相変わらず、ぴよたん(R1)の補修をやっている。
壊れているというわけではないが、調子の良くない部分を調整したり、パーツ交換している状態だ。
いや、しかし、楽だな~日本車は。
外車だと、七転八倒だったり、謎が多すぎたり、いろいろ勉強が必要だったりで、ひとすじなわではいかないのである。
ぴよたん(R1)の機械的不具合は、2点である。
○リアのハブベアリングががたがでている。
○アクセルペダルが、最初の1回目の踏み込みだけ渋い。
アクセルペダルは、スーパーチャージャー付の車両は、ワイヤ式である。
DOHC-NAのRは、電子制御スロットルなので、見た目似ていても、構造が違う。
ぴよたん(R1)は、ワイヤ式なので、ワイヤのささくれを疑ったが、問題なさそうだった。
となると、ペダルそのものか?と
そのあたりも調べてみたが、問題ない。
うーん、そうなると、ストッパーとかの調整程度だな。
そういう、調整の類は、時間がかかる。
しかも乗り始める最初の1回だけ、渋いというか引っかかっている感じなのである。
1回分解して調整してみるか・・・
ただ、分解したのでは面白くない。
現在は、前オーナーの取り付けた社外品のカッコよいペダルがついているが、
スバル純正のアルカンターラ仕様のアルミペダルに替えることとした。
パーツ番号を調べて、発注をかけたので、部品入荷したら作業である。
ベアリングは、どうも結構がたが大きいようだ。
止まっている状態で、タイヤを手でこじると、「ギギ」と音がする。
あー、かなり磨耗しているな?
特に右側が酷いようだ。
走ってみると、タイヤ溝に石がはさまったような、カチカチという打音がする。
単なるカチカチではなく、金属の異音特有の響きをわずかに含んだ音である。
うーむ、これはいかん!
この音は、1回聞いたことがある。
エスプリのリアハブベアリングである。
分解してみたら、ベアリングのボールの間隔を一定にする保持器という金具が既に破損していて、
ベアリングのボール同士が衝突し、さらに、外輪側の軌道面にフレーキングと温度によってヤキが入ったらしい跡があった。
さらにさらに、外輪にでかいクラックが入っていたので、完全にアウトだった。
あのときと同じ音である。
幸い、完全に保持器が吹っ飛んではいないようで、左右にボディが振られるような動きは出ていない。
もっとも、そこまで来たら、修理優先で、乗るべきではないだろうが・・・
部品リストを見てみると、AWDとFFでは、リアハブベアリングの部品構成が違う。
AWDは、ベアリングが片側で1個、FFでは片側2個である。
そういや、スバル車のハブベアリングは弱くて・・・という記事も目にしたことがある。
うーん、本来、ハブベアリングなんて、そんなに磨耗するものじゃ無いはず。
アクスルシャフトの剛性が低くて、たわんだり、暴れやすかったりすれば、ベアリングがダメになるってことも考えられるけど・・・
元祖ハチロクの時代だったら、そういう部分があったと思うが、今のスバルの車ではそんなことも無いだろう。
となると、何か理由があるかも?
試しに品番でひいて、写真を調べると・・・ああ!分かった!!そういうことか。
AWDの片側1個のベアリングは、幅方向に長い外見をしている。
たぶんこれは、副列アンギュラ軸受けの背面合わせのやつだ。
これは、負荷の大きなところに使われることが多い。
AWDだったら、ラジアル方向の力だけでなく、スラスト方向の力もある程度受けたいだろう。
アンギュラ軸受けは、ラジアル方向とスラスト方向の力を同時に受けることができる。
背面合わせであれば、左右どちらの方向からのスラスト荷重を受けることができる。
この軸受けの特徴は、軸受けを組み入れるハウジングを小さめに製作し、そこにベアリングを圧入して、
要するに「締める」(与圧と呼ぶ)ことによって、強度と寿命を延ばす設計ができることだ。
逆に言えば、ハウジングの製作公差が厳しく、強度も必要なため、コストが高くなる。
かつて交換したことのある、エスプリやAE86の駆動輪のベアリングは、確かアンギュラだったはずだ。
となると、FFのほうは?
これは、どうも形からして、普通の深溝玉軸受のようだ。
サイドシールがついているZZ型かな?これは、中にグリースが封入してあるのと、外部からの異物侵入の対策からだろう。
組み込み時に与圧をかけなくていいから、ハウジングの公差は、確かベアリングメーカー指定だと、
H7か8くらいだったと思う。
それくらいだったら、外輪にグリス塗って、コンコンと打ち込めば、すんなり入るはずだ。
ただ、深溝玉軸受は、スラスト方向の力を積極的に受けられることになっていない。
実効上は、多少受けることができるのだが、それは、本来の目的ではないし、
スラスト荷重の許容は、アンギュラにはかなわない。
軸受けの期待寿命も、アンギュラほどは無いはず。
だから、弱いと書かれるのだろう。
ま、当たってるっちゃ当たってるね。
その分軸受けの単価は安いし、圧入しなくていいから、交換も楽である。
土曜日に発注かけた部品だが、水曜日にディーラーから電話があって、部品が入荷したとのこと。
早速取りに行った。
発注パーツは、100パーセントそろえることができたのは、ちょっと意外だった。
欠品もあるのでは?と思ったが・・・
ベアリングは、やはり汎用部品であった。
メーカーはNSKだったが、仕入れ時期によっては、他のメーカーのものもあるかも知れない。
確か、NSKのカタログがあったなーと本棚から引っ張り出してみると、あったあった。
ふむふむ、なるほど。
??しかしヘンだな?
R1,2の生産終了は、10年くらい前のはず。
この時期の軽自動車であれば、ハブベアリング周辺の設計は、もっと合理化されていてよいはずだ。
試しにBRZのリアハブ周りの部品構成を見てみると、もっとパーツがアッセンブリ化されている。
ホンダあたりだったら、20年前の車で、既にアッセンブリ化されているはずだ。
この機構から考えると、第4世代ハブあたりになるか?
R1,2のリアハブの設計は、エスプリやAE86と変わらない。
となると、基本設計的には、30年から40年前あたりのトレンドだ。
なるほど、スバルは大きなメーカーではないから、足周りの設計をずっと昔から同じものを使ってるのだろう。
AE86だって、その先代であるTE71と同じ部品構成だったはず。
たぶん、サンバーやレックスあたりと同じ構成か、部品を共有できているはずだ。
仮に同じ部品であっても、管理品番を変えてしまえば、リスト上では共有とみなされないはず。
トヨタあたりなら、そうやっている可能性があるが、スバルは、同じ品番を積極的に使うことによって、
車種の割に部品の在庫を抑えることができているのだろう。
年次改良が盛んに行われるのも、そのあたりの管理のしかたと連動する部分があるはずだ。
小改良を重ねても基本的に流用ができるようになっていれば、最終的にもっとも良い部品だけを残せばよいということになる。
この方法の欠点は、とことん効率化とか最小化とかを進めようとすると、無理があることである。
流用部品を上手く使うというやり方は、少量生産の外車などには良く見られる手法である。
そう考えると、ウチの車のスバル率が増えてきたのは、偶然では無さそうだな。
パーツ構成のコンセプトは、ロータスやフェラーリと似た部分があって、
汎用部品の規格から調べると、維持はどうにでもなってしまうということなのだろう。
事実、ディーラーで買ったリアハブベアリングは、市場で買えば、同等品が数百円だった。
もっとも、それは最初から分かっていたことではある。
面倒な品番を調べて発注かけてもらうのだから、ベアリングくらいディーラーで買いましょね!と思って、
一緒に発注かけたからだ。
いや、しかし我ながら、マニアックな内容だこと。
機械である車を維持するには、部品の特性と構成を知っておくことが必要不可欠になる。
そういう意味で見るならば、汎用部品を多く使い、構成の分かりやすい車のほうが維持しやすいのだ。
そのうち、全体の設計方針が分かると、想像力で部品を探すことができるようになってくる。
メーカーの提携や経営方針なんかもそれを知る手がかりになる。
何もパーツリストと首っ引きで調べることだけが部品探しでは無いのだ。
特にロータスやフェラーリの古いやつなどは、そうやって部品が探せるか探せないかで、維持費も安心感も大きく変わってきてしまう。
スバルR1のリアハブベアリングはNSK製の深溝玉軸受Z型であり、フェラーリ208GT4のウォーターポンプシャフトベアリングはNTN製の深溝玉軸受のZZ型だった。
まさか、両方同じ(サイズは少々違っていたが・・・)部品だとは、一体誰が知るだろうか?
だからこそ、車いじりは面白いのである。

発注かけてあった、R2のエンジン整備書とミッション整備書である。
これでR2の整備書は全部揃ったことになる。

R1のリアハブベアリング。よしよし、週末にも交換するとしよう!!

R1の電源キャップのふた。これも発注かけたのである。
なんとBRZと同じものであった。
BRZのヤツを外してR1に取り付けたので、今回取り寄せた新品は、BRZに取り付けることにする。
もっとも、どっちも同じなのだが・・・

R1のペダル。アルカンタラ仕様のアルミペダルである。
調整ついでに、これに交換しようと思っている。
今ついているは、もちっとカッコいいアルミペダルなのだが・・・
すみません、今回は部品ばっかりで、デザートの写真はありません。