三連休の終わりに。

３連休、最終日、事故で亡くなって以来、初めて、彼が乗っていたバイクに会った。

彼のお母さんもバイク乗り。
彼のバイクに乗ってやってきた。

夕方、海の方をドライブして連休最後のひとときを過ごそうと海沿いの道の駅へ向かった。
彼のお母さんたちがツーリングの帰りに寄ったタイミングと偶然一緒になった。
彼が乗っていたバイクは少し傷はあるけれど、事故の時に乗っていたというのが信じられないくらい以前見たままの姿。ウィンカーなどは治したらしいけど、そのまま乗れるくらいの状態だったそうだ。

バイクに乗るのが大好きで、毎日毎日乗っていたから、きっと最後の瞬間につい身体よりバイクを守ったみたいだって。
彼らしいなと思うと同時に、何やってんだよって怒りたいのに、そこに彼はいない。

きっともっとバイクに乗っていたかっただろうし、自分のせいで誰かが楽しみを楽しめなくなるなんて嫌がるタイプの彼だったから、お母さんが乗ってるのを『壊すなよ！』って言いながら笑って見てるんじゃないかなって思う。

バイクに乗って亡くなったのにそのバイクに母親が乗るなんて信じられないって言う人がいるかもしれない。
僕はまったくそんなこと思わない。
そんなこと言う方が彼の生きてきた時間を否定するようで、勝手なこと言うなよって思う。
彼が大好きで相棒として毎日乗ってきたバイクだ、乗らないほうがよほどおかしいんじゃないかな。

お母さんの心中を思うと泣いちゃ駄目だと思っているのに、バイクを見たら泣きそうになってしまい、お母さんに泣きそうになってるじゃんと笑われた。
そうそう、きっと彼ならお母さんには笑ってて欲しいはずだよな、一緒に彼の話をして笑ってたいなぁ。
ほんとは笑いのぶんだけ、かなしいんだけどさ。