
もう秋も半ば、冬まであと少し。。これからは電費も徐々に悪化してきます。
EV/PHVは冬に弱いと言われていますが、なぜ冬期に電費が悪化するのか?
電池の性能が低下するから、タイヤの転がり抵抗が増加するから、と言われていますが、いまひとつ曖昧です。
何がどの程度影響しているのか、定量把握をしていきたいと思います。
前回のブログでは、気温に対する電池内部抵抗の変化と、それによる電池損失を算出しました。電池損失はさほど大きなものではありませんでした。
今回は、タイヤに関して、気温に対する転がり抵抗の変化を算出します。
調査の結果、転がり抵抗は温度により変化するので、タイヤの性能表記としての転がり抵抗の値は、25℃のときの値を使用することになっているようです。計測は20℃~30℃の間で実施することになっており、25℃以外で計測する場合は、25℃での値に換算した値を転がり抵抗係数RRCとして表記しているようです。
このときの換算式が以下です。
出典:JIS D4234 乗用車,トラック及びバス用タイヤ−転がり抵抗試験方法
https://kikakurui.com/d4/D4234-2009-01.html
この式を使って、各タイヤの公称RRC値(@25℃)を使って、0℃~35℃までのRRCを算出してグラフにしてみました。
ただこの式は20℃~30℃の範囲での補正式なので、温度範囲を拡張して使用できるのかどうか議論がありそうですが、今のところ他に情報がないのでやむなしとします。
横軸:温度vs縦軸:転がり抵抗係数です。
タイヤは以下3種類をサンプルとしました。
転がり抵抗等級A:ADVAN dB v552(RRC=8.6@25℃、赤線)・・・現装着
転がり抵抗等級AA:ECOPIA EP150(RRC=7.4@25℃、緑線)・・・純正
転がり抵抗等級AAA:ENASAVE NEXT Ⅱ(RRC=5.8@25℃、青線)・・・低転がり
転がり抵抗係数RRCは温度25℃で定義されていますので、温度25℃のところに各等級の範囲を黄色で示します。
グラフから、冬期(5℃)での転がり抵抗は、気温25℃時の1.2倍くらいになります。つまり、タイヤでの損失が1.2倍になると言うことです。
また、ADVAN dB V552は、カタログ上、ギリギリ等級Aですが、5℃では等級B、0℃なら等級Cの25℃時の転がり抵抗相当に悪化します。恐ろしい!
ちなみに等級AAAのENASAVE NEXT Ⅱは、0℃でも等級AAの25℃時相当に収まっています。
温度に対する転がり抵抗の悪化は、タイヤがゴムでできている限り、原理的に避けられないのかも知れませんが、転がり抵抗の悪化しないタイヤを開発して欲しいですね。
追って、転がり抵抗の増加と電池損失の増加がどの程度電費に影響しているのか、試算してみたいと思います。
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Posted at
2019/10/26 16:03:18