない。
インサートを入れると金がかかるし、たぶんABSあたりか?
整形したプラスチックのバリをとって、湯口を切り離し、角を面取りして、タップをあらかじめ切っているのだろう。
なんてことない、整形部品だが、組立式にするために、事前に結構手間をかけているようだ。
人気の秘訣でもあるのだろうな・・・
サーボの中身は、割にオーソドックスなものだ。
パルス制御だな。
分解能はどのくらいか分からないが、応答速度もトルクも、そんなに大げさなスペックは必要ないだろう。
必要なのは、小型で信頼性が高いことだろう、配線が細いし、コネクタはあまり見ない形状である。
うーん、これだと接触不良の原因になるなぁ・・・
まあ、ケーブルの反力もバカにならないんだろうし、配線を表に出さないためには、このくらいにしないとだめか。
いろいろノウハウがあるようで面白い。
右足と右腕がテストの結果、動かないとか言ってたな。
どれ・・・診ておくか?
右腕は、接触不良だったようで、
一度分解して、前腕部のサーボからチェックしていったが、問題なかった。
肩まで組み上げて、最終チェックして、OKである。
右足は、あれ?全然動かんよ。
接触不良では無いな・・・
ID間違ってんじゃないのかな?
「右足首は・・・16?16じゃないよ!6だよ!!だからか・・・」
案の定、桁を一桁間違えたIDが入力してあった。
足首とひざのサーボIDを設定しなおして、テストしたらOKだったので、配線の取り回しに気をつけて、元通り組み上げておいた。
ふう、1時間ほどで、両手足を増し締めとID入力しなおして、終了である。
そうこうしているうちに、嫁はロボットちゃんを組み上げた。
最初のテスト起動をしてみようとスイッチを入れると・・・
目が光って、起き上がって、おお!となったが、あとは沈黙。
ハテ?
実は、この段階で、配線がどこかショートしていたらしい。
バッテリーがいくら充電しても、所定の電圧にならない。
原因が不明なまま、あれこれチェックしていると、サーボの配線から煙が立ち上ってきた。
げ!!やばい火が出る!!
幸いスイッチを切ったので、大事には至らなかったが、コネクタが1個焼損してしまった。
どうも、おかしいなぁ・・・
一度分解してチェックしてみるか?
チェックしてみた結果、サーボが2個死んでいた。
45度程度回転した状態で、スティックしている。
さらに焼損した配線と、メインボードを交換して、各部のすり合わせをやりなおして、
やっとロボットちゃんは、動くことができるようになった。
でもま、これ、難易度高すぎるだろ?
構造上どうしても脆弱な部分があるなぁ。
発売元に最初動いたのに、すぐにスティックしたのは、初期不良じゃないのか?
と問い合わせてみたが、部品交換は応じられないとの一点ばり。
こっちがへたくそと言わんばかりの対応には、少なからずカチンと来た。
PL法なんて関係なしか。
まあ、自分で組むものだから、分からなくはないが、「下手!」という意味のことを言われるのは、我慢がならない。
こちとら、機械設計の本職だぜ。
手先も少なくとも不器用なほうじゃないはず。
ひでえな・・・
まぁいい。
だったら、そんなトラブルに遭ったことを幸運と思えるまで、このことで自分を鍛え上げるだけだ!
とりあえずは、嫁のロボットちゃんが、どんなトラブルを引き起こしても絶対に大丈夫なレベルまで、なんとかすればいいわけだ。
ロボットには、スペアパーツが必要だろう。
だいたい、メインボード、サーボ2個、バッテリーくらいは必要と踏んでいたが、
起動時のトラブルで必要になったのは、丁度その部品だった。
ということは、このロボットちゃんの脆弱な部分や、機械としての不安定さは、感覚的にぴったり把握しているということになる。
幸い基盤の部品構成をみると、汎用のICを組み合わせているのが分かった。
なるほど、オーソドックスなものでできているのか。
だったら、部品の構成を調べて、どのあたりの部品で組まれているのかをアタマに叩き込んでしまえば、心配は無いな。
手はじめにトラぶったサーボモーターを分解して修理できないか、調べてみよう。
軽く分解して調べると、サーボの位相検出用のポテンショメータがおかしいことが分かった。
ははぁ、VR(可変抵抗器)がダメなのね。
ま、よくあることだわな。
次は、この部品の詳細を調べるか・・・
ネットで基盤実装用のポテンショメータを調べると、村田製作所のSV03という可変抵抗器が引っかかった。
似てるな・・・これの互換品か?
さらに調べると、アルプス電子の位置検出センサがほぼそっくりの形をしていることが分かった。
汎用廉価版のVR、リフロータイプか・・・亜種がいくつかあるから、外形と、仕様で品番を特定しよう。
あとは、基盤に半田付けしてあるのを上手くひっぺがして、電気的な仕様(抵抗値)を測定すれば、終了だな。
両面スルーホールのグラスエポキシ基盤、VRの裏側には、フラットパッケージのLSIが1個か・・・
難易度8ってとこかな?
余裕とはいかないが、なんとかなるでしょ?
愛用の30Wのハンダゴテで、端子をあっためつつ、デザインナイフのさきっぽでVRをこじってやる。
あまり強くこじったり、熱を加えすぎると、パターンが基盤からはがれてしまって万事休すだ。
半田吸い取り器を使って外すのが普通だが、面倒くさいしプライドがあるからな・・・
あえて不利な条件でやってやる!!
5分くらい格闘して、綺麗に外すことができた。
楽勝!ざっとこんなもんだ。
「不器用」なんて言わせないぜ。
VRのセンターを回すための工具が必要だな。
タミヤのプラ棒を削りだして、工具を作って、VRの抵抗値をテスターで調べてみた。
3kΩか・・・回してゆくと9.8くらいまでいくな。
間違いない、アルプスの10kオームのセンサだな。
スペックシートによると、回転角333度で、実効作動角度が320度、そこで0Ωから10kΩ可変するわけだから、
45度の位置だと、えーと3.2kΩか5.7kΩが怪しいな。
VRを回してゆくと3.8kΩ付近で、一瞬抵抗値がゼロになる部分があった。
ここか・・・たぶん焼損しているか、初期不良だな。
だいたい合ってるから、ここがVRの破損箇所だろう。
次は、VRを購入しなくては・・・小物の半導体部品を扱っているサイトから、VRを発注した。
ついでに、ケーブルも作るか・・・
コネクタ番号と、端子、電線も買っておくか。
圧着端子だから、圧着作業が必要になるな。
サイトではできないって書いてる人がほとんどだけど、まあ、いつもこんなもんはやってるからな。
先の細いつる首のピンセットとフラットのペンチがあれば、圧着できるだろう。
だいたい、車の配線なんかそうやっていつも作ってるし(笑)
今週部品が到着したら、スペアのケーブルを作って、サーボの修理をしておこう。
しかしまあ、夜中に電子部品のスペックシートを調べて、発注、決済までオンラインでできるとは、便利な時代になったもんだ。
これで嫁のロボットちゃんは、安心だろう。
例え、機械的にぶっ壊れてしまっても、そんなものは、いくらでも修理できるし、部品だって製作できる。
力学的なシュミュレーションなんて、いつもやってるし、我流だが制御系の解析だってできる。
基盤だってパターンからおこせるし、プログラムだって組めるしな。
昔は、よくやったんもんだ。
結局は、めんどくさいマシーンが、スペアパーツ込みで一式増えるという結果になった。
「ロボットちゃん、かわいい?」
「うん、かわいいよ!!」
この笑顔には弱いな。
惚れた弱みだが・・・
それにしても、嫁、君はロボットが好きなんだねぇ。

どうでもいいが、ぴよっち(R2)の車検であった。
嫁と二人で、軽自動車検査協会に行ってきた。
私は、ガス棒突っ込み係である。
ガス棒の突っ込み方ならば、誰にも負けない自信がある。

家族用に用意した品々、左からヒコーキになる凄いヤツ、1/100ゼータガンダム2号機(嫁用)
ルクルーゼココットロンド18cm シフォンピンク(嫁母用)、サイバーナビ用クルーズスカウターカメラユニット(嫁父用)

とりあえず、嫁母には、「母の日用」と銘打って、ルクルーゼの鍋をプレゼントした。
エコキュート一式とIHを手配設置したので、この鍋をもって嫁実家のオール電化計画は完了である。

ろぼっとちゃん、組み立て中!!

ろぼっとちゃん、上半身

ろぼっとちゃん、なまくび

いろいろあったが、修理調整完了した。
本当は、ちこっとチューニングしたい・・・

ぶっこわれたサーボ

ばらしてやる

外したポテンショメータ

抵抗値を計っているところ

フルディティールのディノ206Sベルリネッタ、ちまちまと工作もやっている。